横浜駅から徒歩5分の場所で、AHA-BLS-HCP、PEARS、ファーストエイド講習を開催しています。

開催日程詳細・お申し込みは ホームページ をご覧ください。

2015年10月15日

AHAガイドライン2015が発表されました!

本日、10月15日 日本時間14時に、AHAガイドライン2015が発表されました。

発表された蘇生ガイドラインそのものは英語ですが、ダイジェスト版は早くも日本語化されており、AHAの公式Webから無料でダウンロードできます。ただ、サイト自体が英語なので、日本人にはリンクが探しにくいかと思いますので、直リンクを貼っておきます。


こちらをご覧いただくと、BLS、ACLS、PALS、蘇生後ケア、ファーストエイドと、AHAガイドライン2015全般の変更点と概要を俯瞰いただけると思います。


AHAのガイドライン改訂に関する公式ホームページは下記のとおりです。

https://eccguidelines.heart.org/index.php/circulation/cpr-ecc-guidelines-2/

こちらで、AHAガイドライン改訂に関する解説(英語)がご覧いただけます。


AHAガイドライン本文はAmerican Heart Association学会誌であるCirculation誌に掲載されますが、Web上で無料配信されています。

下記ページから、章ごとにPDFでダウンロードできます。

http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2.toc

これらはいずれも英語で、来年初めまでには日本語の書籍としても出版されますが、無料配信されるのは英語のみかと思います。








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2015年09月11日

ACLSでパドルショックよりパッドショックが推奨される理由

G2010では、除細動の電気ショックの直前の充電時間中も胸骨圧迫を継続することが推奨されています。これにより、優位に除細動の効果が高まることが明らかになったからです。

ところが、手動式除細動器のパドルを胸郭に押し当てて充電している間、胸骨圧迫を続けることは非現実的です。

しかしパッドにすればそれは可能です。
パッドというのはAEDと同じ、アレです。

充電やショック(放電)のボタン操作は除細動器本体で行いますから、胸骨圧迫の振動で誤ってボタンを押してしまうというようなリスクもありません。

つまり、胸骨圧迫の中断を最小限にしてすぐにショックをできるという点で、「迅速な除細動」が可能ということがパッドショックの最大のメリットです。


さらにいうと、技術のムラがなく誰でも安定した除細動を行えるというのもパッドショックの利点といえます。パドルを使う場合、約10キロほどの力で強く均一に胸骨に押し付ける必要がありますが、これがなかなか難しい。技術によってうまい下手がでてきます。

その点、パッドはしっかりと貼り付ければいいだけですから、質が均一です。


ただ、パッドは消耗品で1枚1万円弱。コストが問題であまり積極的には使われていません。また迅速な除細動ができると言っても、慣れた人にとっては、パドルの方がサッと使えますので、初回のショックに関してはパッドより早いかも。

ただ、いちおうAHA公式にはパッドショックが推奨されているということは、ACLSプロバイダーコースを受講する方は知っておいてください。



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2015年09月10日

AEDトレーニングに適した練習機とは…

AED講習でAEDの「使い方を覚えさせる」ような教え方をしてはいけません。

AED操作で教えるべき唯一の動作は電源スイッチを入れること、ただそれだけです。

現在日本で認可されているAEDのほとんどは、蓋を開ければ自動でスイッチが入るタイプですから、もはや「技術」としてAEDを教える内容はなくなったといってもいいかもしれません。

AEDは機械の設計として、「音声指示に従って操作する」ことを前提として作られた機械です。つまり、訓練を受けていない人が使う道具である、という基本を思い出しましょう。

AED講習で教えるべきなのは、パッドの貼り方などではなく、「音声指示に従う」という「態度」なのですが、このことはあまり理解されていません。

施設職員向け研修などでは、施設に配備されたAEDの操作を「覚える」ような講習展開もありと思いますが、不特定多数向けの一般講習で、あるメーカーの特定機種の使い方を覚えさせても、受講者が遭遇するのが同じ機種とは限りません。

以前は「AEDは機種が違っても操作は大きくは変わりません」という点を強調していましたが、いろんなメーカーの様々な機種が認可されてきた今、直感的に使えるAEDだけではなくなってきていますので、分かった気になってAEDの指示を聞かずに操作することは危険です。

そこで大事なのは、音声指示を先回りしてでも早期除細動を目指すような指導ではなく、機種固有の音声メッセージをよく聞いて従う、という態度を醸成することです。原則論に立ち返るべき、とでもいいましょうか。


そう考えた時に、一般向けのAED訓練に使うAEDトレーナーの機種選定では、実機が存在するかどうかという点は重要な問題ではありません。

むしろ実機の存在しない練習用オンリーの機種の方がトレーニングには適しているといえるかもしれません。



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2015年09月03日

9月13日(日)ハートセイバー・ファーストエイドCPR AEDフルコース告知

AHA(アメリカ心臓協会)認定 ハートセイバーファーストエイド/CPR/AEDコース開催のお知らせ

本講習は米国労働安全衛生局 (Occupational Safety and Health Administration
=OSHA)の定める米国連邦法による法定講習内容を含み、修了者には国際規格のAHA資格証が発行され、海外で活動する方、外資系企業に勤務する方等に推奨されます。 日本国内では、厚生労働省が定める「業 務の内容や活動領域の性格から一定頻度心停止者に対し応急の対応を行うことがあらかじめ想定される者(一定頻度者)」向けのAED講習に該当し、介護・福祉職、旅行添乗員、サービス業、ホテル・宿泊施設従業員、スポーツトレーナー、警察官、警備員等が対象のコースとなります。

1.日時
2015年9月13日(日) 08:30〜18:30

2.開催場所
東京都内 中央区日本橋

3.講師
山寺 圭(AHA/MTN BLS HCP トレーニングセンターファカルティ)

4.講義内容
ファーストエイド編

第1部 応急手当(ファーストエイド)の基礎

救護者のするべきこと
手の洗浄/血液・体液感染防護措置/感染防護手袋の脱着
成人・小児の救命の連鎖/緊急通報要領/傷病者の問題の発見

第2部: 急病への対応

吸入障害/異物による窒息
重篤なアレルギー症状/エピネフリン(アドレナリン)注射器の使用手順
心臓発作
失神
糖尿病と低血糖発作
脳梗塞
けいれん発作
ショック

第3部: 傷の手当て

止血法(大・小出血/止血帯/内出血/鼻血/口内出血等)
 ※軍用止血帯・止血剤に関する解説含む
歯/眼の受傷
刺創/身体部位の切断
頭部/頚椎/脊椎の受傷
骨折と捻挫/副木
火傷(軽微/重篤なもの)/感電による受傷

第4部: 環境による緊急事態

動物/蛇/昆虫等による咬傷
熱障害(熱痙攣/熱疲労/熱射病)
低温障害(凍傷/低体温症)
毒劇物による受傷/中毒/除染


AED/CPR編
第1部: ポケットマスクを使用した成人/小児のCPRと窒息の解除
第2部: 成人/小児へのAED使用手順
第3部: ポケットマスクを使用した乳児へのCPRと窒息の解除
※ご自身のポケットマスク/バルブをお持ちの方はご持参下さい(消毒済みのポケットマスク/バルブはこちらで用意しております)。 ファーストエイド編、CPR/AED編共に実技評価試験が あり、修了者には2年間有効なコース修了カードが発行されます。

5.受講費用・受付等

受講費用¥14000-(カード申請手数料込み)は、当日現金にてお支払い下さい。 また、領収書の必要な方は、宛先を含め予めお知らせ下さい。 なお、本講習

の受講定員は4名迄となります。 9月5日(土)迄、下記迄お早めに連絡願います。

山寺 圭

keimoo★sepia.ocn.ne.jp
(★を@に変換してください)



6.備考

受講に際し、事前にテキストを購入・予習願います。
使用テキストは AHA Heartsaver First Aid With CPR and AED【日本語版】2,808円又は英語版 2,160円を各自書店又はネット通販等でお求め下さい。
購入先参照:http://eccjapan.heart.org/course/purchase.html

当日は実技で身体を動かしますので、動き易い服装(ズボン等で露出の少ないもの)でお越し下さい。





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2015年09月01日

ポケットマスク(ブラック)限定入荷

成人用ポケットマスクが20個限定で入荷しました。

JSISH-ITC特別仕様ポケットマスク(ブラック)


JSISH-ITCオリジナルのブラック仕様。

ケース全体が黒のものは市販品にはありませんので、ちょっと珍しいかもしれません。

BLS横浜の講習に参加する方で、ご希望の方に講習会場で2,200円でお分けします。


BLS横浜で開催している BLSヘルスケアプロバイダーコースハートセイバーCPR AEDコース では、洗浄・消毒済みのポケットマスク(無料)を貸し出ししていますが、個人専用の新品をご希望の方は講習前日までにメールにて希望をお知らせ下さい。

当日、代金と引き換えにお渡しします。


基本的には、ポケットマスクの練習を含む講習会参加者の方を想定していますが、それ以外のワークショップ参加者でも、希望があれば応じます。

ただし20個限定なので、在庫切れの場合はご容赦ください。


練習に使うときはフィルターを外す!


なお、ポケットマスクを練習で使用する際は、白いフィルターを外しておくことをおすすめします。

ポケットマスクのマウスピースとフィルター

↑ポケットマスクの白いフィルターは練習時は外しましょう



これは傷病者が嘔吐した場合のためのものですが、練習で呼気を通すと湿気ってカビの原因になりますし、洗浄を繰り返すと目が詰まる原因になります。

傷病者相手に実戦で使った場合は、使い捨てにして、交換するように設計されています。(フィルターの交換パーツが売られています)





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2015年07月08日

最大の学びは教えること 〜拡がりに期待をしつつ

この週末、一般社団法人AED-PROMOTE(スポーツシーンにおける突然死撲滅プロジェクト)さんとの共同企画で「スポーツ現場における救命法講習会」を開催してきました。

マリノスタウンでの傷病者対応コースforバイスタンダーズ


心臓への負荷がかかるスポーツの世界では心臓突然死は珍しい話ではありません。

そのためスポーツトレーナーは一般的な救命法を心得ていますし、サッカーや野球など、ファンイベントとして、PUSH講習やAED講習が開催されたというニュースも最近よく聞きます。

そんな救命法に対して意識が高いと思われるスポーツ関係者のために、さらに一歩先を学ぶ機会を、ということで私どもが相談を受けて実現したのが今回の「スポーツ現場における救命法講習会」でした。

BLS横浜オリジナル講習の「傷病者対応コース for バイスタンダーズ」をベースにして、スポーツ現場、特に今回は観戦中の観客に起こりそうな緊急事態を想定したシナリオで進めてみました。

胸骨圧迫のみの心肺蘇生法の練習から始めて、その後、「呼吸があったらどうするか?」「意識があったらどうするか?」というファーストエイド領域まで徐々に守備範囲を広げていく4時間の経験型学習プログラムです。

現実問題として、心停止という最悪の事態にいきなり直面するよりも、具合が悪くてうずくまっている人を見つけたとか、そういう比較的軽微なトラブルに遭遇するほうが多いのが現状かと思います。

最後の手段として心肺蘇生法は心得ておくべきですが、「ふだん使い」できる救急対応能力としては、体調不良を含め、困っていそうな人に声を掛けて、問題解決に向けたサポートをしたり、然るべき人に引き継ぐということのほうが現実的です。

言葉にすると簡単ですが、私たちにとっては見ず知らずの人に声を掛けて、訴えを聞くだけでもなかなか大変なこと。

そのあたりをシミュレーションを通して訓練するのが傷病者対応コースの基本コンセプトです。


今回は、午前と午後で2回の講習を開催して、延べ22名の方にご参加いただきました。

この企画の特徴は、午前中に受講した人が、午後にはアシスタント・インストラクターとして指導側で参加するということ。

よく言われることですが、最大の学びは教えること、です。

救急法という医学的とも思われる内容だけに、いきなり人に指導するというのは心理的にも抵抗が大きいかなと思う部分もありましたが、やってみたら、午前中の参加者の方たちも積極的に受講者に声をかけて、自分たちが学んだことを活き活きと伝える姿が多く見られました。

なにより楽しそうに受講者の方たちと話をしていて、自分たちが学んで、「へぇ!?」と思ったこと、「なるほど!」と思った体験を参加者にも感じてほしいという思いに駆られていたのかなと思いました。

救急法というコンテンツを伝える、というよりは、シミュレーション体験から学び取ることの楽しさや充実感をシェアするという学びのサポーターとしての楽しさ、のようなものがあったのかもしれません。

今後、このような機会を継続して提供し、学びの輪が広がることに期待しています。

今回は、横浜が誇るプロサッカーチーム「横浜マリノス」さんの協力で、練習場のあるマリノスタウンを会場として提供していただきました。

そのため、今回の参加者はサッカーファンの方が多かったようですが、ノルディックウォーキングのインストラクターさんなども参加されており、今後はもっと広くスポーツ関係者の方の参加を期待しているイベントです。

今後、AED-PROMOTEさんの方で、さらに横浜市内のスポーツ関連団体やプロスポーツチームに声をかけていくということですので、今後の拡がり、そして次回の開催はどのスポーツ関連施設になるのか、楽しみです。

次回開催は現時点、未定ですが、「スポーツシーンにおける突然死撲滅プロジェクト」のFacebookページなどで公示が出されましたら、またこちらでもご案内していきたいと思っています。


一般社団法人AED-PROMOTE
 http://www.aed-promote.link/

スポーツシーンにおける突然死撲滅プロジェクト
 https://www.facebook.com/aedpromote





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2015年07月02日

私たちが開催する講習の特色

AHA講習を展開する組織として、私たちの特徴について説明したいと思います。


日本には現在9つのAHA ECC提携団体があり、下の図に示すような法人(学会やNPO、企業、任意団体など)が、AHAと契約を結ぶことで、国際トレーニングセンターとして認証されて、それぞれ独立した立場でAHA公認講習を開催しています。

日本のAHA講習開催団体の関係図


同じAHA講習を開催していても、このような組織建てになっているため、トレーニングセンター同士の横のつながりはなく、日本国内で一元管理されているわけではない、という点はあまり知られていません。

そのため、同じAHA講習を開催している団体(トレーニングセンター)でも、目指すところやその対象、雰囲気や考え方など、母体組織によって、特色の違いが見られます。


私たちは、現在は主に日本医療教授システム学会AHA国際トレーニングセンター(JSISH-ITC)の一員として活動しています。教授システム学ということで、教育工学(インストラクショナル・デザイン)を研究する学術団体の下にいますので、AHA講習プログラムに対しても、常に教育という視点から捉えているのが私たちの特色です。

どのように指導したら効果的か、またシミュレーション教育と実臨床の間の溝を埋めるにはどうしたらいいか、など、教え方(逆説的に、学び方といった方が適切かもしれません)という視点でAHA講習を考えています。

つまり、BLSやACLS、またはPEARSといった講習プログラムが先にあるのではなく、適切な心肺蘇生法ができる、二次救命処置でチームワークを発揮する、心停止につながる危険な兆候に気づき介入できるといったゴールに到達するための手段の一部としてAHA ECCプログラムを活用している、と言っていいかもしれません。

教育デザイン的に考えたときに、AHA講習は現場でのパフォーマンスまではカバーしていないことは明白ですから、AHA講習で基礎スキルを身につけた後、どう現場で使えるパフォーマンスに持ち上げていくかという、先を常に考えています。

このあたりが、数あるAHA講習開催団体の中でも受講者の皆様から高く評価を頂いている部分なのかもしれません。





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2015年06月29日

沖縄初のAHA-PEARSプロバイダーコース、開催報告

沖縄県下で初めての開催となるAHA-PEARSプロバイダーコースが終了しました。

沖縄県那覇市で初開催のAHA-PEARS(ペアーズ)プロバイダーコースbyBLS沖縄


那覇で精力的に活動しているAHA活動拠点BLS沖縄さんとのコラボで実現した初の企画でした。

2008年にAHAが開発して以来、英語教材しかないにも関わらず、じわじわと日本でも認知されてきた看護師向け急変対応プログラム。

沖縄では開催実績がなかっただけにどれだけ申し込みがあるか手探りではありましたが、土日で立て続けに2回開催したコースは満員御礼、キャンセル待ちが出るほどの盛況に終わりました。

PEARSで学ぶのは『救命の基本原理』

PEARSは小児急変対応コースですが、その活用範囲は小児を専門に扱う医療者だけではありません。

今回の沖縄PEARSでは、小児の認定を持つ看護師さんの参加もありましたが、救急救命士さん、歯科衛生士さん、民間の救命法指導員さんなど、救命の基本原理を学びたい!、という人たちが幅広く集まった印象です。

最近はとかくインスタント化される救命講習、普及のためにはそれは必要なことですが、きちんと理屈を理解した上で実施すべき人たちが「しっかり学べる」教育がなくなってきているのが現状です。

そんななか、丸暗記で条件反射で動ければいい、というレベルを卒業した人たちにぴったりだったのがPEARSプロバイダーコースだったんじゃないかなと思います。

シミュレーションは外せない

特にBLS沖縄ならびにBLS横浜が提供するPEARSでは、シミュレーション・トレーニングを重視しています。

最近、座学のレクチャーとディスカッションだけで終わらせるPEARSも普及してきていますが、今回の沖縄PEARSを受講してくださった方たちも、異口同音でシミュレーションがあってよかったという点では異口同音でした。

