横浜駅から徒歩5分の場所で、AHA-BLS-HCP、PEARS、ファーストエイド講習を開催しています。

開催日程詳細・お申し込みは ホームページ をご覧ください。

2016年08月27日

幼稚園での「小児BLS&エピペン」研修

先日、幼稚園で「小児BLS&エピペン」研修を担当させていただきました。園の教職員ほぼすべての20名が参加してくださり、小児マネキンとポケットマスクを使った子どもの蘇生法とエピペンで2時間半で。

小児マネキンとポケットマスク


施設内の研修ですから、現実に即して日頃AEDが置いてある場所まで走って取りに行ってもらいました。ポケットマスクも現実的には日頃持ち歩くものではないので、まずは胸骨圧迫でCPRを開始して、AEDが到着したらポケットマスクで人工呼吸を開始、という流れで練習をしていきました。

講習会場で行う公募講習と違って、施設への出張講習では、シチュエーションを具体的に限定したトレーニングを行えるのが強みです。

エピペン研修では、BLS横浜得意のシミュレーション訓練で、119番通報の具体的なやり取りや、救急車の侵入経路の検討など、園としての救急対応全般について、全職員で同じ認識を持つことができました。

幼稚園や保育園、学校での救急法は個人技能ではありません。

システムとしての対応という視点が必要です。

救急法トレーニングは園を上げて行う防災訓練。

そんなメッセージが伝わったと確信を持てる感想を園長先生からいただけたのは、救命法インストラクターとしての喜びでした。





2014年10月05日

「エピペン使用だけにとどまらない緊急時に備えた救命講習の必要性について」

小児保健の専門誌「チャイルドヘルス」にエピペン関連の記事を書かせていただきました。

エピペン使用だけにとどまらない緊急時に備えた救命講習の必要について


いちはやく2007年頃からエピペン研修に取り組んできたBLS横浜ならではの視点で、エピペン研修のあり方と、心肺蘇生法と有機的に関連付ける必要性、またシミュレーション・トレーニングを取り入れることの意義を4ページに渡って書かせていただきました。


「エピペン使用だけにとどまらない緊急時に備えた救命講習の必要性について」
チャイルドヘルス2014年10月号 vol.17 No.10, p.51-54


エピペン注射を行うからには、心肺蘇生法を心得ていることがその前提条件です。
そして、できればエピペン注射というファーストエイド処置と、心肺蘇生法は深く関連した一連のものとして心得ていることが望ましいと言えます。

さらに、エピペン研修や救命講習は、外部での一般講習に参加するだけでは不十分で、施設内でシミュレーション訓練を行うことが実行性への大きなステップになります。

そんなことを実例を踏まえて解説してあります。

保育園ナースや養護教諭の皆さんにぜひ読んでいただければと思います。


なお、記事の中で紹介したエピペン&小児BLS講習は次回12月7日(日)、横浜での開催となります。
現在、参加者募集中です。








2014年08月24日

エピペン講習のデブリーフィング

昨日のアナフィラキシー対応(エピペン)&小児BLS講習の参加者は全員看護師さんでした。

保育園勤務の方がいましたので、園を想定したシミュレーションを行いました。ACLSを履修している方や、小児アレルギーエデュケーターの方もいて、非常にスムーズ。

子どもたちの誘導や119番通報、注射後の管理と観察など、チームワークもばっちりでした。

後の振り返りで、「今日はわかっている人たちばかりだったのでうまくいったけど、これが保育園で同じようにできるか不安」という声が上がりました。

これはACLSでもPALSでも同じかもしれません。

そこで参加者に尋ねました。「なぜうまく行ったのだと思いますか? もうすこし具体的に良かった要因を挙げてみましょう」

シミュレーション後のでデブリーフィングの目的は、できなかった点、うまく行かなかった点を見つけて改善するだけではありません。

うまくいったのなら、その要因を明らかにして、たまたまではなく、意図的に同じようにうまくいくように経験を”一般化”していくことも大切です。リアルな事象でも再現できるような経験知に変えていくのです。

このように振り返っていくと、公募講習のシミュレーションでできるけど、現場でできないということのギャップが、保育園等の施設のシステム的な部分や、事前準備や教育に大きく関係していることが見えてきます。

今回うまくいったのがみんながやるべきことをわかっていたからだ、というのなら、それを再現するには、保育園職員全員が同じ教育を受けることで解決できるのではないか? など。

講習が終わる頃には、施設全体のシステムという俯瞰した視点で考えるようになって帰っていきます。

施設ごとの個々の問題に、私達インストラクターは個別に対応はできません。ですから、答えを提示するのではなく、考え方と視点と方向性を示すことで、その後の可能性の広がりに期待したいと思っています。

シミュレーションベースのエピペン講習に答えはありません。

ファシリテーター(インストラクター)にとっても、受講者の皆さんとの情報交換、ディスカッションから毎回新たな学びがあります。





2014年06月08日

普通救命講習III 子どもの救命法を依頼するポイント

ガイドライン2010で、日本の蘇生ガイドラインでは、"ユニバーサル化"されて、子どもの特性を踏まえた蘇生法は、大人の蘇生法に吸収されてしまいました。

これにより、旧来あった子どもの蘇生法は一般市民には教えないことになったのが現実です。

しかし、子どもの救命法を必要としている人達、例えば保育士、小学校教諭、児童施設の職員、思春期未満の子どもを持つ親御さんたちはどうしたらいいのか? ということで、日本版JRC蘇生ガイドライン2010では次のように勧告しています。

「市民のうち小児にかかわることが多い人、すなわち保護者、保育士、幼稚園・小学校・中学校教職員、ライフセーバー、スポーツ指導者などは、小児BLS(Pediatric Basic LifeSupport:PBLS)ガイドラインを学ぶことを奨励する。医療従事者が小児を救助する場合はPBLSに従う」

わかりにくい表現ですが、簡単にいえば、子どもの救命法を必要としている人は、医療従事者と同じ「子どもに特化した蘇生法」を学ぶことが勧められている、ということです。

そのPBLSを学ぶ機会として提供されたのが、総務省消防庁のプログラム「普通救命講習III」です。(ちなみに消防の講習で、一般に開催されているのが普通救命講習Iです)



全国的に、小学校や保育園が地元の消防本部にお願いして、職員向け救命講習を開催しているところは多いと思いますが、その場合、必ず「普通救命講習IIIをお願いします」と伝えることが大切です。

ここをはっきりさせておかないと、普通救命講習Iを開催されてしまいます。

蘇生ガイドラインに書かれている通り、学校教職員・保育士向けとしては適切ではありません。本当はこのあたりは依頼を受ける側(消防側)が、きちんと判断してコンサルとしてほしいところですが、現実、そういう動きはあまりないようなので、発注する側がきちんと確認をしましょう。

普通救命講習IIIは、消防職員(応急手当指導員)も教え慣れていないことが多いため、内容をきちんと把握していないこともあるようです。

そこで、依頼段階で下記の点を確認しておくことといいかもしれません。

 ・成人マネキンではなく、小児マネキンで練習がしたい
 ・乳児マネキンを使って乳児の蘇生法も学びたい(保育園の場合)
 ・大人の蘇生法との違い(人工呼吸の大切さ)を強調してほしい

依頼する際には、学校、園側としても、JRC蘇生ガイドラインの勧告を一読して、内容をある程度把握しておくことをおすすめします。


JRC(日本版) ガイドライン2010(確定版)のダウンロード
http://www.qqzaidan.jp/jrc2010_kakutei.html


上記ページからPDFでダウンロードできる「小児の蘇生(PBLS、PALS)」の6ページです。

場合によってはこの部分をプリントアウトして、打ち合わせの時に提示してもいいかもしれません。




2013年12月09日

エピペンを巡る新展開

日本災害救護推進協議会 -JAEA-のホームページで、「反復継続の意思がない」市民救助者であれば誰でもエピペン注射ができる、とする厚生労働省の見解が示されました。

このことに驚かれた方も多いかもしれませんが、BLS横浜のファーストエイド講習に参加したことある方は、「ついに来たか!」と思われたことと思います。

そもそも医師免許を持った人と、診療の補助が認められた看護師以外には原則認められていない注射という医療行為。

それを医療者免許を持たない学校教職員と保育所職員が「できる」とされた法的根拠をご存知でしょうか?

それはひとえに「反復継続の意図がない」と厚生労働省が認めたからです。

医師免許を持っていない人が勝手に人に注射をすると、医師法違反が問われます。その医師法は医業を禁止する法律です。そしてその医業の定義は「医行為を反復継続の意思を持って行うこと」とされています。

つまり、「反復継続の意思がない」と認められる医行為は医師法違反にならないのです。

故に学校教職員がエピペン注射をしていいかと文科省が厚労省に聞いたら問題ないという回答を得たというわけです。

エピペン注射の法的根拠



子どもからエピペンを預かって、いざとなれば何度であっても注射をしようと備えている学校教員や保育士ですら、反復継続の意思がないと判断されるとしたら、、、、たまたまアナフィラキシー・ショックの現場に遭遇したレストラン従業員や通りすがりの人にこそ、反復継続の意思があるとは考えられません。

ですから、法律の仕組みを考えれば、学校教職員や保育所職員にエピペン注射がOKとされた時点で、すでに医療資格を持たない一般市民の立場の人が使えるというのは自明な話。

ただ、それが公式見解として確認されていないことが問題でした。

そこを厚生労働省に正式に問い合わせを行なったのが、NPO法人 日本災害救護推進協議会さん。

詳しくは、ホームページをご覧ください。


ここでくれぐれも勘違いしないでほしいのは、誰でも気軽にエピペン注射をしていい、という話ではないということ。

学校教職員や保育所職員の場合は、親からの信託を得て、ある意味契約を交わして、代理注射を行うという図式になっています。

バイスタンダー的に注射を行うのとはわけが違うという点です。

例えばサマーキャンプに引率する自然観察指導員などは、「学校教職員」ではないとしても、学校と同じように親御さんとの信頼関係のもとにエピペン注射を行うことは可能となることでしょう。ただ、いずれにしてもリスクを伴う行為なので、エピペンを預かるかどうかは自己判断、自己責任です。

学校教職員や保育所職員ほど守られていないのはれっきとした事実です。

また少なくとも、人に針を突き刺すという傷害行為と紙一重の注射行為。

普通はありえない話です。

そこは再確認しておきたいところです。






2013年09月30日

養護教諭・保育所ナースのための小児BLS&エピペン講習

BLS横浜オリジナル企画「養護教諭・保育所ナースのための小児BLS&エピペン講習」が終了しました。

ガイドライン2010になって、日本の一般的な救命講習からは小児の蘇生が消え去ってしまいました。JRC蘇生ガイドライン2010では、学校教職員や小さな子どものいる親などは、小児BLSを学ぶように推奨されているものの、どこでそれが学べるのかと言ったら、ほとんど絶望的な現状。

ということで、BLS横浜では子どもの救命法普及に力を入れていく方針なのですが、その第一弾として企画したのが「養護教諭・保育所ナースのための小児BLS&エピペン講習」です。

いまや学校の先生に求められる救命スキルは心肺蘇生法だけではありません。

心肺蘇生法というより、むしろエピペンがクローズアップされる今日この頃。

両方合わせて、学校の先生、中でも救命処置に関して専門職である養護教諭・保育所看護師にフォーカスした講習を組み立ててみました。

養護教諭・保育所看護師に求められる救命スキルは、自身がCPRができてエピペン注射ができる、ということだけではありません。

現場で唯一の医療・保健職。

そこに求められるのは、現場マネージメント能力であり、現場での他職員への指導力です。

心肺蘇生法は養護教諭が行うべきではないかもしれません。特に胸骨圧迫など、自身が行なっていたら、現場全体を見ることはできませんし、指示を出すこともできません。

つまり、養護教諭・保育所看護師は自分自身がCPRができることに加えて、他の人、場合によってはほとんど訓練を受けていない人をその場で即興で指導して、CPRを実践してもらう「蘇生インストラクター的なスキル」が求められるのではないかと思うのです。

また、子どもであっても人工呼吸はする必要がないと言い切る、適切とは言いがたい指導が巷で行われている現状を考えると、子どもの心停止の仕組みを理解して、何が正しいやり方なのかを、受け売りではなく、人に説明できる力も求められていると言えます。

子どもの心停止の仕組みを理解し、子どもに最適化された蘇生法が実践でき、そしてそれを人に指導できるスキル。さらにいうと、ACLSのチームダイナミクス的な現場で人を動かす力。

そんなところに主眼をおいて、CPRを約3時間、エピペン部分で約1時間の講習を行いました。

もうちょっと心肺蘇生部分とエピペン部分を関連付けて伝えられれればよかったなとか、詰めが甘かったり、焦点がぼやけてしまった部分もありますが、参加された方たちにとっては、これまでにない学習体験となったようです。

今、世の中が求めている講習プログラム。それは申し込みの多さや見学希望の多さからも見て取れます。

今回いただいた感想などから、さらなるチューンナップをはかり、可能なら11月にまた開催したいと思っています。今回、キャンセル待ちいただいていた方たちも、次回、ぜひご参加いただけたらと思います。





2013年07月12日

保育園でのエピペン研修の実際

今日は都内の保育園で「重症アレルギー反応へのファーストエイド」研修でした。
いわゆるエピペン講習です。

エピペン(アドレナリン自己注射器)注射の訓練


園長先生から、「一般のエピペン講習は臨場感がないので、ぜひBLS横浜さんにお願いしたい」と依頼をいただき、今回はアシスタント・インストラクターも交え準備万端で臨みました。

