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2017年01月22日

親子で学ぶ救命教室〜地域密着企画講習の意義

今日は、本牧にある「かいじゅうの森ようちえん」での講習会でした。

題して「親子で学ぶ救命教室」。

毎年この時期に開催させてもらって、もう4年目になります。

ようちえんのお子さんと、そのご家族とで一緒に心肺蘇生法を体験・練習しようという企画。家族ごとに成人マネキン1体と小児マネキン1体を用意し、親子ともども一緒に心肺蘇生法を体験してみようという企画です。

子どもたちもアンパンマンの音楽に合わせて一生懸命マネキンの胸を押していました。

今回は、赤ちゃんを連れて参加された家族が2組いたので、急遽、乳児のCPRと窒息解除法も付け加えてみました。

すでに来年の予約も頂いて、次回は2018年2月3日(土)予定です。今回は、遠く埼玉や東京からボランティアでインストラクターが駆けつけてくれました。

来年もまた近くなったら募集させていただくと思いますが、直近だと3月6日(月)にも横浜市内の幼稚園で親御さん向けの小児・乳児蘇生法教室を予定しています。

現在、お手伝いいただけるボランティア・スタッフを募集中です。


かいじゅうの森ようちえんでの親子で学ぶ救命教室
園のパンフレットと園長先生に頂いた朝取れのたまご



さて、私たちはいろいろな形で救命スキルを伝える講習や普及活動を展開していますが、今日の幼稚園でのご家族向け講習のような機会は、特にやりがいのある仕事だと思っています。

日頃BLS横浜でしているような一般公募での講習に来てくださる方は、基本的には意識の高い方、といえます。特に医療従事者向けのBLSプロバイダーコースなどは、もともとある程度できる人が、スキルアップを目指してくるというケースが少なくありません。

それはそれで意義のあることですが、地域社会での救命率を上げるという公衆衛生学的な意義を考えたときには、もともとは救命法をまったく知らなかった人たちが、新たに技術を身につける、意識をもつということには、また違った次元での絶大な価値があると思うのです。

わざわざ出向いてまで救命講習を受けようとは思っていない方にアプローチするのはどうしたらいいか?

それが可能となるのが、今回のような既存の地域コミュニティ内での救命講習の企画です。

今回は、幼稚園でしたが、日頃通っている身近な幼稚園の中で救命講習をするなら、参加してみようかな、と思う方もいます。


そんな、公募講習をしているだけでは決して出会うことができない方たちに、救命法をお伝えできる機会は私たちにとっても非常に意義深いやりがいを感じる時間です。

そういった意味で、こうした依頼をいただくことに感謝しています。

インストラクターとしても自分たちが持っているスキルが、社会に還元できることを実感できるひととき。

感謝です。




posted by BLS横浜 at 12:50 | TrackBack(0) | 救命講習会日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月16日

最新のAHA-BLSプロバイダーコース、BLS-IFPとBLS-PHPコースの違い

ながらくAHA-BLSとして知られていたBLSヘルスケアプロバイダーコースが、ガイドライン2015改訂に伴い、BLSプロバイダーコースと名称変更され、内容がガラリと一新されました。

教材設計的な違いについては、これまでも何度も取り上げてきましたが、今日はシナリオによって2種類の内容が混在していることについて紹介します。

すでに日本語化されているBLSプロバイダーマニュアルを見ても、まったくわかりませんが、この新しいBLSプロバイダーコースは、DVD教材の上では、完全に2種類に分けられています。

BLS for Prehospital Provider

BLS for in facility Provider

プレ・ホスピタルという単語は直訳すると病院前。

傷病者が医療機関に運び込まれる前に対応する人向けのBLSということです。具体的には救急隊員やプライベートで救急対応する非番の医療従事者、スクールナース(日本で言うと保育園看護師や看護師免許を持った養護教諭)などです。

in facilityというのは、あまり馴染みがない単語かもしれませんが、Facilityは施設という意味です。ここでも主に病院を主とした医療施設内で緊急対応する人のことを指しています。

つまりざっくり言うと、BLSコースが、病院内対応と病院外対応でわけられるようになったということです。

AHAガイドライン2015は、Life is Whyというスローガンに象徴されるように、現場主義が強く打ち出されてます。お作法的に技術を教えるだけでは不十分で、それを現場で使えるようにするためには、応用力を培わなければいけない、という考え方です。

そこで、これまではあえて避けてきた現実の複雑な状況判断と意思決定の場面を、リアルなシナリオ動画の中で描くことで、身につけるべき基礎技術と、それを現場で使うために必要なノン・テクニカルスキルの例を提示するようになりました

その最大公約数が、病院内での急変対応と、病院外での救急対応の2種類というわけです。

AHAガイドライン2015正式版BLSプロバイダーコースのIFPとPHPシナリオ一覧


どちらを選んでも実技試験、筆記試験は同じで、学ぶコアコンテンツも同じです。しかし、提示されるシナリオ動画が、病院勤務の医療者と、病院外で活動する救急隊やスクールナース、警備員などで、現場をイメージしやすいように分ける工夫がされています。

今後、日本でもこのDVDが日本語化されて、公式開催されるようになったら、公募段階でBLS-IFPコースと、BLS-PHPコースが区別されて募集されるようになるのではないでしょうか?

これまで、BLS横浜では、FPとPHPをいいとこ取りををして混在型でコース開催していましたが、4月以降は公募段階で明示していくつもりでいます。




posted by BLS横浜 at 00:15 | TrackBack(0) | 蘇生ガイドライン2015のBLS/ACLS/PEARS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月08日

CPRをシミュレーションと振り返りで身につける

2017年度最初の講習は、ハートセイバーCPR AEDコース でした。

世界中のAED講習の元祖となったプログラムだけに、基本に忠実なベーシックな内容。

その分、時間も短時間で終わりますので、BLS横浜では、いつも最後に受講者に合わせたシミュレーションや、おまけの補講を付け加えています。

今日は、受講者さんから、「ポケットマスクの組み立てるタイミングはどうしたらいいですか?」と質問があったので、それをシミュレーションでやってもらい、デブリーフィング(振り返り)で考えてみました。

現実問題、日本でよく見かけるレールダル社のポケットマスクは、畳まれたマスクを広げて(これが冬場はけっこう固い!)、マウスピースを取り付ける必要があるので、意外と手間です。慌てるとマウスピースがコロコロと転がっていくし…

そもそも傷病者を発見した時点で、Myポケットマスクを持っている人もそう多くはないので、AEDを持ってきたら、一緒にポケットマスクがついていたという方がまだ現実的。

ということで、やってみました。

AEDと一緒にポケットマスクが届いたシミュレーション


1人で胸骨圧迫のみのCPRをしているところ、第二救助者がAEDとポケットマスクを持って到着。

そんなとき、さっそく二人は壁にぶつかります。二人が行うべきプライオリティの高い行動はどれか?

1.胸骨圧迫継続
2.ポケットマスクを組み立て→人工呼吸開始
3.AEDの電源スイッチを入れて、指示に従う

3人目がいれば、また違ってきますが、やるべきことが3つあって、二人しかいなければ優先順位を決断しなければなりません。

傷病者の年齢や発見時の状況などで違ってくるので、ここでは答え的なものは提示しませんが、こういうときこそ、シミュレーションでやってみて、振り返って、みんなで考える、という経験学習が重要になってきます。

答えを見出す、のではなく、考え方を醸成するような教育アプローチが必要です。

この日の午後に開催した 新しいG2015教材を使ったBLSプロバイダーコース では、まさにこうした経験学習とデブリーフィングによる学習が新たな手法として正式に取り入れられています。

今までは、ACLSやPALS、PEARS(シミュレーションを省略しているPEARSコースを除く)でのみ、採用されていた教育メソッドが、BLSにまでおりてくるようになったのです。


いままでは武道の演舞のような、型を身につけ模倣する心肺蘇生法教育が標準でしたが、G2015のAHA-BLSから、心肺蘇生法教育が変わっていきます。



posted by BLS横浜 at 00:44 | TrackBack(0) | 蘇生ガイドライン2015のBLS/ACLS/PEARS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする