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2016年02月22日

呻吟(しんぎん)…肺組織病変の兆候

PEARSを学ぶからには、呻吟(しんぎん)についても知っておいてください。

PEARS-DVDの中ではGrantingという英単語で表現されています。そして実際の呻吟を呈している乳児の映像も出てきます。

呻吟は泣き声のようにも聞こえる、呼気時の「うめき声」です。
これは息を吐くときに声門が閉じるために生じる音です。

なぜ息を吐くときに声門を閉じるのかというと、胸腔内を陽圧に保って、肺が虚脱するのを防ごうとするからです。

南山堂の医学大辞典では次のように説明されています。

「呼気性呻吟の出る理由は呼気時に声門を閉じることにより、気道内とくに肺胞内に陽圧を残して、肺胞の虚脱を防ごうとするものであり、持続的陽圧呼吸法continuous positive airway pressure(CPAP)の目的とするところと同じである」


簡単に説明すると、肺炎など、炎症によって肺胞が水っぽくなっている状態で、息を吐き切ってしまうと、肺胞がぺたっとつぶれて、表面張力で張り付いてしまいます。

そうなると、次に息を吸って肺胞をふくらませるときに、張り付いたのを剥がすためにより強い力が必要というのは想像できると思います。

風船をふくらませる時も最初が一番力がいりますよね? ある程度ふくらんだところから、風船を大きくするのにはさほど努力は要りません。

つまり、息を吐き切ってしまうと、呼吸がしにくくなるため、それを防ぐために息を吐ききるまえに声門を閉じて肺胞が潰れるのを防いでいる、そんな体の自然の働きです。

このことをイメージしておくと、呻吟を見たときに、肺胞が潰れたら膨らみにくい病態になっているんだなと想像できます。肺胞の問題だから、上気道閉塞や下気道閉塞ではなく、肺組織病変だと関連付けられます。



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2016年02月21日

PEARSでは教わらない呼吸障害の兆候の機序

PEARSの学習を楽しくするためのヒントを少々。

生命危機状態として、PEARSプロバイダーコースでは、呼吸障害4タイプと循環障害2タイプの判定方法を学びます。

そのうち、呼吸障害の4つ、すなわち上気道閉塞と下気道閉塞、肺組織病変、呼吸調整機能障害を判定するためには、それぞれに特徴的な症状・兆候を見つけるのがポイントになります。

この表の中では、特徴的な兆候に下線を入れました。

PEARS(ペアーズ)プロバイダーコース呼吸障害の判定


これがわかれば、PEARSコース上、判定はできるのですが、丸暗記しても面白くありません。そこで予習で下記の点を調べてくることをお勧めします。

残念ながらPEARSのテキストにはそこまで細かいことは載っていませんので、手っ取り早くはネット検索などを利用するといいと思います。

1.上気道閉塞では、吸気時に喘鳴(狭窄音)が聞かれるのはなぜか?

2.下気道閉塞では、呼気時に喘鳴(狭窄音)が聞かれるのはなぜか?
  (このメカニズムが分かれば、呼気延長の理由もわかります)

3.呻吟とはなにか? 呼吸のどのタイミングで聞かれるのか? なぜ起きるのか?

4.いわゆる断続性ラ音が聞かれる機序は? 肺のどの部分がどうなってる?


これらをある程度調べておくと、PEARSが俄然おもしろくなってきますので、ぜひ探ってみてください。





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2016年02月11日

AHAガイドライン2015講習 受講者用補助資料の配信を始めました

AHAガイドライン2015準拠の成人・小児(乳児含む)のアルゴリズム図を含む「オリジナル講習補助資料」を作成しました。高画質で印刷できるPDF形式でダウンロードできます。

AHAガイドライン2015の小児・乳児複数BLSアルゴリズム図【BLS横浜オリジナル】

AHAガイドライン2015の小児・乳児救助者1人BLSアルゴリズム図【BLS横浜オリジナル】

AHAガイドライン2015の成人BLSアルゴリズム図【BLS横浜オリジナル】

G2015のアルゴリズムは、公式日本語化されたものが、AHAガイドライン2015ハイライトの中身として米国AHAウェブサイトで公開されていますが、文化背景を考慮しない直訳ということもあり、講習の中で参照してもらうには使い勝手が良くありません。

そこで、英文のガイドライン原本を参考に、BLS横浜で独自でアルゴリズムを整理して、講習会資料として作成した資料です。

これは、AHA公式版ではない点にご注意ください。

またBLS横浜での講習展開のために作成したものですので、院外心停止のアルゴリズムの概念は掲載していないなど、汎用性のあるものではありません。

下記のコースに対応しています。

・BLSヘルスケアプロバイダーコース
・PEARSプロバイダーコース
・PALSプロバイダーコース
・ACLSプロバイダーコース

3枚構成で、BLSヘルスケアプロバイダーコースでは3枚すべて、PEARS/PALSコースでは2枚目と3枚目を使用します。

ACLSプロバイダーコースやACLS-EPコースの補助資料として使う場合は1枚目だけで十分なはずです。

受講者の皆さんの事前学習にお役立てください。



ダウンロード
(PDF:約800KB)


2016年3月10日:一部改定




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2016年02月07日

【考察】 G2015 ヘルスケアプロバイダーの通報のタイミング

昨日は、午前中の「傷病者対応コースfor bystanders」に続けて、午後はBLSヘルスケアプロバイダーコースを開催しました。

どちらも最新のガイドライン2015で開催したのですが、方や市民向けプロトコル、かたや医療者向けプロトコル。

続けてやってみると、同じガイドライン2015でも、変更の中身は随分と違うものだなと感じました。

市民向けCPRは、しいて言うなら、胸骨圧迫のテンポの上限の120回を示す以外は大きな変更はないように思います。ですから、旧2010の教育ビデオや教え方でもほぼそのまま通じます。

それに対してヘルスケアプロバイダー向け勧告はG2005、2010、2015と大きな変遷を見せています。

手順の一部だけをピックアップして並べますと、

CPR開始までの手順の推移*AHAヘルスケアプロバイダー向けアルゴリズム


こうして並べてみると、最新のG2015は、2つ前のG2005の手順に回帰したようにも見えます。脈と呼吸を別々に見るか、同時に見るかの違いだけで、「流れ」としては、2世代前に戻ったようにも思えます。

しかし、問題は、【通報】のボックスの中身にあると思います。

今回のガイドライン2015では、通報の仕方の中身が細かく検討されるようになり、アルゴリズム図からはなかなか計り知れない複雑さを示しています。

これまでのガイドラインでは、「通報」のボックスには概念としては大きくふたつ、

1.救急対応システムへの連絡
2.AED手配

が含まれていました。そしてこれは別個のアクションというよりは、ほぼひとかたまりのものとして捉えられていたように思います。

つまり、「通報」を依頼された人は、「119番に通報して、AEDを見つけて戻ってくる」ことが期待されていました。(細かいシュチュエーション別に見ればもっと多様性がありますが)

G2005と2010のアルゴリズムでも小児に関して言えば、

1.その場で叫び、助けを求める(周りに誰かいるかいないかに関わらず)
2.救急対応システムへの通報+AED手配

というように、評価や救命の手を停めてまでして通報をするか、手を停めずに叫ぶだけで応援を要請するかを分けている部分はありました。

(目撃のない心停止≒呼吸原性心停止であれば、叫んでも誰も来なければ通報よりCPR着手を優先する。2分間CPRしても反応が戻らず誰も来なければ、手を停めて通報+AED入手)


それが、G2015では、成人のBLSアルゴリズムも含めて、通報の中身を3つのフェーズに分ける概念が採用されているように思います。

1.その場で叫び、助けを求める
2.救急対応システムを発動させる
3.AEDを入手する

この視点にたって、G2015成人BLSのアルゴリズムを見ると、すこし解釈が変わってくるかもしれません。

AHAガイドライン2015成人BLSのアルゴリズム一部抜粋(AHAガイドライン2015ハイライトより)



2番目のボックスの中身をみると、傷病者に反応がなければ、

1.大声で周囲に助けを求める
2.携帯端末で救急対応システムに通報する(適切な場合)
3.AEDおよび救急治療資器材を持ってくる(もしくは誰かにAEDを取ってくるように依頼する)

という行動が示されています。

これを見ると、このボックスで必ず行うのは、

1.その場で叫ぶ
2.AEDを取るか手配する

の2点であり、救急対応システムへの通報は(適切な場合)とあり、絶対条件的には書かれていません。

そして、心停止確認後、CPR開始前に破線部分の注釈にあるように、CPRを開始する前には、

1.救急対応システムへの出動要請
2.AED手配

の2点が修了していることが求められています。

これらをどう解釈するか、、、、ですが、この例は成人のBLSですから、心原性心停止(すなわち心室細動)を前提とし、救命の要は早期除細動と考えます。

ですから、反応がない人がいた場合は、心停止を確認する以前の速いうちからAED手配を考えます。つまり、まずは叫んで近くに人がいればAEDを持ってくるように頼み、もし誰もいなければ、近くにAEDがあることを知っていれば自分で取りに行きます。

AED手配と救急対応システムの通報がこれまでは同列に扱われていたのに対して、ここからは、AED手配が優先されることが示されているように思います。

現実的には、AEDが近くにあることを知らなければ、119番通報することが、=AED手配ということにもなるかと思いますが、厳密には概念を分けていると考えると、理解しやすいように思います。

話が少し込み入ってきてしまいましたが、結論をいうと、ヘルススケアプロバイダーの通報のタイミングはフレキシブルで、明確には規定されていないということです。携帯電話や病院内PHS、トランシーバーのような携帯端末で時間を掛けずに通報できる場合は、早期に呼ぶべきだし、通報に時間が掛かりそうなら心停止を確認してCPR開始する前までには通報するように、ということです。ただし、AEDの手配は遅れることがないように配慮するように、ということになります。

これがガイドライン変更の概念ですが、これをどのように受講者に伝えていくのかは難しいところです。今回出てきたトピックとしては、スマートフォンのハンズフリー通話機能を活用して、手を止めずに通報を行う案も示されています。

教える上では煩雑さは敵ですから、おそらく一元的なシンプルな形に整理されそうな気がしますが、2月15日のヘルスケアプロバイダーコース教材(英語)がリリースされるのが楽しみです。




posted by BLS横浜 at 12:35 | TrackBack(0) | 蘇生ガイドライン2015のBLS/ACLS/PEARS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする