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2012年05月15日

呼吸確認にかける時間 【AHA G2010-BLS】

BLSヘルスケアプロバイダーコースで、よく質問されます。

「呼吸確認には何秒かけたらいいんですか?」

以前のガイドライン2005の時は、呼吸確認も脈拍確認も5秒以上10秒以内ときっちりされていたので、当然の疑問です。

ガイドライン2010になって、ヘルスケアプロバイダー向けのBLSの手順では、反応確認と呼吸確認を「ほぼ同時」に行なうことになったため、呼吸確認に要する時間がわかりにくくなっています。

結論から申しますと、呼吸確認だけに要する時間はG2010-HCPでは明示されていません。

示されているのは、反応確認と呼吸確認に要する時間が5秒以上10秒以内、ということだけです。

つまり、「大丈夫ですか?」と呼びかけてから、「誰か来て下さい!」までを10秒以内に行ないましょう、ということです。

ヘルスケアプロバイダー向け反応・呼吸確認に要する時間

この間に、傷病者の顔を見て反応の有無を確認し、胸から腹の動きを見て、呼吸の確認を行ないます。

反応確認に数秒は要するでしょうから、実際のところ呼吸確認の時間は5-6秒といったところでしょうか?


参考まで、テキストには書かれていませんが、2011年11月にシカゴで開かれたAHAのナショナル・ファカルティ・オリエンテーションでは、脈拍確認時にも重ねて呼吸確認を行なうことが示されていました。脈拍確認時、首もとを見つめている必要はありませんので、胸〜腹を見て、改めて呼吸をしていないか見ましょう、ということです。


ということで、AHAにおいては、市民向け講習(ハートセイバーAED、ファミリー&フレンズCPR)と、プロフェッショナル向け(ヘルスケアプロバイダーコース)では、呼吸確認法と呼吸確認に要する時間の目安が異なっているため、複数コースを受講される方は、ご注意ください。

大雑把にいって、市民にとっては「反応・意識がない」というだけで一大事ですから、その時点で119番通報して、心停止の認識は、呼吸をしていない/死戦期呼吸で判断しますので、呼吸確認に専念ししっかり10秒かけて、ということだと思います。

それに対して、救命のプロや医療従事者にとっては、反応がないというだけで緊急コールをかけるのは、やや大げさというか情報不足。呼吸がない/死戦期呼吸という情報まで伝えて初めて緊急度が伝わる、ということで、反応と呼吸を併せて確認しています。

呼吸確認に要する時間はやや短めになりますが、その後、脈拍確認と併せて呼吸の再確認を行なうことで精度を補完しているとも考えられます。



実際のところ、どれくらいの秒数をかければ呼吸確認はできるのでしょうか?

講習会のときに、インストラクターが床に寝て、正常な呼吸の確認を皆さんに体験してもらうことがありますが、服の上からでも皆さんおおむね3秒〜5秒くらいの間には呼吸しているのを確認できています。

速ければ1秒程度で手が上がる人もいます。

マネキンは呼吸をしていなくて当たり前。

呼吸確認は人間の実際の呼吸を見る体験をしてもらうことも重要です。

ないものをないと確信するのは難しいことです。疑心暗鬼になってしまうからです。そういった意味で10秒を越えないこと、という方が大切です。



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2012年05月14日

AHAは乳児へのAEDを市民救助者には推奨していない

昨晩からTwitter上で話題になっている乳児(1歳未満)へのAED使用について情報提供です。

ご存知のとおり、日本でAEDの市民使用が解禁されたときは、AHA(アメリカ心臓協会)のハートセイバーAEDコースプログラムを模倣して日本のAED講習のあり方が規定されました。

そんな日本のAED教育のベースとなったAHA Heartsaver AEDプログラムの最新版テキスト(AHA Guideline 2010準拠)では、乳児に対するAED使用は一切触れられていません。

G2010版AHA-Heartsaver AEDテキストより
AHA Heartsaver Fist Aid CPR AEDコーステキストより

日本の救命講習や救急法講習では、ガイドライン2010ということで、「乳児への使用が解禁された」と浮き足立っていますが、それとは裏腹に本家のAHAでは、依然と変わらず1歳未満の乳児へのAED使用は市民には推奨されていないのです。

医療従事者向けのスタンスとしては、乳児に対しては手動式除細動器で体重1キロあたり2J(ジュール)のエネルギーでの除細動が推奨され、その準備がなければ小児用パッドとAEDを使用、それもなければ成人用パッドでのAED使用が推奨されています。

この勧告を日本では市民にも適応しているようですが、米国では市民には不採用。その理由は、ということでAHA Guideline 2010の原著を見ても、「市民に対しては乳児のAEDを教えない」という明確な記載は見当たりません。

考えるに、乳児への除細動は手動式除細動器が第一選択ということは、心電図モニターが装着されて心室細動であることが確認された場合、というのが前提条件にあると考えられます。

医療機関で心電図モニターはどこにでもあります。そのような監視下の状態で心室細動が発生した場合は、除細動は必須です。そこで手動式除細動器がない場合は、例え出力が調整できず、強すぎるAEDであっても、早期に電気ショックをしなければ助かりません。なのでAEDが推奨されているわけです。

もう一度書きます。

乳児にAED使用が推奨されているのは、あくまでも心室細動が発生した、と確認された場合だけです。心室細動発生の有無をAEDに解析するのは期待されていません。

とすると、当然、心電図モニターがない状態でのAEDのルーチン使用は想定されていない=市民には教えない、ということになります。

実際のところ、子ども、ましてや乳児が突然の心室細動を起こすことは稀です。

ご存知のように小児の心停止の原因は、呼吸のトラブルやショック(循環不良)によるものです。

死に至る過程も、徐脈を経て心停止というパターンが多く、心室細動でショックが適応という可能性は低いです。

そう考えると、AED装着を急ぐあまりにCPRがおろそかになるリスク、さらには前胸部全体がパッドに覆われることによる胸骨圧迫の効率低下を考えると、乳児にはルーチンにAEDを装着することは、害になることの方が多そうです。

このような事情から、BLS横浜では、乳児のAED使用に関しては、AHAに準拠して市民向け講習の中では、これまでどおり「教えない」方向で指導を行なっていくつもりです。




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2012年05月01日

AED練習は技術トレーニングではない!

私たちはAEDの教え方を間違っていたのかもしれません。

AEDは練習しなくても使えます。

そう設計されています。

だからこそ、街中のいたるところに、誰もが手の届くところに置かれているわけです。誰でもいいからその場にいる人が使ってください、と。

そんな誰でも使えるAEDを私たちはどのように教えてきたでしょうか?

丁寧に教えすぎていませんでしたか?

難しく教えていませんでしたか?


説明しすぎて、使い方を覚え込ませてしまうと、人は判断しなくなります。

AED操作に必要な暗記事項はふたつだけです。

1.電源スイッチを入れる
2.音声指示に従う

機種によりメッセージも操作も違うわけですし、特定のAED練習機で遣い方を覚え込ませるのはナンセンスです。

私たちが受講者さんに伝えるべきもっとも大切なことは、「音声指示をよく聞いて、それに従う」、という「態度」であるはずです。

そのためにはインストラクターが先回りして、クドクドと使い方を説明してはいけないと思います。

音声指示を聞く、というメインメッセージを伝えるためには、説明なしでAEDを操作してもらうのがいちばん効果的かもしれません。

AED練習は技術トレーニングではなく、「態度スキル」のトレーニングです。

インストラクターは、心肺蘇生法スキルを3つのフェーズに分解して、それぞれ指導法を変える必要があるでしょう。

胸骨圧迫と人工呼吸はテクニカル・スキル。練習あるのみ。

安全確認から心停止の認識、通報、CPR開始までの判断は認知スキル。シミュレーションが必要。

AED操作は認知スキルと態度スキルのミックス。シミュレーションとディスカッション。

私たちはこれまですべてをテクニカル・スキルと捉えて、レクチャーと「練習」で習得させようと、間違った指導法をしてきた気がします。



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2012年04月19日

日本赤十字社、G2010準拠心肺蘇生法ビデオを公開

日本赤十字社が、最新のガイドライン2010に基づく心肺蘇生法の説明ビデオを作製したようです。

Youtubeにアップされていました。



約14分間のビデオです。胸骨圧迫30回行った後で、口対口人工呼吸を行う流れで説明されています。





参考まで、アメリカ赤十字(American Red Cross)が作成したG2010心肺蘇生法のビデオは約2分。
英語ですが、とてもわかりやすいです。誰でも実施できるように難しい説明は抜きに、強く早く胸を押すことが強調されています。人工呼吸は行わないHands Only CPRです。



ぜひこちらもご覧ください。



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2012年04月09日

ファーストエイド現場で脈を取る意味

救急現場に遭遇したら、大丈夫ですか? と声を掛けながら手首で脈を取る。

そんなイメージありませんか?

今は市民向けの心肺蘇生法でも、心停止の確認は「正常な呼吸があるかどうか」で判断することになっているので、脈を確認することは教えていません。

しかし心停止ではない、呼吸がある、意識があるという場合でも、なんとなく手首に手をあてて脈を確認する人が多いようです。

特に医療資格を持っている方にその傾向があります。

さて、意識がある人、つまり心停止ではない傷病者の脈を取ることにはどんな意味があるのでしょう?




結論から言います。

その場で1回だけ脈拍数を計っても、そこからわかることはあまりありません。

しかし、脈拍数がその後上がり傾向にあるのか、下がり傾向にあるのか、は体の中で起きていることを推察する上で重要なデータとなります。

ここで知りたいのは、その瞬間の心拍数の数字ではなく、この後の心拍数の変化の傾向、つまりトレンドです。脈拍を含めてバイタルサインを撮るとしたら、継続的に図って記録をとっていくことが大切なのです。



例えば、、、


交通事故発生が発生しました。車に横腹をぶつけられて跳ね飛ばされた人が地面で痛がってもがいています。見たところ出血や手足の骨折はなさそうです。安全確保をして、声を掛け、119番と110番通報は済ませました。

救急車を待つ間、お腹が痛いと訴える傷病者を励ましつつ何気なく脈拍を測ってみたら120回/分。

通常、成人は80回/分程度ですから、速いです。

しかし、これは問題でしょうか? 事故の直後、あせって心臓がドキドキしているのは、自然なことですよね? また、その人の基礎的な脈拍数がわからなければ、なんとも評価できません。

なので、事故直後の心拍数として120回/分というのを、この場のベース心拍数として記録しておきます。

5分後、相変わらずお腹を痛がっていますが、事故直後の興奮は収まってきた模様。ここで再び心拍数を図ったら90回/分に落ち着いていました。これは自然な流れですね。

最初に心拍数を図ったときから15分たちましたが、まだ救急車は来ません。傷病者はお腹の痛みが強くなっているといい、息が荒くなってきました。ここでもう一度脈拍を測ったら120回/分に上がっていました。

その5分後、130回/分に上がっていました。顔からは血の気が引いて弱々しい感じになっています。




さて、心拍数の変化をまとめますと、事故直後は120回/分で高かったけど落ち着くと90回/分に下がり、その後、時間とともに徐々に上昇して今は130回/分。

一つ一つの数字を見てもなんの意味も持ちませんが、この変化の傾向が重要です。

実は、この方は車に横腹をぶつけられたことで内臓損傷を起こしてお腹の中で出血しています。時間とともに出血量が増えて、体を巡っている血液が減ってしまって「ショック」状態が進行してきています。

血液が足りないから、酸素運搬能力が落ちているので、それを補うために心拍数を増やして補おうとしている、これが心拍数が上がってきている原因です。

お腹の中の状態は見えません。しかし心拍数の変化を見ることで、体の中の血液が足りなくなっているということを間接的に推察できる場合があるのです。

これがファーストエイド現場で脈拍を取ることの意義です。

非常に単純化して説明してみましたが、なんとなく伝わったでしょうか?


バイタルサイン(生命兆候)と呼ばれる脈端数、心拍数は、ファーストエイド現場では、その瞬間を写真のように記録してもそれだけではあまり意味を持ちません。動画のように時系列がわかるように記録して、初めて意味がでてきます。

街中の事故や急病の場合は、10分程度で救急車が着てくれる場合が多いでしょうから、経時変化の記録をする必要性はあまりないかもしれません。

しかし、時間がかかる場所にいる場合や、救急車を呼べない環境にいるときは、このことを知っていると、見えない体の中で起きていることを推察する上で有効です。

ファーストエイド・プロバイダーとして、更なるステップアップをしたい人にはぜひこんなフィジカル・アセスメントの勉強をお勧めします。



今度、開催する特別企画「WFAに学ぶ傷病者アセスメントの考え方」勉強会では、こんなバイタルサインの取り方と考え方を含めた、一歩踏み込んだファーストエイドのアセスメントを概説します。

『WFAに学ぶ傷病者アセスメントの考え方』
 日程:4月28日(土)12:30〜14:30 
 会場:横浜市栄区 JR本郷台駅すぐ 地球市民かながわプラザ
 費用:500円(会場費用負担金、資料代金として)

お時間がある方はぜひご参加ください。

チャイルドライフェス横浜ウェブサイトから申込みを受け付けています。




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2012年03月22日

蘇生ガイドライン2010の最大のポイント『実行性』向上−その1

CPR/ファーストエイド講習のあり方を考える」ワークショップ、第二講は「G2010の最大のポイント『実行性』」というテーマでお話させていただきました。

ガイドライン2005から2010になって何がいちばん変わったんでしょう?

まず皆さんに考えてもらったのは、こんな状況です。

slide_1.jpg

ガイドライン2005の時代だったら、皆さんはこのシチュエーションで何ができますか?

心肺蘇生法の手順からすれば、成人なので、反応がないからまず通報。119番とAEDを周りの人にお願いした後、次に確認したいのは呼吸です。

ガイドライン2005の呼吸確認法は、頭部後屈-あご先挙上法で気道確保した上で「見て聞いて感じて」でしたね。

ですが、この状況ですんなりと呼吸確認できますか? 気道確保のために手をかけた額とアゴのあたりは血と唾液で汚れています。

触れますか?

講習会場のキレイなマネキンと違い、実際の傷病者、口から泡を吹いていることはよくあります。倒れたときに頭を打って血を流していたり、脂汗でびっしょりだったり、、、

自分の身の安全確保が最優先という救急・災害の大原則を考えると、そのような感染の可能性がある状況で素手で傷病者に触れるべきではありません。

つまり、感染防護の手袋でも持っていないかぎり、心停止の判断の決め手となる呼吸確認すらできない、というのがガイドライン2005の心肺蘇生法だったのです。


新しいガイドライン2010では、呼吸確認法が変わりました。

気道確保は不要。胸から腹の動きを目で見て呼吸の動きがあるかを10秒以内で確認する、つまり手はまったく触れずに、ただ見るだけで呼吸確認をしましょう、に変わりました。

これでしたら、傷病者の顔が血まみれであろうと、心肺蘇生法(CPR)の必要性の判断はできます。そして必要な胸骨圧迫をすぐに始められます。


これはとても大きな違いだと思いませんか?


ガイドライン2005の教育では、何もできずに放置されていた状況が、呼吸確認法を変えるだけで心停止の判断ができて蘇生に着手できるようになったのです。

結論を言います。

ガイドライン2010の最大のコンセプトの変更はこういうことです。

CPRの入り口のバリアを外す!

誰もが知っている A-B-C から C-A-B に、というのも同じことです。

赤の他人に対して、口対口人工呼吸、しますか?

他人の顔に触れる行為、吐息を感じるくらいに他人の顔に自分の顔を近づける行為。

ふつうの人に、そんなことはできません。

でも、やれと言っていた。それがガイドライン2005です。

実際にできるかどうかという現実問題を無視して、やれ、と医学的無情を突きつけられていた、といったら大げさでしょうか?

これまでの気道確保-人工呼吸-胸骨圧迫という流れで教えているかぎり、もっとも大事な胸骨圧迫にたどり着く前にあまりに高い壁が立ちはだかっていて、蘇生そのものに着手してもらえなかった、そんな反省がC-A-Bには込められています。

私たちは、ガイドライン2010での変更を考えるとき、末端の手技上の変更だけでなく、根本を貫くその精神を学び取らなければなりません。



余談ですが、ワークショップに参加してくださった方たちに、「日ごろ感染防護の手袋を持ち歩いていますか? 今もっている人!」と聞いたところ、半分以上の人が手を上げていたのは、さすが! でした。






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理屈なきCPRでいいのか!?

先日開催した「CPR/ファーストエイド講習のあり方を考える」ワークショップでお話しした内容を少しご紹介しようと思います。

まず最初の単元のテーマは、

理屈なきCPRでいいのか!?

です。

蘇生ガイドラインは5年ごとに改定され、その度に心肺蘇生法講習の在り方も変わってきています。特に顕著なのが内容のシンプル化。手順が単純化されるのと同時にテキストもどんどんシェイプアップされて、薄くなってきました。

それは市民向け講習でもそうですし、医療従事者向けのBLSにおいても同じです。

気づけば、心肺蘇生法のテキストは、蘇生のやり方、技術しか書かれておらず、心停止やCPRの仕組みや背景については、ほとんど説明がなくなってしまいました。

西暦2000年頃までは、とかく小難しく教えていたことの反省と、CPRは運動スキルなので理屈より練習を! ということなのですが、果たして、本当にそれでいいのでしょうか? というのが第一講のテーマです。


まずは、参加者の皆さんに今となってはほとんど教えられない心停止と心肺蘇生法の仕組みを説明しました。

心停止には4つの種類があること、そして電気ショック(AED)が必要な場合とそうでない場合があること。自己心拍再開のためには強く速く胸を押すだけではなく、しっかり胸壁を元の高さまで戻すことが重要である点、人工呼吸で息を入れすぎるとかえって蘇生率が下がる仕組み、など。

そうした蘇生の理屈を知っているのと知らないのとでは、実施するCPRになにか違いがあるだろうか? というのがみんなで考えるディスカッションテーマ。

がむしゃらに胸を押すのではなく、強く速く押したときに脳に血を送っていて、手を緩めて胸壁を元の位置にまで戻したときに心臓に血を送っているという意識を持って胸骨圧迫することの意義。

ショックは不要です、とAEDがアナウンスしたときの次の行動は、理屈を知っているのと知らないのとではなにか違うだろうか?

また指導の任に当たる人として知っていたほうがいい背景。

詳しい蘇生原理を知らなくても蘇生はできます。また理屈を教えることでの時間の浪費、難しい印象を与えてしまうというデメリット。

理屈なしに手技だけを教えてひたすら練習していただく方がいい場合もあるでしょうし、理解して考えながら行動してもらうことが必要な立場もあるかもしれません。

講習会場と同じような理想的な環境で傷病者を発見し、評価、通報、CPR開始と、練習どおりにスムーズに着手ができれば理屈は要りません。しかし応用ともいうべき判断を迫られたときに、理屈を知っているのと知っていないのとでは雲泥の差、になるやもしれません。

理論とスキルのバランス。

そんなことを考えていただきました。

正解はありません。

ただ、今の蘇生教育は医療従事者向けのAHA-BLS講習にしても、「理屈なき蘇生」になっているのが現状です。

蘇生科学の基本原理はどうしたら学べるか? その場所がない、というのが問題です。

学びたい人や指導員相当の人はどうやって研鑽をしていったらいいのか? そんな課題を残して講を終了しました。

難しい説明をクドクドしない! それが昨今の蘇生教育の流れですが、そうではない部分の受け皿としてBLS横浜は機能していけたらと考えています。






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2012年01月09日

ホントに使える救命スキル習得の階層構造

これは昨日開催した「傷病者対応コースforバイスタンダーズ」講習の最後に出したスライドです。

使える救命スキル習得の階層構造


「傷病者対応コースforバイスタンダーズ」では、受講者同士で傷病者役と救助者役に別れてシミュレーションを行なうことで、マネキン相手のリアル感に乏しい既存救命講習の枠を越えて、本当に使える技術はなんなのか、ということを考え、行動トレーニングをしてもらいました。

救急車がすぐに来れる状況(街中など)で倒れている人を発見したときに、誰でも無理なくできることを極力シンプルにまとめました。

そこで学ぶのはガイドライン2010心肺蘇生法の基本型と、ファーストエイドの基礎概念。バイスタンダー(救急現場に居合わせた人)にとっては必要最低限で十分な内容です。(既存の救命講習・AED講習・BLSで不足している部分を補ってます)

皆さんにはそれなりに手ごたえを持って帰途についていただけたはずですが、その後で「もっと学びたい!」という気持ちになったとき、どんな道筋があるのか、ということを上の図は示しています。




AHA講習も含めて、既存の救急法講習は大きくCPR(心肺蘇生法)系とFA(応急処置)系に分けられますが、これらはどれもパーシャル・スキル・トレーニングです。つまり各論的な部分トレーニング。

これらは基礎スキル・知識として不可欠なものですが、それだけを知っていても実際に使えるかというと、それは皆さん、実体験としてよくご存知のところでしょう。

心肺蘇生法や捻挫の手当て、骨折の処置、喘息発作への対応、アレルギーへの処置などはいわばカードのひとつであって、どんなときにどういうタイミングでこれらのカードを出して使えばいいか、という緊急事態の総合マネージメントという発想が抜けているのです。

複数のケガが併発している場合、例えば交通事故ではねられて頚の骨を痛めている可能性があるなか、足から出血していて、腹部をぶつけてお腹の中で内出血している可能性がある場合、優先順位を見逃すと致命的なことになります。




そんな緊急事態の総合マネージメントを養うのが、「傷病者対応コースforバイスタンダーズ」であり、「ファーストエイド傷病者評価(アセスメント)の基礎」です。

「ファーストエイド傷病者評価の基礎」では、救急車がすぐには来れない状況を想定して、体の中で起きる心停止にいたるまでの反応を理解し簡単なアセスメントができるようにするやや上級コース。

これらのマネージメント訓練があった上で、各論を知ることで、本当に使えるスキルになるというのが、BLS横浜が提唱する本当に使える救命スキル習得への道です。


次回の「傷病者対応コースforバイスタンダーズ」の開催は3月4日(日)を検討中です。

1月8日に開催した講習会の様子については、Facebookページをどうぞご参照ください。





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2011年12月30日

傷病者対応コースforバイスタンダーズ

今日では、さまざまな心肺蘇生法(AED)講習が開催され、消防だけでもその受講生は年間100万人に達するようです。

おかげで通りがかりの人(=バイスタンダー)によるCPRの実施率は増えてきていますが、それでもまだまだ十分といえる現状ではありません。

CPR講習を受講直後であっても「倒れている人を見かけたら声をかけられますか?」と聞くと必ずしも「はい」という返事は返ってきません。

その理由のひとつとして、「倒れている人が心停止じゃなかったらどうしよう?」「意識、呼吸があった場合はなにをしていいかわからない」という思いもあるようです。

そんなCPRしか知らない故のためらいをどうにかしたいと私たちは考えました。

そこで企画したのが「傷病者対応コースforバイスタンダーズ」です。

CPR/BLSも、非心停止時の対応(ファーストエイド)も、傷病者へのアプローチの入り口は同じです。

最初から心停止を前提にしたマネキンを使うトレーニングではなく、人間が模擬傷病者を演じることで、意識があっても、呼吸があっても対応できる柔軟さを培うというのが「傷病者対応コースforバイスタンダーズ」の特徴。



最初に最新のAHA蘇生ガイドライン2010に基づいた成人への心肺蘇生法(CPR)を身につけた後、心停止ではない場合の対応をシミュレーション・トレーニングを通して体験し、そこから傷病者との関わりを学んでいきます。

内容的にはファーストエイド講習と近いものがありますが、包帯の巻き方や添え木の仕方など各論的な話はほとんど含まれません。ファーストエイド講習では、ケア(処置)に重きがおかれがちですが、「傷病者対応コースforバイスタンダーズ」は、傷ついた人、病んだ人との「関わり方」を中心に学びます。

以前に開催した「BLSから始まるファーストエイド傷病者評価の基礎」ともコンセプトは似ていますが、誰でも使える技術をモットーに、救急法教育としては極限までシンプルに内容を絞り込んでいます。

命に関わる問題点がないかをまずクリアにし、救急車を待つ間に人間として出来ることを考えていきます。

傷病者の不安な気持ちにどう応えるか、看(み)て護(まも)るという看護の視点に根ざしたファーストエイドの入り口を原点に返って考えていきたいと思います。

心肺停止者だけでなく、意識がある人、呼吸がある傷病者にも対応できるオールラウンドなスキルは、結果的にはCPR実施率向上にもつながるものと信じています。



公募コースとしては第一弾を1月8日(日)、横浜駅近くのかながわ県民センターにて開催予定です。(2012年3月4日にも公募で開催します! 申込みは下記リンクより)






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2011年11月29日

AHA-PALSプロバイダー【1日】コース

日本で初のAHA-PALS1日コースが終了しました。(実は非公募コースを含めると2回目です)

AHA-PALSプロバイダー一日コース風景

心停止のみならず、命に関わるあらゆる緊急事態の対応を内包したPALS(Pediatric Advanced Life Support)プロバイダーコースは、内容が盛りだくさん。ACLSならいざ知らず、心停止、不整脈、ショック、呼吸トラブルとして計12のケースシナリオを扱うPALSを1日で終わらすのはインストラクターも受講者さんもたいへんだったと思います。

しかし1日にしたことで、人が命を落とすかもしれないという緊急事態の全体像が明確に浮き彫りになったというメリットがありました。また2日に分けてもたいへんはたいへん。だったら1日で、というのは、受講者皆さん、またインストラクター共通の感想。

今回は公募コースでした。しかし、受講条件としてAHA-PEARSプロバイダーであること、とさせてもらいました。

つまり心停止以外の緊急事態のアセスメントができる方限定ということを条件としました。

アルゴリズムに従ってコードを走らせればいい体育会系のACLSしか知らないと、PALSやPEARSといった「思考」を試されるコースになじむまでに時間がかかります。実は通常の2日間のPALSも初日はこのアセスメント思考に慣れるだけで終わったりします。

この部分があらかじめクリアされていることで、AHAの合格条件、また受講者満足度をキープしつつ1日で終わらせることができました。

トータル的には2日コースを受ける場合より、目標到達度は速く、身につけたスキルもはるかに高いものになったという自負があります。

PALSが1日で開催できるとなると、ずいぶんと開催しやすくなります。今後、可能であれば初日PEARS、2日目PALS1日コース という流れで定期開催していければ、というのが目標です。

次回の PALS【1日】コースは12月11日(日)、まだ若干名、受講者申し込みを受け付けます。その次はまだ確定していませんが2月11日、12日にPEARS/PALSを検討中です。



アメリカ心臓協会/アメリカ小児科学会のPALSプロバイダーコースは非常に良くできたコースです。心臓のトラブルに限らず内科疾患全般を内包した急変総合コースで、ACLSとはまったく別次元にあります。BLSやACLS部分の解説にしても基礎原理までしっかり説明されており、これを小児分野に限定してしまうのは非常にもったいない感じがします。

子どもを対象にしない医療従事者でもPALSテキストから学ぶ点はたくさんあります。印象としてはPALSプロバイダーマニュアルから不整脈の部分を取り出して相当簡略化したのがACLSプロバイダーマニュアル、そんな気すらしてきます。

ACLSはあくまでも心原性心停止に特化した急変の一側面を学ぶコース。

1万5千円という価格がネックですが、病院の図書室などにあればぜひPALSプロバイダーマニュアルを手にとってみてください。急変の全体像が見えてきます。


最後に、PALSコースディレクターのTwitterでのつぶやきを紹介させていただきます。


PALSのリーダーは外傷のリーダーと一緒:心停止にしたら負け。BLSの上にACLSがありその上にPALSがあると単純にイメージしていたけれど、心拍停止シミュレーションリーダー・チームと非心肺停止シミュレーションリーダー・チームのストレスや思考回路は違うはず。故に訓練も違うはず。

ACLSのテイクホームメッセージを「質の良いBLSの重要性」と「チームダイナミクス」としてき、PALSのテイクホームメッセージは「心停止にさせないACDAの重要性」と「チームダイナミクス」とした。表現は似るが「心肺停止リーダー」と「非心肺停止リーダー」では求められる像は桁違い。

「ACLS を受講しBLS の重要性に気づいた」という感想を受講者から頂いてきたが、「PALS を受講しPEARS の重要性を再認識できた」という感想を受講生から頂けた昨日のPALS 1day は自分の誇りに。入口はお互いのPEARSを評価でき、真のBLSをチームで提供できる事。

PALSをある程度全体を通したコース運営させて頂き気づいた事はAMLSの小児版という認識もできなくはないこと。AMLSのパスウェイを利用してPALSのACDAを意識させるとゴールとしての「安定化」を強調できそう。ここにデブリーフィングから来るフィードバックをインストが実施し完成。

「ACDA」の「D」はdecide。これをdecision makingと理解。ACLS同様「D」はdifferential diagnosisであって良いが、diagnosisではないとも理解。よってdiagnosisを目的としないdifferentialな予測対応の学習。

PALSは小児の話題ではあるが、ACDAモデルの考え方を学びdecision makingの1つの形をトレーニングするシミュレーション学習としては群を抜くと実感。実技試験をテンポよくチームで協力しながらクリアしてしまう域へ到達:なんと1シナリオ7分程度。悔やまれるは皆違う病院。

最後に:「PALSのコアメッセージを何にするか?」。おそらくこれがもっとも重要なCDの問いかけ。自分は何度も提供してきたPEARSがあるからこそ揺るぎない根っこを受講生と共有できたかな?「患者安定化」のための「PEARSの重要性」と「PALS的コミュニケーション」。






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2011年11月19日

リアルなBLSシミュレーション

シムマンを使ったBLS講習   ホンモノのAEDで除細動体験

この写真はとあるBLSトレーニングの様子です。

おやっと思った方はさすがです。

使っているAEDはトレーニング用ではなくホンモノ。

マネキンは上半身だけのリトルアンではなく、本来はACLSなどに使われるSim-Man。
後ろのディスプレイには心電図波形も出ています。

機材環境は完全にACLSですが、しかし、あくまでBLS講習なのです。


実はこれは、AHA-BLSヘルスケアプロバイダーコースの直後に行なった、オプションのシミュレーショントレーニングの様子です。

講習会場で床に置かれたマネキンを相手にして心肺蘇生技術を身につけても、それをそのまま臨床で活かせるわけではありません。

病院のベッドサイドでの心停止では、蘇生開始を阻む数多くの要因が潜んでいます。

ベッドがギャッジアップされている、枕が邪魔、ベッド柵を外さないと人工呼吸できない、ベッドがふわふわで胸骨圧迫が強く押せない、etc.

頭で考えれば分かることですが、いざ、それに直面してみると、思いのほか動けないことに愕然となります。

心停止を認識してから10秒以内に胸骨圧迫を開始する、これがAHAガイドライン2010の重要なコンセプトですが、講習会場では簡単に実現できても、臨床では相当困難です。

ですから、BLSをはじめ、緊急対応トレーニングは、本来はリアルな現場で、シミュレーショントレーニングを行なう必要があります。

BLS/ACLSは講習会場で訓練を受けたらそれで終わり、というものではありません。集合教育で身につけたスキルを実際の現場で応用するための第二段階が必要なのです。

その橋渡しとなるのが、冒頭のような出来るだけリアルな状況を再現したBLSトレーニングです。

始まりは「苦しい」とうめき声を上げる患者さんとの対応から。応援を呼ぶ、バイタル計る、酸素投与するなどをしているうちに意識消失&心電図波形は心室細動に。(sim-manは、苦悶の声や胸郭の呼吸運動、脈拍、血圧、酸素飽和度、心電図などをリアルタイムに再現できる高機能マネキンです)

すでに心停止になっているのを発見したという状況ばかりではないというのが現実です。非心停止の対応は普段臨床で行なっていることの延長。それが心停止になったときにBLSスキルという引き出しに切り替えることができるか?

ここはBLSスキルトレーニングでは学ばないノンテクニカルスキルの領域。

その後、BLSに突入してからは、ベッドのギャッジアップや、ベッド上のどこにAEDをおいたらいいか、ベッド柵をどのタイミングで誰が外すか、など、現実のこまごまとした問題に直面し、どうクリアしていくかという認知領域での訓練となります。

集合教育のBLS訓練の限界に気づき、日々のイメージトレーニングや部署ごとのシミュレーショントレーニングの必要性と、その効用に気づいてもらえれば。

もしかすると、BLSヘルスケアプロバイダーコースで身につけた「自信と満足感」は一瞬そがれるかもしれません。受講者のテンションが下がる場面があるのは事実です。しかし、「急変対応ができる」という本質的なパフォーマンスを考えたら、必要なステップです。

今回、ガイドライン2010の新しいAHA-BLS-HCPのDVDが中途半端なシミュレーション的な部分を一切外して、淡々とした技術練習に特化したのは、別途このような受講者の職場環境に合わせたシミュレーションを開催するもの、という前提を内包しているとも考えられます。

ちなみにこのようなトレーニングは、例えば、AHAも深く関わりがあるピッツバーグ大学WISERシミュレーションセンターの"First 5 minits"(コードチーム到着するまでの5分間の対応訓練)など、海外では広く行なわれているようです。

日本で、BLSやACLSのスキルトレーニングコースはだいぶ普及してきました。

次はそのスキルを実行可能なパフォーマンスに挙げるための、シミュレーションを展開できる体制の整備が必要な時代に突入しつつあります。





posted by BLS-AED.net横浜 at 12:54 | TrackBack(0) | 救命講習会日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月10日

「救急蘇生法の指針2010 市民用・解説編」リリース!

10月末に開催された日本救急医学会総会で待望の「救急蘇生法の指針2010(市民用・解説編)」が発表されました。あわせて日本版「JRC蘇生ガイドライン2010」も書籍としてリリース。

ようやく日本の蘇生教育がガイドライン2010として動き始めました。

まず「JRC蘇生ガイドライン2010」と「救急蘇生法の指針2010」の関係性を説明しておきます。

JRC日本版蘇生ガイドライン2010      「救急蘇生法の指針2010市民用・解説編」


「JRC蘇生ガイドライン2010」は、日本の心肺蘇生法全般の基準を示した蘇生科学の原本です。その原本では論文ベースでのエビデンス(科学的根拠)を中心に記述されており、その内容を実践するにはどうしたらいいか、という具体的な方法を示したのが「救急蘇生法の指針2010」です。

「JRC蘇生ガイドライン2010」は、以前からインターネットで無料公開されていましたが、今回「救急蘇生法の指針2010」が出たことで、ようやく日本国内基準に則ってガイドライン2010講習が開けるようになりました。

いま、各消防本部や日本赤十字社などが「救急蘇生法の指針2010」に基づいた新しいテキストや講習プログラムを作成中で、日本赤十字社に関しては12月1日からガイドライン2010講習に切り替えるそうです。


さて、その「救急蘇生法の指針2010 市民用・解説編」で示されている日本版ガイドライン2010に基づいた新しい心肺蘇生法についてかいつまんでご紹介します。

・A-B-CからC-A-B
・強く速くの強調 少なくとも5センチ、少なくとも100回/分
・「見て聞いて感じて」の廃止
・反応確認→緊急通報→呼吸確認→胸骨圧迫→人工呼吸

など、基本的な部分はAHAガイドライン2010と同じです。

しかし、小児の扱いに関しては、AHAガイドラインと大きく違っています。

消防の普通救命講習や日本赤十字社の救急法基礎講習に相当するAHAプログラムは、ファミリー&フレンズCPRです。それと比較した場合ですが、、、

AHAは市民向けの簡略化された講習であっても、子どもの心停止の原因を意識した子どもに最適化された内容を教えています。それに対して、日本版ガイドライン講習では、「子ども」という区分けが基本的になくなりました。

つまり日本版の心肺蘇生法は大人も子どもも手順は同じ。呼吸原性心停止であっても、先にCPRをしてから通報、と教えるのではなく、成人の基本である心原性心停止と同じで、まずは通報で統一されることになりました。

これは日本独自の実行性(implementation)を上げるための方策と言えそうです。

圧迫の深さに関しては、いちおう子どもは「胸の厚さの約1/3沈み込む程度」という形で記載されています。

またAEDの小児機能(小児パッド)の適応を未就学児としている点も日本独自の部分です。AHAではG2005のまま8歳を目安にしています。

これは従来のように8歳で区切った場合、小学校が1-2年生は小児用パッドで、3年生以上は成人用ということになり、運用上ややこしいという点を配慮した模様。

乳児に関しては、呼吸原性であるから胸骨圧迫30回の完了を待たずに、できるだけ早く人工呼吸2回を行う、と微妙な形で、成人との違いが示されています。


今回、日本版心肺蘇生法では、大人の心原性心停止(突然の心室細動)に合わせて子どもの特性には目をつぶった形になっています。

そこで最初から子どもを相手にすることが前提の立場の人(保育士・幼稚園/学校教諭)、保護者に関しては、「子どもに最適化した一次救命処置の習得が望まれる」とあり、消防に関して言えば、これは新設される普通救命講習IIIといった形で具現化されていく模様です。

また水難事故も通報のタイミングなどが今回のユニバーサルアルゴリズムでは不適切ですので、ライフセイバーなどは医療従事と同等の内容の心肺蘇生法を実施してもらうのが理想という記載がありました。


実際の講習展開に関しては、日本のフラグシップ講習である日本赤十字社の動向が大きく注目されるところです。

また追加情報が入ったらお知らせします。




posted by BLS-AED.net横浜 at 00:42 | TrackBack(0) | ガイドライン2010の心肺蘇生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月09日

10月〜11月、講習企画盛りだくさんです!

ガイドライン2010への教材移行もだいぶ落ち着いてきたこともあり、10月から11月にかけては講習企画が盛りだくさんです。

BLS−AED.net横浜は、日本では数少ない(というか、他にないと思います) American Heart Assosiation ECCプログラムのほぼすべてを扱っている活動拠点です。

プログラムの種類が多すぎてよくわからないというご相談をいただくことも多々あり。

いま募集中の講習プログラムをざっとご説明します。



◆ Family & Friends CPR(成人のHands Only CPRのみ)
日本でいうところの消防の普通救命講習Iのような市民向け心肺蘇生法普及講習プログラムです。心停止の対応(CPR+AED)と窒息の解除法を学びます。ガイドライン2010になって成人のパートは胸骨圧迫のみのハンズオンリーCPRになりました。AHAが開発したビデオ教材に合わせて無理なく価値ある技術を習得。1時間半〜2時間程度。今のところボランティアベースで開催していますが、会場費としてワンコイン(500円)の負担をお願いしています。




◆PEARS Provider(小児急変対応)
看護師向けの急変対応コース。BLSやACLSでは不整脈による突然の心停止のことしか学びません。しかし臨床で起こる急変は、呼吸不全だったりショック(循環不良)が原因の場合が多いといわれています。つまりベッドサイドにいるナースは最悪の事態である心停止に陥ってしまう前に気づくチャンスがあるのです。その心停止にいたる急変の予兆を察知して、適切に安定化を図るためのアセスメントとナースサイドでできる処置を体系的に学べるのがPEARSプロバイダーコースです。メインテーマはPediatric(小児)となっていますが、これをPrimaryと読み替えていただいて結構です。成人期でも老年期でも使えるユニバーサルなアセスメントを学びます。1日がかりの講習です。

詳細・申し込みはこちらから

= 開催日 =
10月22日(土)




Family & Friends First Aid for Children
Family & Friends CPR(小児)

子どもの心肺蘇生法に加えて、ケガや急病の対応と予防まで、午後いっぱいかけてトータルに子どもの安全を学ぶ企画講習です。特に子どものファーストエイドでは日本ではあまり開催されることがないので希少なコースです。AHAの開発したビデオ教材を用いつつ、実習とディスカッションで進めていきます。

詳細・申し込みはこちらから

= 開催日 =
10月23日(日)



Heartsaver Bloodborne Pathogens(血液媒介病原体)
アメリカ合衆国では、医療従事者以外であっても血液に触れる職業の人には血液感染に関する法定講習を受講する義務が課されています。それがこのハートセイバーBBPです。医療機器メーカーや清掃業、理容師、救護ボランティア、葬祭業など、他人の血液に触れる感染リスクを持った人は日本にもたくさんいます。本講習では、主にファーストエイド・プロバイダーを意識した形で血液感染の基礎と予防、被爆したときの対処などをわかりやすく説明します。2時間〜2時間半くらいです。

詳細・申し込みはこちらから

= 開催日 =
11月3日(祝)



PALS Provider【One Day】
ACLSと並んでよく知られている小児の二次救命処置の基本がPALSです。今回は、AHA-PEARSを履修済みの人を対象に通常2日かかるコースを1日に凝縮して履修していただく特別コースです。

詳細・申し込みはこちらから

= 開催日 =
11月27日(日)


BLSヘルスケアプロバイダーコース
いわずと知れた医療者向けの高度な心肺蘇生法プログラムです。BLS−AED.net横浜では、現在2種類のコースを開催しています。G2010暫定コースとG2010正式コースです。どちらも最新のガイドライン2010で履修内容は変わりませんが、新しいDVDとテキストがまだ日本語化されていないため、日本語での学習を希望する方は旧2005ガイドラインの日本語教材に変更を加えることで開催する暫定コースをお勧めしています。新しい英語版DVDとテキストを使用する講習も提供しています。こちらも講習当日は日本語でのフォローはしますが、お手元に残るテキストは英語となります。また正式コースはハワイのトレーニングセンターに登録させていただくので修了カード発行までに2ヶ月ほど時間がかかります。

詳細・申し込みはこちらから

= 開催日 =
10月24日(月)・・暫定コース(日本語教材)
10月25日(火)・・暫定コース(日本語教材)
10月26日(水)・・正式コース(英語教材)
11月03日(祝)・・正式コース(英語教材)


posted by BLS-AED.net横浜 at 13:17 | TrackBack(0) | BLS-AED.net横浜からのお知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする