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2016年08月02日

保育士さんが書いた保育所安全救急ガイドブック「保育救命」

今日紹介するのは、「保育士が書いた応急手当の本」です。



珍しいかもしれません。

ふつう、救命法とか応急手当の解説書というと、医学的な内容なことから医師などの医療従事者が書くことが多い印象です。そのため、どうしても医療者目線の内容、どれも似通った切り口で書かれがち。

応急手当や救命への意識や目線が、医療従事者と一般の方では相当違いますので、市民向け本としてはすこしピントがずれているということもあります。

その点、保育士が保育士目線で書いた保育園での安全を考えた本ということで、現場の方にはドンピシャな内容なのではないでしょうか?



本屋で見かけたらぜひ手にとってほしいのですが、保育救命はただの応急手当のマニュアル本ではありません。応急手当という限局された視点ではなく、もっと広い範囲で上から見下ろすような、保育の現場での安全を俯瞰したガイドブックです。


 第1章 ハザードマップを作ろう
 第2章 保育現場で重大事故になりやすいトップ3
 第3章 保育現場で起こりやすいケガ・症状
 第4章 保護者対応と研修の大切さ


特に大切なのが第1章です。

筆者の遠藤登さんは、事故事例や、危ない!と思った「ひやりはっと」を書き留めて、職員で共有することを提唱しています。

室内で、園庭で、そしてお散歩の時など、どんなキケンがありそうかを地図に書き入れて、ハザードマップを作ることで、危険性を可視化していくのです。

その地図を職員に目立つところに貼っておいて、日々、情報を更新し、朝のミーティングなどで積極的に情報共有していくことが、事故を未然に防ぐ対策につながり、個々の意識づけになります。

応急手当というのは、起こってしまった後の対応であり、いわば最終手段であるという点を忘れてはいけません。

応急処置の勉強にのめり込んでしまうと、ケガした後どうしようという部分に視点が行きがちですが、一歩目線を引いいて考えれば、事故が起きてからの対応を学ぶよりも、事故を起こさないことを学ぶのが先、ということは熱心な人ほど意外な盲点になりがちです。

ちょっとした工夫で防げる事故も多いわけですから、まず取り組むべきは園全体の意識づけと共有で「防ぐ」取り組みなのです。

小児の救命の連鎖の最初の輪は、昔から「予防」です。

そんなことを思い出させてくれて、具体的に何をしたらいいかを提案してくれているという点でも、やはり現場の方が書かれた本なんだなと強く感じます。


まえがきで書かれていますが、筆者の遠藤登さんは、ご自身が保育園の園長をしていたときに、午睡中に子どもの心停止事案に直面したことがきっかけで、保育の救命救急や安全管理に関わる仕事をするようになったそうです。

その後、いろんなことと向き合い、考え、活動してきた中で辿り着いた、すべてのキケンを排除するのではなく、リスクと向き合いつつ学びを最大にしていく、という遠藤さんの理念が詰まったのがこの1冊です。

ただの応急手当のマニュアル本ではないところの所以です。

その他、特筆すべき点をあげるとすると、

・保育の現場では、「注意義務」があるという視点
・記録の大切さ
・手袋の使用や下痢・嘔吐の処理などの感染対策
・保護者対応
・ワークショップの開き方

などが、他にはない視点で非常に勉強になると思います。

保育士はもちろん、幼稚園や小学校の教職員にとっても参考になる情報源といえるでしょう。

保育園・学校現場の安全は、養護教諭や保育所ナースの個人的な力量に左右されるようなものではなく、全職員を含めた施設としてのシステムの問題です。誰か1人が意識が高いだけでは有効なパフォーマンスは発揮できません。

職員全体で共通認識を持つためにも、「保育救命」を施設の休憩所にいつでも読めるように置いておくというのもいいかもしれません。




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2016年07月30日

水辺の事故、人工呼吸の準備と訓練はOKですか?

梅雨明けもして、夏に突入した今日この頃。夏のレジャーの話題とともに水難事故のニュースも目立つようになってきましたね。

そこで気をつけたいのが、心肺蘇生法トレーニングの内容と準備についてです。


人工呼吸、できますか?


昨今、心肺蘇生法では人工呼吸は不要になったという、やや不正確な情報が広まっていますが、水辺の事故を想定した心肺蘇生法としては、人工呼吸は重要です。

直感的にイメージしてもわかると思いますが、溺れて心停止になったら、呼吸ができないことで起きる酸素不足が原因となっている可能性が高いです。

血液中に溶け込んだ「酸素」を使いきってしまったために起きた心停止ですから、胸を押して血流を生み出すだけでは不十分です。

血液中に酸素を供給するための「呼吸」を、人工的にしてやる必要があるのです。


善意での救命では胸骨圧迫だけでもOK


とはいえ、知らない人に口をつけて、人工呼吸をするのは抵抗あると思います。

ですから、通りすがりの立場であれば、胸を押すだけの蘇生法でも、何もしないよりは遥かにマシということは間違いありません。

なんの責任もない立場であれば、できるかぎりのことをすれば、それで十分です。


責任ある立場の人はきちんと人工呼吸の準備と練習を!


しかし、あえて水辺での緊急事態に備えるのであれば、人工呼吸の訓練と、実行を容易にするための準備をしておきたいところです。

例えば、幼稚園や小学校のプール授業のまえの心肺蘇生法講習で人工呼吸練習を省略するのはあり得ません。

さらに言えば、人工呼吸の技術を身につけるだけではなく、「実際にできる」状態に高めるための準備も必要です。


それはずばり感染防護具の準備です。


小児や水難事故では必須の人工呼吸感染防護具ポケットマスク


職業人が人工呼吸をする以上、感染防具を使うのは必須です。それがないからできない、という状況は通りすがりの素人ならいざしらず、プールの授業の安全管理を行う立場であれば許されないことでしょう。

AEDと一緒に人工呼吸の感染防護具が入っているか、確認しておく必要があります。

できれば人工呼吸は、より安全で、より使いやすいフェイスマスク(通称ポケットマスク)の準備が望まれます。フェイスシールでは、どうしても相手の口の周囲に自分の唇が触れる感触がありますので、気持ち的な抵抗が強いからです。

人工呼吸を本気で行うことを考えたら、フェイスマスクの準備をし、使用が望ましいでしょう。


このように救命法は講習を受ければいいというものではなく、安全管理システムの一部として講習の受講があり、さらにはAEDや感染防具の準備があり、さらには防災訓練のような実地でのシミュレーションが必要なのです。



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2016年06月01日

「救急対応システム」とは

アメリカ心臓協会の講習プログラムでは、「救急対応システムに通報する」とか、直訳的に「救急対応システムを発動する/起動する」という表現が出てきます。

一般には119番通報のことなのですが、なぜ、このようなまどろっこしい言い回しをするのかというと、第一選択の救急対応システムが必ずしも119番(消防)とは限らないからです。

例えば、病院内での急変では119番通報はしないですよね?

同じように、大きな工場や施設では、消防とは別に独自に救急対応システムを持っている場合があります。

船舶の中や、消防署のない離島でも独自のシステムがあるのは想像できると思います。

特にそういった決まりがなければ日本全国共通の119番でいいのですが、地域や場所に合わせた適切な緊急通報をしてほしい、ということで、AHAテキストでは、あえて「救急対応システム」という表現をしています。







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2015年05月06日

救命講習後、職場に戻ったらすぐチェック!

保育園や幼稚園、介護職員向けの心肺蘇生法講習をした際に、講習の最後に配っているメッセージです。


救命講習受講後に職場でチェックしたいポイント


短い救命講習の中ではCPRという技術を身に付けるのが精一杯。

しかし、実際の救急事案では、CPR着手に辿り着くまでのノンテクニカルな部分が重要です。

学んだ「技術」を使える「パフォーマンス」に昇華するためのヒント。

救命を個人スキルから、施設全体のシステムの問題として考えをシフトしないと救命の連鎖はつながりません。

インストラクターの皆さんも、よければ参考にしてください。

本当は受講者全員で事例を共有してディスカッションができるといいのですが、なかなか時間が取れないのが現状。

よろしければ、このようなメッセージを最後に配ることをおすすめします。

この文面をまるごと使って頂いても構いませんし、アレンジしてもらっても構いません。ご自由にお使いください。

A4用紙に印刷できるPDFデータも公開します。

「職場のシステムとして考える救命処置」 PDF 312KB】




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