横浜駅から徒歩5分の場所で、AHA-BLS-HCP、PEARS、ファーストエイド講習を開催しています。

開催日程詳細・お申し込みは ホームページ をご覧ください。

2017年03月09日

幼稚園での救命講習 親御さん向けと教職員向けの違い

先日、横浜市内の幼稚園で親御さん向けに「子どもと赤ちゃんの救急蘇生法」講習を開催させていただきましたが、同園では去年8月に教職員向けの「小児BLS&エピペン研修」を開催しました。

BLS横浜オリジナルの子どもCPRとファーストエイドのアルゴリズム


小児マネキンを使って、こども(1歳〜思春期まで)のCPRを教えるという点では同じですが、先生向けと親御さん向けで同じ展開をしたわけではありません。

それは幼稚園の先生と親御さんでは、立場がまったく違うからです。

例えば人工呼吸の方法が違います。

親御さん向けにはマウスtoマウスの人工呼吸を指導しますが、幼稚園の先生向けにはポケットマスクを使った人工呼吸で練習してもらいました。

唾液などへの接触によって病気が感染するリスクは高くはないとは言われていますが、子どもとは言え他人に口をつける動作を抵抗なくできる人はいません。

子どもの蘇生法では人工呼吸が特に大事と言われていますから、着実に人工呼吸をしてほしいと考えたら、フェイスシールド系のものではなく、やはりポケットマスクです。(園には2つ配備されています)

また幼稚園の教職員は、業務中の救急対応を想定していますから、一人法CPRだけではなく、胸骨圧迫の交代の仕方も含めて、二人法CPRの連携についても強調して練習してもらいました。

また練習をする上での動機づけも、教職員は「救護義務がある」という点で親御さんとは決定的に違います。

いざとなったら救命処置を行わなければならないという責務を負っているのが学校教職員です。

ですから、職業意識やプロフェッショナリズムに根ざした動機づけや指導が必要です。中身も形だけの体験学習のようなものではなく、「しっかりと身につける」ためにはある程度の練習量と、それに見合ったマネキン配置、スタッフ配置、そして時間が必要となります。

命に関わることをインスタントに終わらせてはいけない、そう考えています。


同じ幼稚園で、続けて2つの救命講習を企画させていただきましたが、そんな違いについて再認識した次第です。



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2017年03月05日

ポケットマスクと感染防護手袋装着からみた「運動スキル」「認知スキル」「態度スキル」

BLS横浜では、BLSプロバイダーコースや、ハートセイバーCPR AEDコースのオプションのシミュレーション練習の中で、ケースに入ったポケットマスクを組み立てて手袋を装着して人工呼吸を行う体験をしてもらってます。

これが、けっこう手間取るんですよね。やってみるとわかります。

これをどのタイミングで、どの優先順位でするかを考え、意思決定するのが、現実の課題かなと思います。ケースバイケースで答えはありませんが、そんな問題に直面し、考える、ということが重要です。

人工呼吸要ポケットマスクと感染防護手袋(グローブ)


既成のポケットマスクを購入すると、ニトリル手袋が標準でついています。

講習会での練習ではほとんど無視されていますが、現実にポケットマスク人工呼吸を行うなら手袋装着が必要と思ったほうがいいでしょう。口から泡を吹いていたり、よだれがついていたり、出血したりと、口周りはあまりキレイではないことが多いものです。

ファーストエイド講習なんかは特にそうですが、「手袋をしたフリ」ではなく、傷病者対応の一連の流れの中で、手袋を身につけさせる体験は絶対にさせたほうがいいです。

意外と手間取るという現実を知ることと、手袋をしながらも声掛けをする、観察をする。そんなノン・テクニカルな技術が重要だということに気くからです。



これは手袋を付ける、外すという、パーシャルタスク(断片的な部分技能)で練習しても意味がありません。それはただの「運動スキル」の練習に過ぎないからです。

状況を判断して手袋をどのタイミングでつけるかの意思決定をするのは「認知スキル」です。

そして傷病者を目の前にして、ただだまって黙々と手袋を装着するのか、なにか声掛けをしたり、観察をしながら平行して行うのか。これは「態度スキル」に相当する部分です。

このように実際の人間の行動は、「運動スキル」「認知スキル」「態度スキル」という3つの技能から成り立っています。これらが統合されて発揮されて、はじめてパフォーマンスとして成り立つわけです。

これを逆説的に、身につけさせよう、トレーニングしようと思ったら、バラバラにやるだけでは不十分で、特に認知スキルと態度スキルは、部分を切り取ったものではなく、一連のシナリオのなかで経験をしなければ学べないということが見えてくると思います。

だからこそ、現場で使えるための技術はシミュレーションでないと学べないのです。





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2017年01月22日

「親子で学ぶ救命教室」〜地域コミュニティ内での企画講習の意義

今日は、本牧にある「かいじゅうの森ようちえん」での講習会でした。

題して「親子で学ぶ救命教室」。

毎年この時期に開催させてもらって、もう4年目になります。

ようちえんのお子さんと、そのご家族とで一緒に心肺蘇生法を体験・練習しようという企画。家族ごとに成人マネキン1体と小児マネキン1体を用意し、親子ともども一緒に心肺蘇生法を体験してみようという企画です。

子どもたちもアンパンマンの音楽に合わせて一生懸命マネキンの胸を押していました。

今回は、赤ちゃんを連れて参加された家族が2組いたので、急遽、乳児のCPRと窒息解除法も付け加えてみました。

すでに来年の予約も頂いて、次回は2018年2月3日(土)予定です。今回は、遠く埼玉や東京からボランティアでインストラクターが駆けつけてくれました。

来年もまた近くなったら募集させていただくと思いますが、直近だと3月6日(月)にも横浜市内の幼稚園で親御さん向けの小児・乳児蘇生法教室を予定しています。

現在、お手伝いいただけるボランティア・スタッフを募集中です。


かいじゅうの森ようちえんでの親子で学ぶ救命教室
園のパンフレットと園長先生に頂いた朝取れのたまご



さて、私たちはいろいろな形で救命スキルを伝える講習や普及活動を展開していますが、今日の幼稚園でのご家族向け講習のような機会は、特にやりがいのある仕事だと思っています。

日頃BLS横浜でしているような一般公募での講習に来てくださる方は、基本的には意識の高い方、といえます。特に医療従事者向けのBLSプロバイダーコースなどは、もともとある程度できる人が、スキルアップを目指してくるというケースが少なくありません。

それはそれで意義のあることですが、地域社会での救命率を上げるという公衆衛生学的な意義を考えたときには、もともとは救命法をまったく知らなかった人たちが、新たに技術を身につける、意識をもつということには、また違った次元での絶大な価値があると思うのです。

わざわざ出向いてまで救命講習を受けようとは思っていない方にアプローチするのはどうしたらいいか?

それが可能となるのが、今回のような既存の地域コミュニティ内での救命講習の企画です。

今回は、幼稚園でしたが、日頃通っている身近な幼稚園の中で救命講習をするなら、参加してみようかな、と思う方もいます。


そんな、公募講習をしているだけでは決して出会うことができない方たちに、救命法をお伝えできる機会は私たちにとっても非常に意義深いやりがいを感じる時間です。

そういった意味で、こうした依頼をいただくことに感謝しています。

インストラクターとしても自分たちが持っているスキルが、社会に還元できることを実感できるひととき。

感謝です。




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2015年07月08日

最大の学びは教えること 〜拡がりに期待をしつつ

この週末、一般社団法人AED-PROMOTE(スポーツシーンにおける突然死撲滅プロジェクト)さんとの共同企画で「スポーツ現場における救命法講習会」を開催してきました。

マリノスタウンでの傷病者対応コースforバイスタンダーズ


心臓への負荷がかかるスポーツの世界では心臓突然死は珍しい話ではありません。

そのためスポーツトレーナーは一般的な救命法を心得ていますし、サッカーや野球など、ファンイベントとして、PUSH講習やAED講習が開催されたというニュースも最近よく聞きます。

そんな救命法に対して意識が高いと思われるスポーツ関係者のために、さらに一歩先を学ぶ機会を、ということで私どもが相談を受けて実現したのが今回の「スポーツ現場における救命法講習会」でした。

BLS横浜オリジナル講習の「傷病者対応コース for バイスタンダーズ」をベースにして、スポーツ現場、特に今回は観戦中の観客に起こりそうな緊急事態を想定したシナリオで進めてみました。

胸骨圧迫のみの心肺蘇生法の練習から始めて、その後、「呼吸があったらどうするか?」「意識があったらどうするか?」というファーストエイド領域まで徐々に守備範囲を広げていく4時間の経験型学習プログラムです。

現実問題として、心停止という最悪の事態にいきなり直面するよりも、具合が悪くてうずくまっている人を見つけたとか、そういう比較的軽微なトラブルに遭遇するほうが多いのが現状かと思います。

最後の手段として心肺蘇生法は心得ておくべきですが、「ふだん使い」できる救急対応能力としては、体調不良を含め、困っていそうな人に声を掛けて、問題解決に向けたサポートをしたり、然るべき人に引き継ぐということのほうが現実的です。

言葉にすると簡単ですが、私たちにとっては見ず知らずの人に声を掛けて、訴えを聞くだけでもなかなか大変なこと。

そのあたりをシミュレーションを通して訓練するのが傷病者対応コースの基本コンセプトです。


今回は、午前と午後で2回の講習を開催して、延べ22名の方にご参加いただきました。

この企画の特徴は、午前中に受講した人が、午後にはアシスタント・インストラクターとして指導側で参加するということ。

よく言われることですが、最大の学びは教えること、です。

救急法という医学的とも思われる内容だけに、いきなり人に指導するというのは心理的にも抵抗が大きいかなと思う部分もありましたが、やってみたら、午前中の参加者の方たちも積極的に受講者に声をかけて、自分たちが学んだことを活き活きと伝える姿が多く見られました。

なにより楽しそうに受講者の方たちと話をしていて、自分たちが学んで、「へぇ!?」と思ったこと、「なるほど!」と思った体験を参加者にも感じてほしいという思いに駆られていたのかなと思いました。

救急法というコンテンツを伝える、というよりは、シミュレーション体験から学び取ることの楽しさや充実感をシェアするという学びのサポーターとしての楽しさ、のようなものがあったのかもしれません。

今後、このような機会を継続して提供し、学びの輪が広がることに期待しています。

今回は、横浜が誇るプロサッカーチーム「横浜マリノス」さんの協力で、練習場のあるマリノスタウンを会場として提供していただきました。

そのため、今回の参加者はサッカーファンの方が多かったようですが、ノルディックウォーキングのインストラクターさんなども参加されており、今後はもっと広くスポーツ関係者の方の参加を期待しているイベントです。

今後、AED-PROMOTEさんの方で、さらに横浜市内のスポーツ関連団体やプロスポーツチームに声をかけていくということですので、今後の拡がり、そして次回の開催はどのスポーツ関連施設になるのか、楽しみです。

