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2015年01月06日

心肺蘇生法のしくみ

心肺蘇生法(CPR)は、自発呼吸が停止し、心臓の拍出機能が停止もしくは著しく停止した人に対して行う救命処置です。

人が生きるためには酸素が必要です。大気中の酸素を体の細胞に届ける機能を代行するがCPR、と考えてみてください。

酸素の流れで考えます。

自発呼吸が止まっているから、強制的に肺に空気(酸素)を送り込むのが人工呼吸です。その名の通りですね。

肺に達した酸素は、肺胞から血液中に血液ガスとして溶け込みます。

血液に酸素が溶けこんでも、それが循環しなければ、体の各細胞には届きません。
そこで胸骨圧迫です。

血液のポンプ機能が停止した心臓に代わって、胸骨の上から強く速くおして、血液の流れを生み出します。

こうして、はじめて大気中の酸素が体の各細胞へ届けられるのです。

なので、基本的には、


人工呼吸 → 胸骨圧迫


という流れが自然です。

しかし、最近は、


胸骨圧迫 → (人工呼吸)


という図式が定着してきています。

逆ですよね? しかも、人工呼吸は( )付き。省略してもよいという論調。

なぜでしょうか?

ヒントですが、「人工呼吸をしなくても、血液中に酸素が溶け込んでいる状況なら」、と考えれば、納得いきませんか?

心肺停止状態が発生する"なりゆき"を考えてみます。

もし、突然に心臓の機能と呼吸機能が同時に停まったとしたら、、、、

直前まで普通に呼吸をしていたわけですから、血液中には酸素が溶け込んでいますよね?

問題は、心臓の血液ポンプ機能が停まったから、血液中の酸素が細胞に届けられない。

そんな状況だったら、人工呼吸で手間取るより、すぐに胸を押して、血液循環を生み出すほうが大切。

これが最近、よく言われる胸骨圧迫のみのハンズオンリーCPR(Hands only CPR)の基本原理です。




しかし、もう一歩踏み込んで考えてみてください。

血液中に酸素が溶け込んでいる状態だからこそ、胸骨圧迫だけでいい。

しかしもし、血液中の酸素が使い果たされた状況で起きた心停止だったらどうでしょう?

たとえば、水に溺れて息ができなくて心肺停止になった状況とか、呼吸困難で意識を失って心肺停止になったとか。

この場合、体の中の酸素を使い果たしてしまったから、心臓まで止まってしまったと考えられます。

人が生きるしくみは、大気中の酸素を体の中の細胞に送り届けること。

胸骨圧迫だけで血液循環を促しても、送り届けたい酸素が血液中になければ、あまり効果的でないのはわかりますよね?

つまり、心肺蘇生法のしくみを考えた時に、Hands only CPRよりは、人工呼吸もきちんと行った蘇生法のほうが好ましい状況もあるのです。

世の中の一般的な統計では、心臓突然死、つまりが心臓と呼吸機能が同時にとまるケースが最も多いと言われ、社会的に問題になっています。

そこに着目すれば、Hands only CPRという誰でもできる簡便な蘇生法の普及が劇的に効果が期待できます。

しかし、子どもに多い呼吸のトラブルに起因した呼吸原性心停止や、プールや水辺の事故に対応する可能性が高い職業人にとっては、胸骨圧迫だけの心肺蘇生法では不十分かもしれない、とも言えます。

人工呼吸は技術的に難易度がやや高く、体液からの病気が感染するリスクや、心理的抵抗など、ややハードルが高いのは事実です。

しかし、呼吸のトラブルが想定される専門職であれば、素人レベルで言う「難しさ」は物ともせず、目の前で起きたことには適切に対応するという気概でしっかりと訓練をしてほしいと思います。



posted by BLS横浜 at 21:42 | TrackBack(0) | 心肺蘇生の仕組み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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