横浜駅から徒歩5分の場所で、AHA-BLS-HCP、PEARS、ファーストエイド講習を開催しています。

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2015年06月29日

沖縄初のAHA-PEARSプロバイダーコース、開催報告

沖縄県下で初めての開催となるAHA-PEARSプロバイダーコースが終了しました。

沖縄県那覇市で初開催のAHA-PEARS(ペアーズ)プロバイダーコースbyBLS沖縄


那覇で精力的に活動しているAHA活動拠点BLS沖縄さんとのコラボで実現した初の企画でした。

2008年にAHAが開発して以来、英語教材しかないにも関わらず、じわじわと日本でも認知されてきた看護師向け急変対応プログラム。

沖縄では開催実績がなかっただけにどれだけ申し込みがあるか手探りではありましたが、土日で立て続けに2回開催したコースは満員御礼、キャンセル待ちが出るほどの盛況に終わりました。

PEARSで学ぶのは『救命の基本原理』

PEARSは小児急変対応コースですが、その活用範囲は小児を専門に扱う医療者だけではありません。

今回の沖縄PEARSでは、小児の認定を持つ看護師さんの参加もありましたが、救急救命士さん、歯科衛生士さん、民間の救命法指導員さんなど、救命の基本原理を学びたい!、という人たちが幅広く集まった印象です。

最近はとかくインスタント化される救命講習、普及のためにはそれは必要なことですが、きちんと理屈を理解した上で実施すべき人たちが「しっかり学べる」教育がなくなってきているのが現状です。

そんななか、丸暗記で条件反射で動ければいい、というレベルを卒業した人たちにぴったりだったのがPEARSプロバイダーコースだったんじゃないかなと思います。

シミュレーションは外せない

特にBLS沖縄ならびにBLS横浜が提供するPEARSでは、シミュレーション・トレーニングを重視しています。

最近、座学のレクチャーとディスカッションだけで終わらせるPEARSも普及してきていますが、今回の沖縄PEARSを受講してくださった方たちも、異口同音でシミュレーションがあってよかったという点では異口同音でした。

頭でわかるのと、実際にできる、はまったく別物です。

シミュレーションを省略しないフルサイズのPEARSでは、体系的アプローチを事前学習で知識として知り、次に映像を使ったディスカッションで具体的な使い方を学び、最後にシミュレーションの中で行動・言葉に出して実践して、使い方を身につけるという3段階で進めます。

PEARSはBLSとは違って、体育会系的に体を動かせればいいというのとは根本的に違いますので、理解し、実践できるようになるためには、それ相応の訓練方法が必要なのです。


ラピッド・レスポンス・チームの教育としても有用なPEARS

PEARSでは、心停止後の対応も扱いますが、どちらかというとおまけみたいなもので、PEARSが目指すメインは心停止になる手前の段階で気づいて心停止を予防することにあります。

というのは小児が心停止にまで陥ると救命の可能性がほとんどない、ということのほか、心臓突然死が多くはない小児では心停止は防げるというのが根底にあります。

これに対して成人傷病者は突然に心室細動を起こして心肺停止に陥るというイメージが流布していますが、実はそうではないという点が近年強調されてきています。

特に病院内心停止は、成人であってもそれは偶発的なものではなく、予兆があるとはよく言われています。

そこに着目すれば、PEARSの心停止予防の観点と介入はほぼそのまま成人傷病者にも使えるといえます。

例えば、Rapid Response Team/systemという言葉を聞いたことがあるでしょうか?

RRTとRRSと略されたり、迅速対応チームと日本語で呼ばれることもあります。

これは心停止の時に病院内の医療者が招集されるコードブルーやドクターブルーなどの「コードチーム」に対して、なんだか様子がおかしい、という段階で呼ばれる急変対応というか急変アセスメントチームのこと。

米国やオーストラリアで制度化されて成功を収めて、日本でも導入が検討されている段階なのですが、これらのRRTの概念は、心停止は突然ではないから、それを防ぐためのアセスメント+初期対応の教育が必要であるという文化的な転換を示しています。

このRRT教育に該当するのが、PEARSプロバイダーコースなのです。

他にもFCCSやAMLSなど、他団体に着目すれば心停止以前のアセスメントと安定化をカバーしたプログラムはいくつかはありますが、アメリカ心臓協会AHAのプログラムの中ではPEARSだけがこれに相当します。

残念なのはPediatric、つまり小児という枕詞がついてしまっている点です。

再三述べているのように、PEARSは小児に限らずすべての院内急変に対応できる考え方、安定化介入をカバーしています。

病院勤務の看護師が学ぶべき急変対応としては、BLSとPEARSだと言い切ってしまっていいと思います。

ACLSも大切ですが、ベッドサイドにいる看護師が自分の責任下でできること、効果が絶大であるという点では、ACLSよりは先にPEARSを知っている必要があるでしょう。


沖縄でのPEARS普及の今後に期待

さて、沖縄で初開催のPEARSの話に戻りますが、沖縄の方たちにとってもPEARSは斬新な内容だったようで、コース終了後、夜遅かったにも関わらず、なかなか人がはけず、受講者同士での情報交換やインストラクターへの質問や相談で盛り上がっていたのが印象的でした。

新しく学んだ概念をどうやって自分のフィールドに活かしていくのか、そんな議論が続いていました。

インストラクターになりたい!

そんな声も少なからずありました。

陸続きの内地と違って、県外に学びに行くというのが容易ではない沖縄で、自分たちでPEARSコースを開催できることの意義は他県に比べて高いのかもしれません。


BLS横浜としては、沖縄でPEARSを定期開催できるような具体的なビジョンが立つのであれば、インストラクター育成やコース運営に関して最大限にお手伝いしていきたいと思っています。

BLSインストラクターに比べると、やや難易度が高く、医学的な知識も求められるPEARSですが、仮称「PEARS沖縄トレーニングサイト」のサイト長を担ってくれるようなキーパーソンが名乗りでてくれれば、本格的な支援を考えていきたいと思っています。




posted by BLS横浜 at 21:35 | TrackBack(0) | PEARS/PALS (小児救急・急変対応) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月21日

AEDの電源を入れるタイミング、勘違いしていませんか?

「いざという時にはAED!」という意識が根付いてきたのはうれしいことですが、不正確な理解が広まっているのが気になるところです。

特に、AEDを装着するタイミングは、驚くほど誤解されています。

AEDは医療機器ですから、使用条件(適応)がきっちりと定められています。

1.反応なし
2.呼吸なし

上記の条件を満たした場合、つまり心停止を疑う場合にはじめて使用する道具です。

「大丈夫ですか?」と呼びかけて反応確認をした後、「あなたAED持ってきて!」となりますが、すぐにAEDが届いたとしても、呼吸確認をするまでは、AEDは装着しない、ものなのです。

もう一度いいます。「AEDは心停止が強く疑われる人」に使用するものであって、具合の悪い人に念のため装着するものではありません。

意識・反応がない人がいたら、胸から腹にかけての動きを目で見て、「正常な息をしている」と10秒以内に確信が持てなければ、胸骨圧迫を開始しますし、AEDがすでに届いていれば、この時点でAEDの電源を入れて装着します。

呼吸をしていない!(もしくは普通じゃないヘンな呼吸をしている)

この確認を守らないと、酔っぱらいや失神発作で倒れた人が、みんな服を切られて、公衆の面前で裸にされることになってしまいます。

意識がなければAED手配と119番通報するのは正解ですが、AEDが手元に届いても、明らかに呼吸がある場合や、朦朧としていてでも意識がある場合はAEDを装着する必要はないということも知っておいてください。

また指導員は、このAED使用の原則についてきちんと知っておく必要があります。

普及促進という点ではまどろっこしく感じる部分もあるかもしれませんが、胸骨圧迫と違って除細動は紛れもない医療行為であるという認識を、指導員は忘れないようにしたいものです。



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