頭でわかるのと、実際にできる、はまったく別物です。

シミュレーションを省略しないフルサイズのPEARSでは、体系的アプローチを事前学習で知識として知り、次に映像を使ったディスカッションで具体的な使い方を学び、最後にシミュレーションの中で行動・言葉に出して実践して、使い方を身につけるという3段階で進めます。

PEARSはBLSとは違って、体育会系的に体を動かせればいいというのとは根本的に違いますので、理解し、実践できるようになるためには、それ相応の訓練方法が必要なのです。


ラピッド・レスポンス・チームの教育としても有用なPEARS

PEARSでは、心停止後の対応も扱いますが、どちらかというとおまけみたいなもので、PEARSが目指すメインは心停止になる手前の段階で気づいて心停止を予防することにあります。

というのは小児が心停止にまで陥ると救命の可能性がほとんどない、ということのほか、心臓突然死が多くはない小児では心停止は防げるというのが根底にあります。

これに対して成人傷病者は突然に心室細動を起こして心肺停止に陥るというイメージが流布していますが、実はそうではないという点が近年強調されてきています。

特に病院内心停止は、成人であってもそれは偶発的なものではなく、予兆があるとはよく言われています。

そこに着目すれば、PEARSの心停止予防の観点と介入はほぼそのまま成人傷病者にも使えるといえます。

例えば、Rapid Response Team/systemという言葉を聞いたことがあるでしょうか?

RRTとRRSと略されたり、迅速対応チームと日本語で呼ばれることもあります。

これは心停止の時に病院内の医療者が招集されるコードブルーやドクターブルーなどの「コードチーム」に対して、なんだか様子がおかしい、という段階で呼ばれる急変対応というか急変アセスメントチームのこと。

米国やオーストラリアで制度化されて成功を収めて、日本でも導入が検討されている段階なのですが、これらのRRTの概念は、心停止は突然ではないから、それを防ぐためのアセスメント+初期対応の教育が必要であるという文化的な転換を示しています。

このRRT教育に該当するのが、PEARSプロバイダーコースなのです。

他にもFCCSやAMLSなど、他団体に着目すれば心停止以前のアセスメントと安定化をカバーしたプログラムはいくつかはありますが、アメリカ心臓協会AHAのプログラムの中ではPEARSだけがこれに相当します。

残念なのはPediatric、つまり小児という枕詞がついてしまっている点です。

再三述べているのように、PEARSは小児に限らずすべての院内急変に対応できる考え方、安定化介入をカバーしています。

病院勤務の看護師が学ぶべき急変対応としては、BLSとPEARSだと言い切ってしまっていいと思います。

ACLSも大切ですが、ベッドサイドにいる看護師が自分の責任下でできること、効果が絶大であるという点では、ACLSよりは先にPEARSを知っている必要があるでしょう。


沖縄でのPEARS普及の今後に期待

さて、沖縄で初開催のPEARSの話に戻りますが、沖縄の方たちにとってもPEARSは斬新な内容だったようで、コース終了後、夜遅かったにも関わらず、なかなか人がはけず、受講者同士での情報交換やインストラクターへの質問や相談で盛り上がっていたのが印象的でした。

新しく学んだ概念をどうやって自分のフィールドに活かしていくのか、そんな議論が続いていました。

インストラクターになりたい!

そんな声も少なからずありました。

陸続きの内地と違って、県外に学びに行くというのが容易ではない沖縄で、自分たちでPEARSコースを開催できることの意義は他県に比べて高いのかもしれません。


BLS横浜としては、沖縄でPEARSを定期開催できるような具体的なビジョンが立つのであれば、インストラクター育成やコース運営に関して最大限にお手伝いしていきたいと思っています。

BLSインストラクターに比べると、やや難易度が高く、医学的な知識も求められるPEARSですが、仮称「PEARS沖縄トレーニングサイト」のサイト長を担ってくれるようなキーパーソンが名乗りでてくれれば、本格的な支援を考えていきたいと思っています。




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2015年06月21日

AEDの電源を入れるタイミング、勘違いしていませんか?

「いざという時にはAED!」という意識が根付いてきたのはうれしいことですが、不正確な理解が広まっているのが気になるところです。

特に、AEDを装着するタイミングは、驚くほど誤解されています。

AEDは医療機器ですから、使用条件(適応)がきっちりと定められています。

1.反応なし
2.呼吸なし

上記の条件を満たした場合、つまり心停止を疑う場合にはじめて使用する道具です。

「大丈夫ですか?」と呼びかけて反応確認をした後、「あなたAED持ってきて!」となりますが、すぐにAEDが届いたとしても、呼吸確認をするまでは、AEDは装着しない、ものなのです。

もう一度いいます。「AEDは心停止が強く疑われる人」に使用するものであって、具合の悪い人に念のため装着するものではありません。

意識・反応がない人がいたら、胸から腹にかけての動きを目で見て、「正常な息をしている」と10秒以内に確信が持てなければ、胸骨圧迫を開始しますし、AEDがすでに届いていれば、この時点でAEDの電源を入れて装着します。

呼吸をしていない!(もしくは普通じゃないヘンな呼吸をしている)

この確認を守らないと、酔っぱらいや失神発作で倒れた人が、みんな服を切られて、公衆の面前で裸にされることになってしまいます。

意識がなければAED手配と119番通報するのは正解ですが、AEDが手元に届いても、明らかに呼吸がある場合や、朦朧としていてでも意識がある場合はAEDを装着する必要はないということも知っておいてください。

また指導員は、このAED使用の原則についてきちんと知っておく必要があります。

普及促進という点ではまどろっこしく感じる部分もあるかもしれませんが、胸骨圧迫と違って除細動は紛れもない医療行為であるという認識を、指導員は忘れないようにしたいものです。



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2015年05月23日

ACLSプロバイダーコース事前学習のヒント G2015

※本稿はもともとはガイドライン2010版を前提とした記事でしたが、2017年7月現在も参照が多いため、内容を最新のG2015準拠講習に合わせてリライトしました。(2017年7月25日)


最近、ACLSプロバイダーコースに関する質問が多いので、一度まとめておこうと思います。

ACLSを勉強しよう、ACLSプロバイダーコースを受講しようと思ったら、まずは ACLSプロバイダーマニュアル を購入しましょう。

そこから始まります。

AHA-ACLSプロバイダーマニュアルG2015準拠日本語版


必ずAHAガイドライン2015準拠という版を買ってください。古いガイドライン2010版のテキストを持ってくる方がたまにいますが、ダメです。

ガイドラインを経るごとだんだん薄くなっている本ですが、そこそこボリュームがあります。

全体をパラパラとみて興味があるところを拾い読みしてもいいかと思いますが、お勧めしないのは1ページ目から丹念に読んでいくというやり方。

時間があるならいいのですが、効率よく読むならプレテストを活用しましょう。

AHAの公式のACLS学習用専用ホームページがあります。

テキストを開いて、中表紙の裏側(iiページ)の下に、受講者用ウェブサイトにアクセスするための URL と、アクセスコードが記されています。

ACLS受講者用ウェブサイトの入口

ログインすると、日本語サイトに切り替わり、ページ上方にある「開始する」という赤いアイコンをクリックすると事前学習のためのプレテストがe-Learningで行えます。(G2010版までは日本語PDFで提供されていましたが、G2015からは英語版同様、オンライン化されました)

ACLSプロバイダーコース受講前の自己学習サイト


まずはこのプレテストを解きながら、関連するページを拾い読みしていくと、まんべんなく効率よく事前学習できると思います。

なお、ACLSプロバイダーコース受講条件として、このプレテストを70%以上のスコアで修了していることが求められています。e-Learing終了後のスコアシートを印刷して、受講時に持参することになっています。

このプレテストは何度でもできますから、最新の高得点が取れたものを印刷して持っていけばOKです。



さて、ACLSプロバイダーコースは、その名の通り、Advancedな救命スキルを学ぶコースです。

インストラクショナル・デザイン的な教材設計としても、下記の点は習得済み/知っているものとして、コース設計がされています。

・ヘルスケアプロバイダーレベルの成人のBLS
・モニター心電図
・蘇生に使う薬剤の薬理

BLSはいいとして、心電図と薬理について、これだけは、という点を列記しておきます。

モニター心電図:
・心室細動(VF)
・無脈性心室頻拍(Pulseless VT)
・無脈性電気活動(PEA)
・心静止(Asystole)
・頻脈系(心室頻拍、発作性上室性頻拍)
・徐脈系(1度房室ブロック、2度房室ブロック:ウェンケバッハとモービッツII型、3度房室ブロック)

薬剤:
・アドレナリン(血管収縮薬)
・アミオダロン(抗不整脈薬)
・アトロピン
・アデノシン

心電図はパターン認識でも構わないと思います。心電図の本を1ページから読んでいくような学習は勧めません。見分けられることがまず大事。また、これらの波形がどのアルゴリズムと関連しているのかイメージしておくといいと思います。

薬剤は、どの場面で使う薬なのか、用量・用法は? という点は少なくとも押さえておきたいところです。

その他、アルゴリズム図を眺めて、どんな判断・展開を行うのかをイメージしておいてください。最後のメガコードテストと呼ばれる実技試験の評価表が158ページから載っています。

このチェックリスト(どれかひとつ)のすべての項目にチェックがつくと、実技試験合格となります。

どんな流れで、展開されて、なにが求められているのか、アルゴリズム図と照らし合わせながら把握しておくことをお勧めします。

なお、テキストに付属するアルゴリズムのカードは、メガコード試験中も見ることができますので、アルゴリズムを暗記する必要はありません。(当日はお忘れなく!)


ACLSプロバイダーコースには、脳卒中と急性冠症候群も含まれていますが、これらは実技試験としては問われません。とりあえず、後回しでもいいですが、テキストを一読はしておいてほしいと思います。米国と日本の違いという点でわかりにくい部分もあるかと思いますが、そこはコース中にご質問いただければ。

その他、把握しておいてほしい点は、

・無脈性電気活動(PEA)とはなにか? このタイプの心停止から救命するためにはどうしたらいいか?
・同期電気ショックと除細動の違いはなにか? なぜ違うのか?
・経皮ペーシングとはなにか?
・波形表示呼気CO2モニターでわかること
・ROSCとはなにか? ROSC後のケアの目的は? TTMとは?
・RRTとMETとはなにか? その目的は?

といったあたりです。

こうしたことをきちんと把握しておいていただけると、短い講習時間の中で最大限の学習効果が得られると思います。


その他、副読本としてお勧めなのは、
改訂第3版ALS:写真と動画でわかるニ次救命処置
です。

改訂第3版ALS:写真と動画でわかるニ次救命処置


日本人が日本人のために書いていますので、具体的でわかりやすいです。

単に、二次救命処置を勉強したいだけだったら、AHAのテキストよりこちらのほうがお勧めです。(ただし、AHA-ACLSプロバイダーコース受講にはAHA公式テキストが必須です)



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2015年05月06日

救命講習後、職場に戻ったらすぐチェック!

保育園や幼稚園、介護職員向けの心肺蘇生法講習をした際に、講習の最後に配っているメッセージです。


救命講習受講後に職場でチェックしたいポイント


短い救命講習の中ではCPRという技術を身に付けるのが精一杯。

しかし、実際の救急事案では、CPR着手に辿り着くまでのノンテクニカルな部分が重要です。

学んだ「技術」を使える「パフォーマンス」に昇華するためのヒント。

救命を個人スキルから、施設全体のシステムの問題として考えをシフトしないと救命の連鎖はつながりません。

インストラクターの皆さんも、よければ参考にしてください。

本当は受講者全員で事例を共有してディスカッションができるといいのですが、なかなか時間が取れないのが現状。

よろしければ、このようなメッセージを最後に配ることをおすすめします。

この文面をまるごと使って頂いても構いませんし、アレンジしてもらっても構いません。ご自由にお使いください。

A4用紙に印刷できるPDFデータも公開します。

「職場のシステムとして考える救命処置」 PDF 312KB】




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2015年04月28日

PEARS受講前に知っておいてほしいこと 〜酸素の流れを考えると人の生死が見えてくる

酸素を細胞に送り続けること。

これが人が生きている根源的なしくみです。細胞に酸素が届かなくなると、人は死にます。死因はいろいろあっても、「酸素化と灌流」が原点。よく覚えておいてください。

大気に21%含まれる酸素が、体内の細胞までどういう経路で届くでしょうか? その経路が阻害される事態が生命危機であり、心停止に次いで急を要する緊急事態です。

1.呼吸障害(4種類)
酸素が細胞まで届くための入口は口と鼻。そこから喉を通って肺に届きます。

この過程で、もし喉に食べ物が詰まっていたら? 火事で熱風を吸い込んだり、アレルギー反応で喉の粘膜が腫れて空気の通り道がふさがってしまったら?

