AED操作で教えるべき唯一の動作は電源スイッチを入れること、ただそれだけです。
現在日本で認可されているAEDのほとんどは、蓋を開ければ自動でスイッチが入るタイプですから、もはや「技術」としてAEDを教える内容はなくなったといってもいいかもしれません。
AEDは機械の設計として、「音声指示に従って操作する」ことを前提として作られた機械です。つまり、訓練を受けていない人が使う道具である、という基本を思い出しましょう。
AED講習で教えるべきなのは、パッドの貼り方などではなく、「音声指示に従う」という「態度」なのですが、このことはあまり理解されていません。
施設職員向け研修などでは、施設に配備されたAEDの操作を「覚える」ような講習展開もありと思いますが、不特定多数向けの一般講習で、あるメーカーの特定機種の使い方を覚えさせても、受講者が遭遇するのが同じ機種とは限りません。
以前は「AEDは機種が違っても操作は大きくは変わりません」という点を強調していましたが、いろんなメーカーの様々な機種が認可されてきた今、直感的に使えるAEDだけではなくなってきていますので、分かった気になってAEDの指示を聞かずに操作することは危険です。
そこで大事なのは、音声指示を先回りしてでも早期除細動を目指すような指導ではなく、機種固有の音声メッセージをよく聞いて従う、という態度を醸成することです。原則論に立ち返るべき、とでもいいましょうか。
そう考えた時に、一般向けのAED訓練に使うAEDトレーナーの機種選定では、実機が存在するかどうかという点は重要な問題ではありません。
むしろ実機の存在しない練習用オンリーの機種の方がトレーニングには適しているといえるかもしれません。
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