講習時間はエピペン使用を中心に1時間きっかり。

最初の10分くらいで、アレルギーの基礎理解と、アナフィラキシー・ショックで人が死に至る機序を説明。

エピペンの使い方は、まずは自分に打つ基本形を練習して、その後、二人一組で人に打つ練習。この際、ポイントとしているのは「体勢」と「固定」です。

「苦しがっている子どもってどんな姿勢でいるでしょう? 傷病者役の人は、思い思いの格好をしてください」

大腿の外側に垂直に注射をするのですが、相手の姿勢によっては非常に打ちにくいです。安全キャップをはずした後に、エピペンを持ち替えることで、誤って自分の指に刺してしまうという事故のリスクが増大します。

そこで、エピペンを順手に持つのか逆手に持つのか、また自分がどんな姿勢で打ったらいいのか、を考えてもらうのです。

さらに子どもは嫌がって暴れるかもしれません。

また打った瞬間、痛みで逃げてしまって十分に薬液が注入されない可能性もあります。だから傷病者役には少し暴れてもらって、その状況下で注射部位を固定して打つにはどうしたらいいのか、考えてもらいます。

さらにいうと、自分に打つ場合と他人に打つ場合で、「注射部位を揉む」動作がすこし違ってきます。救急法の原則は、「他人の血液に触れてはいけない」だからです。そこも考えてもらいます。

まとめると、次の3ステップで注射スキルを習得します。


 1.自分で自分に打つ
 2.人に対して打つ(立位もしくは座位で落ち着いた状態)
 3.イレギュラーな体勢で、嫌がる子ども(役)に対して打つ


その後、園内での役割分担、つまり注射をする人、補助する人、通報する人など、役割を考えてもらいつつのシミュレーション。

そこでインストラクターが患児役を演じ、派手に苦しがって暴れます。

演技とはいえ、それだけでも参加者は焦ってしまい、思ったとおりの行動はなかなかできません。そこを振り返り、良かった点、改善できる点をまとめてから再度シミュレーション。

そんな構成の1時間です。

このシミュレーションの段になると、受講の保育士さんたちの表情が変わります。これまで、「エピペン注射って意外と簡単だな」と思っていたことが、実際はどうなのか、具体的にイメージが湧くからです。

このあたりを「臨場感のある講習」と評していただけるのは、私どもにとってもうれしい限りです。

部分的な技術の切り取りであるテクニカル・スキルと、実際のパフォーマンスの間にある溝をどれだけ埋めることができるか?

もちろん完璧にはできませんが、すこしでもそのギャップが解消できるように私たちも日々、訓練手法を考え、工夫しています。






2013年06月28日

エピペン注射の仕方は日米で違う!

BLS横浜では American Heart Association公式のファーストエイド講習 の中で、2008年頃よりエピペン注射の指導を行ってきました。

日本でエピペン(アドレナリン自己注射器)が薬事承認を得たのが2003年、当初はハチ刺されによるアナフィラキシーのみが適応でしたが、2006年から食物アレルギーにも適応範囲が広がり、今に至っています。去年あたりから事故が相次ぎ、今ではよく知られるようになりました。

エピペンってなに? という時代から、その指導を行なってきたので、日本の中では古参に入るかと思いますが、私たちはずっと米国の法定講習の中で教えてきたため、気づきませんでした。

どうやら、日本と米国ではエピペン注射の指導の仕方が若干違うようなのです。

この写真は、練習用エピペンの英語版と日本語版を並べて撮ったものです。

エピペン・トレーナー日米の違い


お気づきでしょうか? 注射の打ち方と、注射後に押し付けておく秒数が明らかに表現が違っています。

(米国)
・振りかぶって強く押し付ける(Swing and firmly push)
・10秒間保持(Hold on thigh 10 seconds)

(日本)
・強く押し付ける
・数秒間待つ

振りかぶって注射をするのは、前から危険だなと思っていて、当時、ガイドライン2005版のファーストエイド講習ビデオのデモンストレーション映像は、監修ミスかな、米国ゆえの大雑把さかな程度に考えていたのですが、新しくリリースされたガイドライン2010版ハートセイバー・ファーストエイドDVDでもみごとに振りかぶって注射をしています。

でも、このエピペン練習器の表記に気づいて、それは米国では正しいやり方だったのだと悟りました。(当時は旧タイプのトレーナーを使ってました)

また注射器を大腿に押し付けておく時間も、私たちはAHAのテキスト通り、10秒で教えていましたが、最近、保育園や小児科クリニックで指導させていただく中で、痛がる子どもを制しつつの10秒は長すぎるよね、ということで、AHA講習以外では数秒間保持という言い方に変えるようにしていましたが、実はこれも日本では公式なメーカー推奨のやり方だったことに後から気づいた次第です。


日本国内で他人に対してエピペン注射をできるとされているのは救急救命士を除けば、学校教職員と保育所職員。つまり注射を打つ相手は子どもに限定されています。

子ども故に怖がって暴れたり、太さ22G(ゲージ)、長さ1.5cmの針が刺さって痛いことを考えると、振りかぶると打ち損じたり、針が曲がったり、最悪折れる危険があります。また痛みを訴える中、10秒押し続けるのは困難。

そんなことはシミュレーション・トレーニングの中でも浮き彫りになってきます。

そういった意味では日本流の指導法は妥当と思います。

AHA公認講習(ハートセイバー・ファーストエイド)は、米国労働安全衛生局OSHAの労働ライセンスを発行する以上、米国流の注射の仕方で教える必要があり、そこは変更できません。特に注射時間の10秒というのは実技試験で問われている項目でもあるからです。

この点を注意しつつ、私たちは受講対象や講習の種類に合わせて、適正に指導を行なっていきたいと思っています。






2013年05月10日

保育園に出向いてエピペンを教えるということ

前回、保育園でエピペンの取り扱いを含むアナフィラキシー対応研修をさせていただいた話を書きましたが、その続きです。

新タイプのエピペン(成人用、小児用)


講習後、園長先生と専属の看護師の方と、今後の保育園としての体制や職員(保育士)への継続教育・訓練について、あれこれお話させていただきました。

エピペンの取り扱いを巡っては、マスコミでも話題に上っていますし、こうするべき! というスタンダードなやり方もあまり浸透していない過渡期にある微妙な問題です。

園に赴いて研修を行なう以上、エピペンの使い方やファーストエイド対応だけではなく、危機管理体制というシステム作りまで含めてアドバイスをするのが、インストラクターの責務かと思っています。

もしかすると、保育園としては、エピペンの使い方を職員に教えてもらう、という以上に、こうしたコンサルティングを望んでいるのでは? というくらいに質問や意見が行きかう濃密な時間でした。

保育園でも、ある程度の規模のところには看護師が常駐している場合があります。

私が訪問した園もそうでしたが、保育園ナースの方が中心となってアレルギー対策を考え、保育士向け教育を行なっているのが現状ですが、たいてい看護師は一人。

相談するところもなく、手探りで苦労されている様子がよくわかりました。

保育士に対しては、厚生労働省が出している資料にあるアナフィラキシー症状の「グレード」をベースにした教育体制を考えていたようですが、たぶん、難しすぎます。そこは保育園ナースの方も悩んでいたようでした。

そこで、緊急度の判断ということで、AHAのPEARSやPALSの迅速評価の考え方をベースにすることを提案してみたら、手ごたえを感じてくれたようで、次回(3回に分けて全職員に研修をすることになってます)はもう少し詳しくお話させてもらおうと思いました。

そこで思ったのは、私も含め、エピペンも含めたファーストエイド講習展開をしているインストラクターのもとにはそれなりに情報が集まってきます。

公募講習に参加される養護教諭や同じく保育園ナース、保育士からの相談や現状。親御さんからの意見など。

私は保育の現場にいる人間ではありませんが、そうした中にいると見えてくることがあります。

知らず知らずのうちに貯まった、そんなノウハウや情報をお話させていただくことで、園としての対策が具体的に見えてきたようです。

このようにエピペン講習とその後のコンサルティングなどを含めて、エピペンという器具としては単純な道具について教えることの周辺事情と奥深さを実感した次第です。

そしてなにより、こうした相談への対応は私どもインストラクターにとっても、大きな勉強となり、またそれがノウハウの蓄積となり、次につながっていきます。

私たちも日々、学ばせてもらっています。





2013年05月08日

エピペン講習のあり方、現場に必要なこと

とある公立保育園からの依頼で、エピペン使用法を含むアナフィラキシー対応研修を行なってきました。

エピペン(アドレナリン自己注射器)


エピペンの使用法自体はとても簡単です。使い方を教えるだけなら10分もあれば十分です。

通常はそこにアレルギーの仕組みや、症状の「グレード」の説明などを加えるのだと思いますが、現場で求めているのは、難しい理屈ではなく、使うにあたっての実際。

そこで、インストラクターが模擬患者となって、苦しがっているところに、どのような対応をするか、シミュレーションをしてもらいました。

床に倒れている状態で、大腿外側に90度に注射をするのはなかなか難しいです。エピペンは握り方が大事なポイントですが、安全キャップをはずした後についつい持ち替えたくなってしまいます。そこが危険な落とし穴。

注射後、約10秒、針を押し付けたまま保持しますが、痛がって苦しがって動いている子どもに10秒間注射を続けるのは難しいです。そこで誰か足を押える人が必要になってきます。

注射をしたらおしまいではありません。注射時間の記録、記憶に頼るといかに忘れてしまうか、また症状の観察。救急隊への引継ぎも行なってもらいました。そこで実際なにを観察したらいいのかという問題に直面します。さらには看護という視点で、苦しがっている子どもにどう声を掛けるか? 家族への連絡、119番通報。

さらには周りの不安がっている子どもたちをどうするのか? 救急隊がすぐに入ってこられるように門を開ける係など、現場でやるならではのいろんな問題点が見えてきます。

いわゆるエピペン講習の目的は何か?

講習会場内でエピペン注射ができるようになることが目的ではないはずです。

保育や学校現場で、アナフィラキシーショックへのファーストエイドが行なえること。エピペンはその手段のひとつに過ぎず、テクニカル・スキルとしてエピペンが使えればいいという話ではないのです。

1時間という講習時間は決して十分な時間とはいえません。しかし、今後、職員がアナフィラキシーという緊急事態に適切な行動ができるようになるためには、どんな要素に対してどんな訓練を続けていけばいいのか、そんな示唆を感じ取ってもらえるような講習展開を心がけました。

その保育園では、職員全員に受講させたいということで、あと2回、お邪魔する予定になっています。

その後は、保育園の看護師さんが中心となって、定期的に実践的なシミュレーション訓練を続けてくれるのではないかと期待しています。ある意味、インストラクターは救命教育コンサルタント的な役割も意識すべきと思います。

エピペン講習の開催希望は、今後、AHAファーストエイド・インストラクターを中心に依頼が増えるのではないかと思います。

そんなとき、現場で求められていることは何か? また一回の講習で終わらせるのではなく、今後につなげていく提案が必要な点、ぜひこの機会に伝えたいと思い、記載させていただきました。



追記:次回公募のエピペン&子ども心肺蘇生法講習は、3月16日(日)九州の熊本市での開催となります。




2012年12月21日

エピペン注射をする優先順位

保育園で園児がアナフィラキシーショックを起こしました。その子はエピペン(アドレナリン自己注射器)を携帯しています。

今、救急車が到着し、現場には保育士と救急救命士がいますが、まだエピペン注射をしていません。

さて、そんな状況では誰がエピペン注射をすべきでしょうか?

救急救命士?

それとも保育士?

アドレナリン自己注射器エピペンepipen


恐らく保育士は救急救命士が注射をしてくれると期待していることでしょう。

しかし、実は救急救命士は保育士が注射をするもの、と考えているかもしれません。

エピペン注射をする場合の優先順位。

実は、

本人 → 家族 → 保育所職員(学校教職員) → 救急救命士

という順番が妥当と考えられます。

保育士からすると、救急救命士は医療の専門家だから、注射は専門家に任せるべきと考えますが、救命士の視点からすると、患児からみて救命士は赤の他人でいちばん遠い存在。

保育士は親の代わりとして、どういう症状のときどんなタイミングで注射をするか、親から信託を受けた立場なわけですから、保育士や学校教職員の方が優先度が上といえます。

現場に到着したばかりの救急救命士からしたら、そのエピペンが本当にその子のモノなのかも確認しようがないわけで、あまりに情報が無さすぎ。そんなところで保育士に言われるままに注射という医行為を責任ある立場で行うのは怖いと感じることもあるでしょう。

現場の保育士さん、学校教職員は救命士に頼りがちですが、救命士からは「あなたが打ってください」と言われる可能性があります。

ぜひ、エピペン代行注射を行う可能性のある立ち場の方は、そんなことも考えてみてください。





2010年10月13日

養護教諭向けの学校応急処置 参考書

養護教諭のための学校救急法参考書

注文していた2冊の本が届きました。

どちらも小中高校の保健室の先生(養護教諭)向けの応急処置(救急法)の参考書です。


BLS−AED.net横浜では、ここ最近、子どものファーストエイド講習に力を入れています。

受講される養護教諭の方たちのお話を聞いていると、何が正しいのかわからない、間違った情報、古い情報・慣習が多い、といった色々な問題点が見えてきて、ファーストエイドを普及する立場の者としては、驚くと同時にどうにかしなくてはという思いに駆られます。

そこで、養護教諭の皆さんや、学校の先生といった責任ある立場の人たちが日頃どのような思いを持ってお仕事をしているのか、またどのような勉強をしてきているのか、など、感心を持って勉強するようにしています。

学校現場にあった救急法はどのようなものなのか?

それを模索するために購入したのがこの2冊の本です。


今度、また機会を見つけてレビューしたいと思いますが、「先生大変です、救急車を呼びますか?」
はとてもわかりやすい本です。

養護教諭ではない普通の先生にぜひお薦めしたい本です。

看護師免許、保健師免許を持っている養護の先生にはちょっともの足りない感じかも知れません。


もう一冊の「初心者のためのフィジカルアセスメント-救急保健管理と保健指導-」は、完全に看護職向けの本です。

一通りのことは書かれていますが、それがわかりやすいかどうかはもうちょっと読み込んでみないとわかりません。お勧めかどうかはまた今度コメントしたいと思います。

2010年09月14日

養護教諭/保育士/学校教員のための小児救急法フルコース

皆さまからの要望にお応えして、

『養護教諭、保育士、学校教職員のための小児救急法フルコース』
2010年11月3日(祝・水) 10::00〜19:00
かながわ県民センター(横浜駅徒歩5分)


を企画しました。現在受講者募集中です!


これまで、アメリカ心臓協会の、

 ・ファミリー&フレンズCPR
 ・ファミリー&フレンズ・ファーストエイドforチルドレン

の組み合わせで、心肺蘇生法から急病・ケガの対応まで講習を開催してきました。
しかし、残念ながらこれらは「家庭向け」の位置づけですので、履歴書に書けるような公式のライセンスの発行はありませんでした。

学校教職員や養護教諭、保育士など、責任ある立場(一定頻度者)でAEDを使う場合は、医師法違反を棄却するためには修了試験を含んだ消防の普通救命講習II相当のAED講習を受講している必要があります。

そこで今回は、アメリカ合衆国はもとより、世界中でセミプロのためのAED講習として評価の高いアメリカ心臓協会AHAの ハートセイバーAED講習ファミリー&フレンズ・ファーストエイドforチルドレン講習 を組み合わせて開催する運びとしました。

国際ライセンスを発行するため、受講料は若干かかりますが、「職業的責務で行う心肺蘇生法」を一人一体の練習用マネキンを使って確実な技術を身につけます。

お預かりしている大事なお子さんに口対口人工呼吸を行うことに抵抗がある場合でも大丈夫です。フェイスマスク(ポケットマスク)を使った感染防護を意識したプロのための人工呼吸法を身につけます。(アメリカでは、家族や親しい人以外への口対口人工呼吸は禁止されています)

感染防護手袋やゴーグルの使用、人工呼吸用マスクの必要性、手洗いの重要さなどを強調した日本では数少ないプロフェッショナル向け講習です。


午後からのファーストエイド講習では、午前中の心肺蘇生技術より幅広い概念としての救急法を学びます。「大丈夫?」と声をかけて、返事が無く、息をしていなければ心肺蘇生法に着手しますが、学校や幼稚園、保育園でありがちなのは、意識はあり、呼吸もしっかりしている場合がほとんどです。

そんな具合の悪そうな子どもを見たときの対応法を午後からのディスカッション、シミュレーションで身につけていきます。

また学校教職員は子どもに代わってエピペン(アドレナリン自己注射)を子どもに打たなければならない立場に置かれることもあります。

職場ですでにエピペンの取り扱いについては学んでいると思いますが、本講習では、本物のエピペンを手にとってもらい、一人1本のエピペン練習機を使って注射器の取り扱いを練習していただきます。


少人数制で開講していますので、興味がある方はお早めに下記ページよりお申し込みください。






2010年08月31日

AHA小児ファーストエイド講習受講者募集中9/5

9月5日(日)に横浜駅近くで開催予定の子ども救急法講習の受講枠に若干の空きがあります。

救急先進国、アメリカで標準の家庭向け救急法講習で、家庭内を舞台としたDVD教材を用いて、子どものケガや急病への対応、予防の仕方を学びます。

日本では数少ないエピペン(重度アレルギー症状に使うアドレナリン自己注射器)の使用法も含んだ救急法講習です。

アナフィラキシーショックへの救急処置:アドレナリン自己注射器エピペン

文部科学省により、必要時は児童に替わって注射をすることが勧告されている学校教職員の方などに、特にお勧めしたい講習です。


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講習名:ファミリー&フレンズ・ファーストエイドforチルドレン(アメリカ心臓協会AHA公認)

開催日:2010年9月5日(日)

時 間:14:00〜18:30 (集合:13:50)

場所: かながわ県民センター
〒221-0835 神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2-24-2
「横浜駅」西口・きた西口を出て徒歩5分 【地図

受講料:2,000円 (テキスト代、傷害保険代、会場費等の実費として:当日現金でご用意ください)
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受講申込みは、下記のBLS−AED.net横浜ホームページよりお願いします。







2010年07月31日

AHA公認小児ファーストエイド講習会開催

すでに フジテレビ取材に関して速報 ではお知らせしましたが、あらためまして先週の日曜日に横浜で公募開催した家庭向け心肺蘇生法とファーストエイド(救急法)講習のご報告です。


今回、開催したのはアメリカ心臓協会(AHA)公認の下記の二つの講習プログラムです。


・ファミリー&フレンズCPR [ Family & Friends CPR ]

・ファミリー&フレンズ・小児ファーストエイド [ Family & Friends First Aid for Children ]

いちおう別々の講習でしたが、申込みをされた方はみな午前・午後一緒に参加されました。


アメリカ心臓協会AHAファミリー&フレンズCPR講習風景


◆ファミリー&フレンズCPR


ファミリー&フレンズCPRは、家庭向け心肺蘇生法講習です。

AHAの公式コースですから、他のコース同様、DVD教材を見ながら技術を身につけていくスタイルで行われます。

内容的にはハートセイバーCPRコース(日本では開催されていませんが、、、)とほぼ同じです。成人・小児・乳児がもれなくカバーされています。


違いを挙げると、練習量が少し少なめなのと、フェイスマスク(ポケットマスク)を使った人工呼吸法を扱わないことくらいです。また、米国法定基準に則ったライセンスは発行されません。

DVDの構成もほぼ同じで、教育工学に根ざしたAHAクォリティはそのままですので、資格はいらないけど、とにかく技術を身につけたいという方には、とてもお得感のあるプログラムと言っていいかもしれません。

今回のコースの司会進行は、日頃ライフセイバーとして活躍されているBLSインストラクターが担当しました。

「周囲は安全です」

蘇生をはじめる前になにより重要なこの一言。

お約束のように唱えるだけで終わってしまいがちですが、AHAの市民向けコースでは、様々な緊急事態の場面が映像で出てきます。

その場にいることを想定して、「本当に周囲は安全か」をみんなで考え、それから練習をします。

ライフセービングから経験豊富なインストラクターの司会進行で、一歩踏みとどまる大切さがよく伝わったのではないでしょうか。




当日、受講してくださった方がブログで本コースのことを取り上げてくださいました。ありがとうございます!


◆ファミリー&フレンズ・小児ファーストエイド


体育の授業とも思えるような体を動かす午前中の心肺蘇生法(CPR)とは打って変わって午後からの小児ファーストエイド講習。子どものケガや急病に対処する方法を勉強します。

こちらは、登山やアウトドアでの経験が豊富で、救急法が得意なBLSインストラクターが担当しました。

子どものファーストエイドですから、大人のそれとは若干異なります。

特に重要なのが予防。

小児の死亡原因の第一は、実は不慮の事故です。

日頃から危険を予知し、安全対策をしっかりたてることで、子どものケガの多くの部分は防ぐことができるのです。

そうした予防のポイントをAHAのDVD教材や、最近の新聞報道の実例などを通して、受講者・インストラクターが一緒になってディスカッション。理解を深めていきました。DVDに出てくるシチュエーションはアメリカが舞台になっていますが、日本で普通に手に入る安全対策グッズの紹介なども絡め、小さなお子さんを持つお母さんたちには具体的なアドバイスになったようです。

本来、AHAのファミリー&フレンズ・ファーストエイドforチルドレンは、DVDを流しっぱなしにして、映像を見てもらうだけで終わるのですが、私たちの講習では、随所に実技をちりばめています。

対応義務のある市民向け講習のハートセイバー・ファーストエイドコースとほぼ同じ内容を盛り込んでいますので、いちおう子どもを対象とした救急法とはなっていますが、ファーストエイドの基本を学びたいすべての人に、お勧めできます。


最近、大人向けのAED講習はあちこちで行われるようになってきていますが、子どもの救急法は、需要は高いにもかかわらず、それを提供する場所がきわめて限られるのが現状。

そんな日本の子ども救急法教育の現状への打開策として、ファミリー&フレンズ・ファーストエイドforチルドレンは大いに期待できそうです。


AHA-BLSインストラクターとして、この小児救急法プログラムの開催に興味がある方がいたら、ぜひ今後、見学や受講に来て欲しいと思っています。


受講者の方の感想ブログも是非ご覧ください