次回開催は現時点、未定ですが、「スポーツシーンにおける突然死撲滅プロジェクト」のFacebookページなどで公示が出されましたら、またこちらでもご案内していきたいと思っています。


一般社団法人AED-PROMOTE
 http://www.aed-promote.link/

スポーツシーンにおける突然死撲滅プロジェクト
 https://www.facebook.com/aedpromote





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2015年07月02日

私たちが開催する講習の特色

AHA講習を展開する組織として、私たちの特徴について説明したいと思います。


日本には現在9つのAHA ECC提携団体があり、下の図に示すような法人(学会やNPO、企業、任意団体など)が、AHAと契約を結ぶことで、国際トレーニングセンターとして認証されて、それぞれ独立した立場でAHA公認講習を開催しています。

日本のAHA講習開催団体の関係図


同じAHA講習を開催していても、このような組織建てになっているため、トレーニングセンター同士の横のつながりはなく、日本国内で一元管理されているわけではない、という点はあまり知られていません。

そのため、同じAHA講習を開催している団体(トレーニングセンター)でも、目指すところやその対象、雰囲気や考え方など、母体組織によって、特色の違いが見られます。


私たちは、現在は主に日本医療教授システム学会AHA国際トレーニングセンター(JSISH-ITC)の一員として活動しています。教授システム学ということで、教育工学(インストラクショナル・デザイン)を研究する学術団体の下にいますので、AHA講習プログラムに対しても、常に教育という視点から捉えているのが私たちの特色です。

どのように指導したら効果的か、またシミュレーション教育と実臨床の間の溝を埋めるにはどうしたらいいか、など、教え方(逆説的に、学び方といった方が適切かもしれません)という視点でAHA講習を考えています。

つまり、BLSやACLS、またはPEARSといった講習プログラムが先にあるのではなく、適切な心肺蘇生法ができる、二次救命処置でチームワークを発揮する、心停止につながる危険な兆候に気づき介入できるといったゴールに到達するための手段の一部としてAHA ECCプログラムを活用している、と言っていいかもしれません。

教育デザイン的に考えたときに、AHA講習は現場でのパフォーマンスまではカバーしていないことは明白ですから、AHA講習で基礎スキルを身につけた後、どう現場で使えるパフォーマンスに持ち上げていくかという、先を常に考えています。

このあたりが、数あるAHA講習開催団体の中でも受講者の皆様から高く評価を頂いている部分なのかもしれません。





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2014年09月15日

歯科業界での急変対応事情

昨日は、神奈川歯科大学でのBLSヘルスケアプロバイダーコースでした。

去年、学園祭実行委員会さんからの依頼で、学園祭でのBLSイベントのための心肺蘇生法指導員養成ワークショップを3回行わせていただきました。

それ以後、学生さんで希望者が集まると、随時BLSヘルスケアプロバイダーコースを開催させてもらっています。

同大学は、歯学部の他、附属短大で看護学科と歯科衛生士学科があります。

その中でも、今回ははじめて歯科衛生士の学生さんが参加してくれました。


病院文化の常識として、いわゆるBLSから始まって、ALS(二次救命処置)へ、というのは図式として確立していますが、歯科の世界では、病院のような大組織ではなく、歯科クリニックというこじんまりとした単位が多数かと思います。

そんな歯科業界での救急対応に対する意識・取り組みはどうなのでしょうか?


平成24年4月の診療報酬改定で歯科外来診療環境体制加算というのが制定されました。

詳細は割愛しますが、その加算をとるための条件の一部として、


(1) 偶発症に対する緊急時の対応、医療事故、感染症対策等の医療安全対策に係る研修を修了した常勤の歯科医師が1名以上配置されていること。
(2) 歯科衛生士が1名以上配置されていること。
(3) 患者にとって安心で安全な歯科医療環境の提供を行うにつき次の十分な装置・器具等を有していること。
ア 自動体外式除細動器(AED)
イ 経皮的酸素飽和度測定器(パルスオキシメーター)
ウ 酸素(人工呼吸・酸素吸入用のもの)
エ 血圧計
オ 救急蘇生セット(薬剤を含む)
カ 歯科用吸引装置


といったことが挙げられています。

つまり、歯科医院では、AEDを含めた急変対応資機材の準備と、それを扱うための研修が求められているということです。(研修に関しては、救急蘇生だけではなく、いわゆる医療安全という幅広い視座の中のひとつということですが)

BLSに関しては、ごくごく一般的な医療者向けBLS講習と同じでいいかと思いますが、問題はその先です。

病院内では、医師によりそのまま二次救命処置(ACLS)に移行していきますが、歯科業界ではどこまでの対応を現場で行うかという点です。

あまり知られていませんが、歯科医師は歯科診療上の必要があれば、医科の医師と同じように静脈路から薬剤投与をしたり、口腔内以外の皮膚を切開したり、縫合したり、外科的気道確保を行うこともできます。さらには全身麻酔をかけて、いわゆる全身管理を行うこともできます。

それは主に歯科口腔外科や歯科麻酔科という歯科医師の中でもやや特殊な分野を専攻した方の専門領域かもしれませんが、資格としては歯科医師免許でACLSなどの高度な救命処置も行うことができるという点です。

市中の個人クリニックであれば、AEDを用いたBLSを行いながら、救急隊員に引き継ぐというのが現実だと思いますが、可能性としては歯科であっても、二次救命処置がありえるのです。

いわゆる成人への二次救命処置(ACLS)では、「VFハンター」という言い方もあったように、心臓突然死を主なターゲットとしています。歯科治療中であっても、突発的な心室細動発症の可能性は一般と同じかもしれませんが、歯科で忘れてはいけないのはアナフィラキシーです。

局所浸潤麻酔でキシロカインを多用しており、これによる薬剤アレルギーの発症が一定数あると言われています。

そのため、突然の心室細動だけではなく、薬剤アレルギーによるアナフィラキシーショックも歯科急変の大事な危機管理のポイントになっています。

この場合、救命の要はAEDではなく、アドレナリン投与と気道確保、ショック対応です。

歯科大学病院などでは、当然こういった対応を現場の歯科医師や歯科衛生士が行うことになるのだと思いますが、小さなクリニックでは、そこまでを想定した準備を行うのか、それともBLS範疇にとどめて、救急車や近隣の医科に早期に委ねる方向で考えるのか、という点が問題となります。

アナフィラキシーショックの中でも、注射によるものは進行が速く、5分くらいであっという間に心停止に移行してしまう場合もあります。このあたり緊急度をどう考えるのか?

歯科医院から救命講習の依頼をいただくこともあり、講習展開にどこまで含めるのか、こんなあたりの話はいつも出てくるのですが、難しい問題だと感じています。

・歯科医師の意識と経験
・歯科クリニックのスタッフ構成(歯科医師人数、歯科衛生士の有無、歯科助手、事務スタッフ)
・厚生労働省が歯科クリニックに求めているもの
・歯科クリニック利用者が歯科医ならび歯科スタッフに求める急変対応への期待

そんなことをトータルで考えて、アドレナリン筋肉注射までを含めることもあれば、早期通報を徹底し、CPR訓練に留めることもあります。


歯科医からも、どこまでやるべきかという点で、率直な相談を受けることも多く、そんな時は日本口腔外科学会と日本救急医学会の有志で策定したDCLS(Dental Crisis Life Support 歯科診療危機初期対応)を紹介させてもらっています。



日本救急医学会のICLSをベースとしているため、スタッフ数の限られる小規模施設にはそぐわないとか、歯科医師は開催のためのディレクターになれない、公募開催がほとんどないなど、問題点もあるようですが、公式テキスト 「DCLSコースガイドブック―デンタル・クライシスの初期対応」も市販されており、歯科業界での急変対応を考える上ではフルサイズの指針として使えるのではないでしょうか。




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2014年04月05日

「効果的な心肺蘇生法講習の組み立て方〜成人学習理論を活用する」ワークショップ

今日、開催した「効果的な心肺蘇生法講習の組み立て方〜成人学習理論を活用する」ワークショップ最後のスライドです。

救命講習BLS研修:既製服からテーラーメイドの時代へ


良くも悪くも救命講習やBLS研修の進め方は王道が出来上がっています。

今回のワークショップでは、講習組み立てのロジックの入口を紹介しました。

これまでは既製服で肩幅がちょっとあわなくても、それしかないから、疑問にも感じなかった。しかし、服の仕立て方を知ってしまうと、最終的には対象にマッチさせた服を作りたくなってくる。

そんな視点の広がりが、今回のワークショップの意図したところです。

2010年ガイドラインになってから、子どもの蘇生法を巡って起きている議論もかんがみて、顧客本位の講習の必要性が高まっています。

この先、どんどん高まっていくことが予想されるそんなニーズに応えられる人材を増やしていきたい、そう考えています。




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2014年02月02日

インフルエンザと、BLS/救命講習の感染対策

この時期、BLS講習や救命講習をやっていて怖いのがインフルエンザ。

人工呼吸練習がある講習ではマネキンを介してインフルエンザに感染したということになったら目も当てられません。

しかし、普通に考えて、リスクはかなり高いと思います。

特に1体のマネキンを複数人で使いまわす場合、フェイスシールドを使っていても不繊布の部分から唾液などの液体成分は染みます。なによりありがちな話としてフェイスシールドの表裏を間違えたら、アウトです。

そんな、ある意味、体液被曝事故のリスクが高いのが心肺蘇生法講習です。(医療現場では他人の血液や体液に触れることは「事故」です)

そこで、BLS横浜では、原則一人一体のマネキンを用意するのを原則としており、そうでない場合も、口をつけるマネキンのフェイス部分は一人一つの個人専用のものを用意して、その都度ご自身の手で交換してから練習してもらっています。

毎回洗浄消毒するBLSマネキンの顔


そして、講習終了後は、洗剤洗浄後、次亜塩素酸ナトリウム希釈液で薬液浸漬消毒。(いきなり消毒液につけるのはNG!)

自然乾燥させています。(拭くことで雑菌を付着、広げることになるので)

インフルエンザ蔓延のこの時期、BLS講習などを受講される方は、マネキンの衛生管理について不安があればあらかじめ主催者に問い合わせることをお勧めします。




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2014年01月19日

親子で学ぶ心肺蘇生法講習 〜小さな子どもが蘇生法に親しむ意義

今日は幼稚園の先生とのコラボ企画で「親子で学ぶ心肺蘇生法講習」でした。

幼稚園に通うお子さんとその親御さんを対象とした救命講習です。

今後、自身で園や地域や近隣の幼稚園・保育園で救命講習を開催していきたい! とおっしゃっている幼稚園の園長先生との話ので決まった企画講習第一弾。

最初ということで、4−5組の少人数というつもりでいましたが、お父さんを含めて一家4人で来てくれたご家庭や、各ご兄弟の参加も含めて、総勢約15名。

成人マネキン5体、小児マネキン5体を用意してのアットホームな講習会となりました。

幼稚園生の子どもたちにも積極的に参加してもらうため、アニメ仕立てのPUSHプロジェクトのDVD教材を使わせてもらいました。

PUSHプロジェクトのDVD


NPO法人大阪ライフサポート協会が作った救命講習DVDで、一般に頒布されていて、このDVDを使って誰でも救命講習を開催することができます。

大人でも十分学べる内容のハイクォリティな映像教材ですが、やはり子どもにも効果てきめん。

今回はPUSHプロジェクトのDVDをベースに進めつつ、園長先生に倒れてもらって、寝ているだけかの確認(反応の確認)や、呼吸の確認を体験してもらいつつ進めていきました。

PUSHプロジェクトはその名の通り、胸骨圧迫(心臓マッサージ)にフォーカスしたプログラム。

AED操作は含まれますが、人工呼吸は扱いません。

しかし、今回は「親子」が受講対象。基本的には我が子のいざというとき、を想定して受講に来てくださっています。

子どもの蘇生といえば人工呼吸ははずせません。

なので、胸骨圧迫練習まではPUSH講習ビデオを使って、後半は独自に人工呼吸とAEDを段階的に組み入れて、トータル1時間半の講習に仕上げました。

子どもたちのゴールは、心停止の認識とそれを周りの人に伝えること。そしてできるかぎり、胸の真ん中を強く速くPUSHすること。

親御さんたちのゴールは、人工呼吸とAEDを組み合わせて、フルサイズの子どもの蘇生を行うこと。

PUSH講習を入口としたため、まずは、胸骨圧迫だけのCPRとして完成させて、そこに状況が許せば追加して下さいということで人工呼吸、そしてAED。そんな順番で進めました。

救命講習を受けたことがある方もいましたが、子どものマネキンでの蘇生は初めてだったとのこと。また家族にマネキン1体という少人数制で町内会でやった講習よりしっかり練習ができた、といった感想をいただけました。

家族ごとに1体(成人マネキンと小児マネキンのペアなので厳密には2体)なので、人工呼吸はフェイスシールドは使わず、直接口をつけて吹いてもらいました。これも一般の蘇生講習ではなかなかできない体験。(マネキンの顔部分は、きちんと洗剤とスポンジで洗って次亜塩素酸ナトリウムで消毒して、使用の直前でマネキンに取り付けました)

子どもたちはというと、応援を呼ぶところなどは照れがあって上手にできない子もいましたが、胸骨圧迫はほぼ完璧。しっかりと小児マネキンの胸の厚さの1/3を押せている子も多かったです。

そして意外だったのは人工呼吸。

それほど照れる様子もなく、上手に胸が上がる有効な人工呼吸を行えていました。胸骨圧迫とちがって、うまくいったという手応えが目で見てわかるところが興味が引けたのかもしれません。

まずは親御さんにパーツごとに練習していただき、続いてお子さん。そこでは親が子にやり方を教える、という図式を意識してやってみました。

これはなかなか効果的で、照れてやってくれない子どもに対して「ママが倒れたらどうすの? 助けてほしいな」といって誘導してくれたり。


★   ★   ★   ★



さて、皆さん、幼稚園児という小さな子どもに心肺蘇生法を知ってもらう意義を、どう考えますか?

消防の普通救命講習I。おそらく日本で最もポピュラーな心肺蘇生法講習ですが、受講できるのは中学生以上としている自治体が多いようです。

総務省消防庁の基準を見てみると、目安としてそのように書かれています。決して中学生未満の子どもが受けられないわけではないことは文面から見て取れますが、現実に運用としては年齢制限がされている場合が少なくありません。

確かに幼稚園くらいの小さな子どもが成人マネキンを使って、「少なくとも5cm」の深さで胸骨圧迫することは難しいかもしれません。

しかし、正しくできないから、やってはいけないのか? やらないほうがいいのか?

そうではないことはみなさんご存知ですよね。

倒れている人がいたら、安全確認して声を掛ける。その救命法が効果的かどうかという質的な問題ではなく、手を差し伸べるという 態度 を育むのは幼い時のほうがいいはずです。

中学生になれば技術的な部分ではいいかもしれませんが、なにより肝心な態度を鍛えるには遅すぎる、もしくは困難を伴うかもしれません。

力や体力的な問題、つまりテクニカル・スキルは年齢とともにアップし、問題は解消されていきます。

そんな成長過程に合わせた段階的な指導と考えると、その年齢ごとのゴール点は違ってくるはず。

今日、参加してくれた子どもたちが、学校に入学して保健体育などで心肺蘇生法を改めて教わるとき、きっと初めての子たちとは違う思いで望んでくれて、いざというときの行動にいい方向に影響してくれたらいいなと思っています。




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2013年10月24日

BLSプロバイダーカードの有効期限と技術維持の話

救命講習を受講して、心肺蘇生技術を身に着けたとして、いったいどれくらい期間、技術が維持できると思いますか?

いろいろ研究されていますが、驚くほど早く技術は低下することがわかっています。半年も経つと相当あやしいでしょう。日々使わない技術ですから、ある意味当然のことかもしれません。

BLS横浜では、2年間有効のアメリカ心臓協会AHAの公認ライセンスを発行していますが、この2年という期限は、米国の労務基準で決まっているだけのことで、蘇生科学研究団体であるAHAとしては2年間技術を維持することは不可能であることは認めています。

AHAのプロバイダーコースの有効期限2年間。これは技術の保障ではありません。

米国労働法規の基準を満たすために更新が必要なのです。

この点を私たちは正しく認識しておく必要があります。つまり蘇生技術の維持という本来の目的にフォーカスしたら、もっと短いスパンで再受講・継続トレーニングが必要だということです。

例えば、米空軍の横田基地。

軍人以外のカスタマーサービスや技術職にはAHA Heartsaver CPR AEDコースの受講とライセンスの維持が求められています。

本来は2年毎の再受講でいいはずですが、技術維持という本質を考えて、横田基地では自主基準として1年毎の再受講を従業員に課しているのです。


翻って、私たち。

AHAプロバイダーカードの有効期限は2年間。

しかし2年間蘇生技術を維持することは不可能。

でもBLS横浜の名前で技術認定を出してしまっている。

その溝を埋めるために、私たちはBLS横浜独自の制度として「無料復習参加」を案内しています。

カードの有効期限内なら、何度でも無料講習参加いただける、という制度です。

私たちが実施したトレーニングに責任を持ちたい。私たちの名前で認定したBLSプロバイダーカードが有効期限内であるうちは、技術を維持できる環境を提供したい。

そんな思いをもって私たちは活動しています。






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2013年10月13日

学園祭でBLS講習

今日は、横須賀にある神奈川歯科大学の学園祭イベントとして、市民向け心肺蘇生法講習のお手伝いに行ってきました。

神奈川歯科大学学園祭BLS講習ポスター


主に看護学科の学生さんたち主催によるBLS講習。

「医療系学生としてできること」

そんな相談を受けて、打ち合わせ2回、インストラクター育成のための講習会を通算3回。

その最終形が、今日の講習会でした。

神奈川歯科大学学園祭BLS講習


神奈川歯科大学としては初めての試みだったということで、どの程度、受講者が集まるか、など未知数の部分はありましたが、蓋を開けたら、1回あたりの定員を12名としましたが、それを超える参加があり、予備で用意したマネキンも引っ張り出すことに!

横須賀という地域柄、外国人の家族連れでの参加もあり、刺激的な講習会となりました。

小さなお子さんたちには、小児用マネキンを使ってもらい、一生懸命PUSH、PUSH!



医療系学生さんたちにとって、BLSが身近なものであってほしい。

そして自分自身がCPRをできるだけではなく、地域の人たちに救命の連鎖を広げることも、今の立場できるという点。

今回は、東京医科歯科大学の救急救命学生サークルTESSO(Tokyo medical and dental University Emergency Medicine Study Session Organized by students)からも、お手伝いに来てくれました。

医療系学生だからできること。

免許を取る前にもできることがある。そんな学生生活を充実したものにするヒントがここにあったらいいなと思いながら企画をお手伝いさせていただきました。




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2013年03月04日

消防団員(応急手当指導員)のためのスキルアップ・ワークショップ

先日、とある消防団から依頼を受けて「心肺蘇生法の仕組みを理解する」というテーマでワークショップを開催させていただきました。

BLS横浜で12月に開催して同名無料セミナーに参加してくださった方が、ぜひうちの団員にも、ということで実現した企画です。

消防団の皆さんは、日頃から消防の応急手当普及員、応急手当指導員として心肺蘇生法の普及に務めています。受講者さんから質問に自信を持って答える糧になれば、ということで、日頃あまり語られることのない蘇生法の背後にあるサイエンスについて考えていただく機会としてみました。

参加者15名。皆さん、熱心にメモを取りながらの3時間でした。

消防団の皆さんは、総務省消防庁の枠組みの中で活動しています。消防の普通救命講習/上級救命講習の修了証は東京なら消防総監の名前で発行される、この業界では珍しい公的資格の一種です。

消防の講習は日本版ガイドラインを元にして作られた救急蘇生法の指針にもとづいて、策定されています。さらに具体的な指導法は、東京消防庁の然るべき部署から出された指導要録に従って指導されています。

なにもこれは消防講習に限った話ではないのですが、現場のインストラクターの立場からすると組織の上から通達された仕方に従って指導を行なっているのが現状です。その指導の中には、蘇生科学に基づいた重要なポイントもあれば、指導をしやすくするために考案した団体独自のやり方もあり、それらが渾然一体としているのが団体公認講習です。

不慣れな人を指導する上では、曖昧さがなく、きっちりと型を決めたほうが教える方も教わる方もやりやすい。それは事実です。しかし、作法が多すぎると、大事なポイントがぶれてしまう欠点もあります。

そこで指導員は、外してはいけない大事なポイントと、それほど強調しなくてもいいポイントを明確に理解しておく必要があります。つまり教える内容のウェイトを考えるということです。

なにが大事なポイントか? それは蘇生科学に根ざした根拠のあることに他なりません。

例を挙げれば、胸骨圧迫の時、肘を伸ばすことは本質ではありません。

「少なくとも5センチの深さで押せている」のが大事であって、きちんと押せているのであれば、肘が曲がっていようと、それは必ずしも修正するべき問題ではないのです。

そんな日頃皆さんが指導している上で、なぜ、そう指導しているのか? 本質的には何を目指してそう指導を行なっているのか? そんな点を考えてもらうことを目指してディスカッション形式でワークショップを進めました。

今回のワークショップのハイライトは、「ガイドライン2010時代のAED指導はどう変わるか?」というテーマだったんじゃないでしょうか?

ハートセイバーAED2010ではAED指導が実質的になくなった


これは、どこで話しても皆さん戸惑うポイントです。(AHAインストラクターの集まりで話をしたときも同じ反応でした)

今回、参加の皆さんには、まずAED指導で大事なポイントを3つ挙げてもらいました。

恐らく、現行の救命講習ではAEDに関して、かなり盛りだくさんな内容を教えているはず。その中でも特に大切なポイントを3つ。

そして、その3つのポイントは確実に受講者に伝わっているか? を考えてもらいました。結局、講習が終わってから受講者の中に残っているものはなんでしょう? という点です。

これは想像でしかありませんが、意外と「胸毛が濃い場合はパッドごと引き剥がす」がいちばん印象深く残ったりするんですよね。

そんなふうに大事だと考えるポイントが、日頃の指導の中で本当に強調して指導できているかを、各自で考えてもらいました。

この点、AHAの市民向け公認講習(ハートセイバーCPR AEDコースならびにファミリー&フレンズCPR)では、驚くべき英断をしています。

簡単にいえば、AED操作法は「教えない」「練習させない」という方策に打って出たのです。

これだけを聞くと、びっくりで「あり得ない!」という反応かもしれません。しかし、「自分たちでも考えている大事なポイントを受講者は確実に持って帰っているか?」を自問自答したときに、きっとAHAのやり方の意味と妥当性は理解いただけたのではないかと思います。

だからといって、AHA式にAEDを教えないことを推奨しているわけではありません。消防は消防の基準に則って動いているのですから。教えるべきことは教える。でもそのウェイトの置き方という点で、参考になれば幸いです、というのが私たちのスタンスです。

私たちが伝えたいのは、「考える蘇生」です。

市民救助者の行動レベルでは、条件反射でもいいと思いますし、その方がいいと思います。しかし指導員たるもの、その背後にあるものの意味を考えて、なにをどう伝えたらいいのか、判断できるようであってほしいと思っています。

それは必須スキルではないかもしれません。しかし、ステップアップしたいと願う救命法指導員さんには、数少ない学びの場として、私たちは所属団体に縛られない蘇生科学に根ざした学びの場を提供して行きたいと思っています。


ということで、こうした指導員のための勉強会を希望される方は、気軽にご連絡ください。

すでに都内の医大からの依頼セミナーが決まっており、春先には関西の医療系学生サークルからの打診もいただいています。






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2013年02月25日

Advanced First Aid講習、リアルな環境で学べること

新規企画として開催したAdvanced First Aidコース、盛況のうちに終わりました。

これまでBLS横浜では、ファーストエイドを学ぶ階層構造として、次のようなモデルを提唱していました。

基礎編:傷病者対応コース for バイスタンダーズ
各論編:ハートセイバー・ファーストエイド or ファミリー&フレンズ・ファーストエイドforチルドレン
応用編:ウィルダネス・ファーストエイド

この応用編に新たに加わったのがAdvanced First Aidです。ウィルダネス・ファーストエイド、つまり野外救急法に対してAdvanced First Aidは都市部での救急対応を前提としたシミュレーションプログラムです。

これまで実践シミュレーションは野外救急に限定していたのは、場所がなかったから。実践シミュレーションは講習会場の中だけでは無理。その点、野外救急であれば、鎌倉のハイキングコースをちょっと外れたところなど、工夫次第ではフィールドに困りません。

しかし、都市部でのファーストエイドとなると、その辺の道路で模擬患者を倒れさせて救助訓練というわけにもいかず、どうしても講習会場内となってしまい、臨場感に欠けることから、開催に踏みきれませんでした。

そこで今回は、日本救急救命士協会さんの研修センターをお借りできることになり、屋上や階段でのシミュレーションが可能となり、実現しました。

メディカルラリーのような凝ったシナリオではなく、比較的ベーシックのものばかりでしたが、それでも「階段で人が倒れてます」「ビルの屋上で人が倒れてます」というのを実際の状況下で再現して、シミュレーションしてみると全然違います。

スカイツリーの見えるビル屋上で隣ビルからの墜落者発見!
↑工事中の隣のビルから屋上に転落者発見!

特に2月のこの時期、寒いんですよね。

ケガや病気だけではなく、屋外で地面に倒れているということだけでリアルな寒さに傷病者役は晒されます。救助者にもその寒さや風の危険性は否が応でもわかります。となると、傷病に対する処置だけではなく寒さ対策をしなければいけないという現実問題に突き当たるわけです。

今回は、銀色のアルミホイルを薄くしたみたいなエマージェンシー・ブランケットを装備として用意しておきました。日頃、室内の講習では適当に掛けるだけで済ましてしまうことが多い中、屋外でやると演技の傷病者役を寒さから守るためには真剣にラッピングしてあげなくちゃいけません。実際にやってみると、意外と風に煽られて扱いにくいことに気づいたり。

風に弱いエマージェンシーブランケット
↑風と寒さも大きな問題です

傷病者役として学ぶことも多々あり、きっちりと包んでくれると暖かさが違ったという感想や、いくら包んでもらっても地面と接触している部分から熱を奪われて寒かったという意見も。これらの体験は実際に路上に倒れた人に安楽な状態をサポートする上で貴重な体験となります。

逆に夏場にやったら、天日で60度近くまで熱くなったアスファルトには倒れた状態が続くだけで別の傷害が発生する、ということにも気づけるはず。

つまらないことでも、なるべくリアルな状況で再現することで見えてくるものがあるのです。

なかなか開催場所は限られますが、こうした実践能力を高めるプログラムを今後も開催して行きたいと思っています。





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2013年02月05日

傷病者対応コース at サイクルショップ

今日は、東京の国立駅ちかくのサイクルショップからの依頼で「傷病者対応コース」を開催してきました。

こちらのお店は自転車販売だけではなく、ロードバイクやマウンテンバイクの初心者向け講習会やツアーを開催していて、お客さんがもしもの時のために、ということで、BLS横浜オリジナル講習「傷病者対応コースforバイスタンダーズ」をご指名いただき、お邪魔したという次第です。

傷病者対応コースforバイスタンダーズ



傷病者対応コースは、私たちが勝手に「Neo普通救命講習」とも位置づけている新しいコンセプトの救命講習です。

お作法ではない「使える技術」を実践的に身につけてもらうにはどうしたらいいか? をテーマに、いわゆる心肺蘇生法講習をブラッシュアップして、より現実的な対応を追加したもの。

具体的には、心臓が止まっていなかった場合の対処の仕方、つまりファーストエイドのエッセンスを盛り込みつつ、3時間半程度に抑えた点が、これまでにない新しさです。

さらに、簡単な傷病者アセスメントから、命に関わる優先順位を考えて処置していくこと、医学的処置だけではなく看護の大切さ、緊急通報の実際、安全確保の実際などをシミュレーションベースで考え、身に付ける3時間半のプログラムです。

もちろん内容はすべてにおいてガイドライン2010の意思をくみ、implementation、つまり実際にできる現時的なことだけに絞り込んでいます。理想論だけの講習からの脱却を目指して。


傷病者対応コース、最初は基本のCPR練習   傷病者対応コース:うつ伏せだったらどうしますか?


みなさん、自転車と野外活動の専門家。トラブルに遭遇した経験も多々あり、ファーストエイドの必要性を身にしみて知っています。シミュレーションでも自転車事故を想定することで、臨場感を持って救急対応を考えていただけたようです。

自転車全般に言えることかもしれませんが、特に山道を走るようなマウンテン・トレイルでの自転車事故といえば、やはり気になるのは背骨(脊椎)。

ということで、質問や実体験も多く、脊椎損傷の可能性に関する部分で盛り上がりました。普段はあまりやっていないのですが、うつぶせ状態から、脊柱をひねらないように仰向けにするログロールも体験してもらいました。

傷病者対応コース:119番通報練習も大切!        傷病者対応コース:頚椎保護とログロール


日頃は公募講習で、Bystander(バイスタンダー=その場に居合わせた人)という共通項で進めていくことが多いのですが、このような場面・目的がはっきりした集団からの依頼講習だと、目的を絞って、よりリアルに実践的な学びの場を作ることができます。

一般的な心肺蘇生法や救急法の公募講習に参加しても、そこから実りの多い実践的な学びを得ることは難しかったでしょう。

このように目的に合わせて講習をアレンジすることは、インストラクターにとっても貴重な体験となり、今日も新たな発見がたくさんありました。



スポーツインストラクターやアウトドア・ガイドのような職種は、本来は心肺蘇生法や応急手当に関してきちんと研修を受けて、技術を維持していく必要があります。米国ではきちんと法制化されていて、2年ごとに救命講習を受けてライセンスを更新しなければ、就業できないことになっています。

日本ではそのような基準がないため、業界ではとかくインストラクター個人として自己研鑽するに任せられているのが現状のようです。

その点、今回のサイクルショップさんのように、お店として、きちんとスタッフに講習を受けさせて、危機管理体制をとっているというのは、極めて意識が高く、すばらしいと感じました。

私たちも、引き続き、そんな安全・安心な社会作りのお手伝いとして、この傷病者対応コースを広めていきたいと思っています。



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2013年01月27日

「心停止を目撃」したか否かの違いって何?

横浜本郷台でBLSヘルスケアプロバイダーコース進行中です。

コース開始前に受講者さんから質問がありましたが、やはり小児の部分がわかりづらいようです。

テキスト29ページの「救急対応システムに出動を要請するタイミング」の部分ですが、「心停止を目撃」したか否かによって対応を変えなさいと書かれていますが、この意味がイメージしづらい模様。

これは、人が目の前で突然卒倒したのか、それともすでに倒れているのを発見したのか、という違いを意味しています。

胸を押さえていきなり倒れた。これは突然の心停止を疑います。もっと言うなら心室細動(VF)という致死性不整脈。この不整脈を止めるには除細動(AEDによる電気ショック)が必須ですので、CPRを開始するよりAEDを手配することが優先されます。

一方発見時にすでに倒れていた場合、原因がわかりません。その場合、思春期前、すなわち体が完成する前の子どもだったら"呼吸原性心停止"を疑います。子どもの心臓突然死は珍しく、逆に多いのは呼吸停止に起因する心停止や"ショック"から心停止に至ることが多いことわかっているからです。

もし呼吸停止を経て徐脈になって心静止(いわゆるフラットライン)になった場合、心停止として発見した時点で、体の中に酸素は残っているでしょうか?

いうまでもなく、すでに重篤な酸欠状態。

ですからAEDを手配するより、なにはさておき人工呼吸を含めたCPRで体の細胞、特に心筋細胞と脳細胞を酸素化してあげることが必要なのです。だから5サイクル(2分間)のCPRを優先して、もしその場に自分一人しかいなかったら、そのあとで119番通報とか近くにあるのがわかっていればAEDを取りに行きます。

このように、心停止の原因によって、対応の優先順位が変わってくる、そしてその判断のポイントは、目の前で卒倒したか、それともすでに倒れていたか、ということです。







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