これが上気道閉塞です。呼吸障害で最も怖い事態。喉の奥から気管分岐部までの上気道は一本しかありませんから、これが詰まったらアウトです。

救急で気道 Airwayを真っ先に評価するのはこういう理由からです。酸素が体内に取り込まれるゲートが上気道なのです。これが破綻していたら、その先も機能しません。

無事に上気道を通過した酸素は、気管支を通って肺胞に届きます。しかし気管支に痰が詰まっていたり、喘息のように細く狭窄した状態だと酸素の流れが滞ります。これが下気道閉塞です。

肺胞に酸素が届いても、肺炎などで肺胞が炎症を起こしていて酸素を血液に溶け込ませる機能が障害されている場合、酸素の流れが滞ります。これが肺組織病変。

このように酸素が血液に溶け込むまでの過程に問題がある場合を、呼吸障害と呼んでいます。

上気道、下気道、肺組織病変。酸素の流れを考えると、簡単ですね。

呼吸障害にはもう一つ、呼吸調整機能障害というタイプがあります。これは呼吸筋を支配してる中枢神経の障害です。頭部外傷や薬物過量などで、呼吸抑制が起きたり、呼吸のリズムが狂った場合がこれに含まれます。


2.循環障害(2種類)
肺胞から血液に溶け込んだ酸素は、血流に乗って細胞へ運ばれて行きます。

この過程に問題があるのが循環障害で、ショックと呼ばれます。

出血や脱水などで、血液の量が少なくなっていたら必要な酸素運搬が十分に行えません。これが循環血液量減少性ショックです。人の死因としては最も多い、見逃してはいけない生命危機状況です。

血液の絶対量は問題なくても、血管が病的に拡張することで血圧が下がり、さらに血管の網目が広がって水成分が組織の隙間に漏れでてしまうことで、酸素運搬能力が下がる場合もあります。これが血液分布異常性ショックです。

血管が拡張してしまう原因は、病原菌が出す毒素による炎症反応(敗血症)や、アレルギー反応による全身性の炎症反応(アナフィラキシー)がよく知られています。


このように人が命を落とす原因を酸素の流れがどこで阻害されるか、で考えるとわかりやすいです。

原因がわかれば、その対応策見えてきます。

そこをパターン化して、認識できるようにして、対応策を考えるのがPEARSプロバイダーコースです。




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2015年03月27日

蘇生ガイドライン2015、AHAコース教材リリース時期が発表されました

今年は蘇生ガイドライン改訂の年です。

BLSやACLSなどのAHA ECCコースの内容も一新されますが、教材リリースのスケジュールが先ほど発表になりました。

例年だと、2016年6月にヘルスケアプロバイダーコース英語版が出るのが常でしたが、今回は1月か2月とのこと。全般的に前倒しの感じなんですね。


もっとも、AHAのこうしたスケジュールはしばしば大幅に遅れますし、中には変更されてリリースされないものもあったりするので、全面的には信用できませんが、意気込みは感じられます。

ただし、これは英語版教材のリリース予定。日本語版は概ね1年遅れくらいですが、PEARSや、ハートセイバー小児ファーストエイドなどのように、そもそも日本語化されるのかどうかはっきりしないものもありますので、注意が必要です。




Preliminary Release Dates for 2015-16 AHA Guidelines Tools & Products:

2015
October 15, 2015

ILCOR Consensus on Science
2015 AHA Guidelines for CPR and ECC
AHA/Red Cross Guidelines for First Aid

November/December
2015 Guidelines Highlights (PDF and eBook)
2015 Guidelines Highlights Translations (17 languages)
Handbook for ECC for Healthcare Providers (PDF and eBook)
Science In-Service
Instructor Update Conference at ReSS/SS (November 6, 2015)

2016
January/February

Basic Life Support (BLS) Blended Learning
BLS Resuscitation Quality Improvement (RQIトレードマーク(TM)) (Module 2) March/April
BLS Classroom
Heartsaverレジスタードマーク First Aid CPR AED Blended Learning
Heartsaverレジスタードマーク First Aid CPR AED Classroom
Heartsaverレジスタードマーク Pediatric First Aid CPR AED Blended Learning
Heartsaverレジスタードマーク Automated Training Solution (ATS)
Advanced Cardiovascular Life Support (ACLS) Classroom
HeartCodeレジスタードマーク ACLS
CPR Anytimeレジスタードマーク Adult/Child
Infant CPR Anytimeレジスタードマーク
CPR in Schools Training Kitトレードマーク(TM)

May/June
Resuscitation Quality Improvement (RQIトレードマーク(TM))
Heartsaverレジスタードマーク Pediatric First Aid CPR AED
Heartsaverレジスタードマーク Bloodborne Pathogens
Family & Friendsレジスタードマーク CPR

July/August
Pediatric Advanced Life Support (PALS) Classroom
HeartCodeレジスタードマーク PALS
Pediatric Emergency Assessment, Recognition and Stabilization (PEARSレジスタードマーク)






posted by BLS横浜 at 08:35 | TrackBack(0) | 蘇生ガイドライン2015のBLS/ACLS/PEARS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする