横浜駅から徒歩5分の場所で、AHA-BLS-HCP、PEARS、ファーストエイド講習を開催しています。

開催日程詳細・お申し込みは ホームページ をご覧ください。

2015年07月08日

最大の学びは教えること 〜拡がりに期待をしつつ

この週末、一般社団法人AED-PROMOTE(スポーツシーンにおける突然死撲滅プロジェクト)さんとの共同企画で「スポーツ現場における救命法講習会」を開催してきました。

マリノスタウンでの傷病者対応コースforバイスタンダーズ


心臓への負荷がかかるスポーツの世界では心臓突然死は珍しい話ではありません。

そのためスポーツトレーナーは一般的な救命法を心得ていますし、サッカーや野球など、ファンイベントとして、PUSH講習やAED講習が開催されたというニュースも最近よく聞きます。

そんな救命法に対して意識が高いと思われるスポーツ関係者のために、さらに一歩先を学ぶ機会を、ということで私どもが相談を受けて実現したのが今回の「スポーツ現場における救命法講習会」でした。

BLS横浜オリジナル講習の「傷病者対応コース for バイスタンダーズ」をベースにして、スポーツ現場、特に今回は観戦中の観客に起こりそうな緊急事態を想定したシナリオで進めてみました。

胸骨圧迫のみの心肺蘇生法の練習から始めて、その後、「呼吸があったらどうするか?」「意識があったらどうするか?」というファーストエイド領域まで徐々に守備範囲を広げていく4時間の経験型学習プログラムです。

現実問題として、心停止という最悪の事態にいきなり直面するよりも、具合が悪くてうずくまっている人を見つけたとか、そういう比較的軽微なトラブルに遭遇するほうが多いのが現状かと思います。

最後の手段として心肺蘇生法は心得ておくべきですが、「ふだん使い」できる救急対応能力としては、体調不良を含め、困っていそうな人に声を掛けて、問題解決に向けたサポートをしたり、然るべき人に引き継ぐということのほうが現実的です。

言葉にすると簡単ですが、私たちにとっては見ず知らずの人に声を掛けて、訴えを聞くだけでもなかなか大変なこと。

そのあたりをシミュレーションを通して訓練するのが傷病者対応コースの基本コンセプトです。


今回は、午前と午後で2回の講習を開催して、延べ22名の方にご参加いただきました。

この企画の特徴は、午前中に受講した人が、午後にはアシスタント・インストラクターとして指導側で参加するということ。

よく言われることですが、最大の学びは教えること、です。

救急法という医学的とも思われる内容だけに、いきなり人に指導するというのは心理的にも抵抗が大きいかなと思う部分もありましたが、やってみたら、午前中の参加者の方たちも積極的に受講者に声をかけて、自分たちが学んだことを活き活きと伝える姿が多く見られました。

なにより楽しそうに受講者の方たちと話をしていて、自分たちが学んで、「へぇ!?」と思ったこと、「なるほど!」と思った体験を参加者にも感じてほしいという思いに駆られていたのかなと思いました。

救急法というコンテンツを伝える、というよりは、シミュレーション体験から学び取ることの楽しさや充実感をシェアするという学びのサポーターとしての楽しさ、のようなものがあったのかもしれません。

今後、このような機会を継続して提供し、学びの輪が広がることに期待しています。

今回は、横浜が誇るプロサッカーチーム「横浜マリノス」さんの協力で、練習場のあるマリノスタウンを会場として提供していただきました。

そのため、今回の参加者はサッカーファンの方が多かったようですが、ノルディックウォーキングのインストラクターさんなども参加されており、今後はもっと広くスポーツ関係者の方の参加を期待しているイベントです。

今後、AED-PROMOTEさんの方で、さらに横浜市内のスポーツ関連団体やプロスポーツチームに声をかけていくということですので、今後の拡がり、そして次回の開催はどのスポーツ関連施設になるのか、楽しみです。

次回開催は現時点、未定ですが、「スポーツシーンにおける突然死撲滅プロジェクト」のFacebookページなどで公示が出されましたら、またこちらでもご案内していきたいと思っています。


一般社団法人AED-PROMOTE
 http://www.aed-promote.link/

スポーツシーンにおける突然死撲滅プロジェクト
 https://www.facebook.com/aedpromote





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2015年07月02日

私たちが開催する講習の特色

AHA講習を展開する組織として、私たちの特徴について説明したいと思います。


日本には現在9つのAHA ECC提携団体があり、下の図に示すような法人(学会やNPO、企業、任意団体など)が、AHAと契約を結ぶことで、国際トレーニングセンターとして認証されて、それぞれ独立した立場でAHA公認講習を開催しています。

日本のAHA講習開催団体の関係図


同じAHA講習を開催していても、このような組織建てになっているため、トレーニングセンター同士の横のつながりはなく、日本国内で一元管理されているわけではない、という点はあまり知られていません。

そのため、同じAHA講習を開催している団体(トレーニングセンター)でも、目指すところやその対象、雰囲気や考え方など、母体組織によって、特色の違いが見られます。


私たちは、現在は主に日本医療教授システム学会AHA国際トレーニングセンター(JSISH-ITC)の一員として活動しています。教授システム学ということで、教育工学(インストラクショナル・デザイン)を研究する学術団体の下にいますので、AHA講習プログラムに対しても、常に教育という視点から捉えているのが私たちの特色です。

どのように指導したら効果的か、またシミュレーション教育と実臨床の間の溝を埋めるにはどうしたらいいか、など、教え方(逆説的に、学び方といった方が適切かもしれません)という視点でAHA講習を考えています。

つまり、BLSやACLS、またはPEARSといった講習プログラムが先にあるのではなく、適切な心肺蘇生法ができる、二次救命処置でチームワークを発揮する、心停止につながる危険な兆候に気づき介入できるといったゴールに到達するための手段の一部としてAHA ECCプログラムを活用している、と言っていいかもしれません。

教育デザイン的に考えたときに、AHA講習は現場でのパフォーマンスまではカバーしていないことは明白ですから、AHA講習で基礎スキルを身につけた後、どう現場で使えるパフォーマンスに持ち上げていくかという、先を常に考えています。

このあたりが、数あるAHA講習開催団体の中でも受講者の皆様から高く評価を頂いている部分なのかもしれません。





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2015年06月29日

沖縄初のAHA-PEARSプロバイダーコース、開催報告

沖縄県下で初めての開催となるAHA-PEARSプロバイダーコースが終了しました。

沖縄県那覇市で初開催のAHA-PEARS(ペアーズ)プロバイダーコースbyBLS沖縄


那覇で精力的に活動しているAHA活動拠点BLS沖縄さんとのコラボで実現した初の企画でした。

2008年にAHAが開発して以来、英語教材しかないにも関わらず、じわじわと日本でも認知されてきた看護師向け急変対応プログラム。

沖縄では開催実績がなかっただけにどれだけ申し込みがあるか手探りではありましたが、土日で立て続けに2回開催したコースは満員御礼、キャンセル待ちが出るほどの盛況に終わりました。

PEARSで学ぶのは『救命の基本原理』

PEARSは小児急変対応コースですが、その活用範囲は小児を専門に扱う医療者だけではありません。

今回の沖縄PEARSでは、小児の認定を持つ看護師さんの参加もありましたが、救急救命士さん、歯科衛生士さん、民間の救命法指導員さんなど、救命の基本原理を学びたい!、という人たちが幅広く集まった印象です。

最近はとかくインスタント化される救命講習、普及のためにはそれは必要なことですが、きちんと理屈を理解した上で実施すべき人たちが「しっかり学べる」教育がなくなってきているのが現状です。

そんななか、丸暗記で条件反射で動ければいい、というレベルを卒業した人たちにぴったりだったのがPEARSプロバイダーコースだったんじゃないかなと思います。

シミュレーションは外せない

特にBLS沖縄ならびにBLS横浜が提供するPEARSでは、シミュレーション・トレーニングを重視しています。

最近、座学のレクチャーとディスカッションだけで終わらせるPEARSも普及してきていますが、今回の沖縄PEARSを受講してくださった方たちも、異口同音でシミュレーションがあってよかったという点では異口同音でした。

頭でわかるのと、実際にできる、はまったく別物です。

シミュレーションを省略しないフルサイズのPEARSでは、体系的アプローチを事前学習で知識として知り、次に映像を使ったディスカッションで具体的な使い方を学び、最後にシミュレーションの中で行動・言葉に出して実践して、使い方を身につけるという3段階で進めます。

PEARSはBLSとは違って、体育会系的に体を動かせればいいというのとは根本的に違いますので、理解し、実践できるようになるためには、それ相応の訓練方法が必要なのです。


ラピッド・レスポンス・チームの教育としても有用なPEARS

PEARSでは、心停止後の対応も扱いますが、どちらかというとおまけみたいなもので、PEARSが目指すメインは心停止になる手前の段階で気づいて心停止を予防することにあります。

というのは小児が心停止にまで陥ると救命の可能性がほとんどない、ということのほか、心臓突然死が多くはない小児では心停止は防げるというのが根底にあります。

これに対して成人傷病者は突然に心室細動を起こして心肺停止に陥るというイメージが流布していますが、実はそうではないという点が近年強調されてきています。

特に病院内心停止は、成人であってもそれは偶発的なものではなく、予兆があるとはよく言われています。

そこに着目すれば、PEARSの心停止予防の観点と介入はほぼそのまま成人傷病者にも使えるといえます。

例えば、Rapid Response Team/systemという言葉を聞いたことがあるでしょうか?

RRTとRRSと略されたり、迅速対応チームと日本語で呼ばれることもあります。

これは心停止の時に病院内の医療者が招集されるコードブルーやドクターブルーなどの「コードチーム」に対して、なんだか様子がおかしい、という段階で呼ばれる急変対応というか急変アセスメントチームのこと。

米国やオーストラリアで制度化されて成功を収めて、日本でも導入が検討されている段階なのですが、これらのRRTの概念は、心停止は突然ではないから、それを防ぐためのアセスメント+初期対応の教育が必要であるという文化的な転換を示しています。

このRRT教育に該当するのが、PEARSプロバイダーコースなのです。

他にもFCCSやAMLSなど、他団体に着目すれば心停止以前のアセスメントと安定化をカバーしたプログラムはいくつかはありますが、アメリカ心臓協会AHAのプログラムの中ではPEARSだけがこれに相当します。

残念なのはPediatric、つまり小児という枕詞がついてしまっている点です。

再三述べているのように、PEARSは小児に限らずすべての院内急変に対応できる考え方、安定化介入をカバーしています。

病院勤務の看護師が学ぶべき急変対応としては、BLSとPEARSだと言い切ってしまっていいと思います。

ACLSも大切ですが、ベッドサイドにいる看護師が自分の責任下でできること、効果が絶大であるという点では、ACLSよりは先にPEARSを知っている必要があるでしょう。


沖縄でのPEARS普及の今後に期待

さて、沖縄で初開催のPEARSの話に戻りますが、沖縄の方たちにとってもPEARSは斬新な内容だったようで、コース終了後、夜遅かったにも関わらず、なかなか人がはけず、受講者同士での情報交換やインストラクターへの質問や相談で盛り上がっていたのが印象的でした。

新しく学んだ概念をどうやって自分のフィールドに活かしていくのか、そんな議論が続いていました。

インストラクターになりたい!

そんな声も少なからずありました。

陸続きの内地と違って、県外に学びに行くというのが容易ではない沖縄で、自分たちでPEARSコースを開催できることの意義は他県に比べて高いのかもしれません。


BLS横浜としては、沖縄でPEARSを定期開催できるような具体的なビジョンが立つのであれば、インストラクター育成やコース運営に関して最大限にお手伝いしていきたいと思っています。

BLSインストラクターに比べると、やや難易度が高く、医学的な知識も求められるPEARSですが、仮称「PEARS沖縄トレーニングサイト」のサイト長を担ってくれるようなキーパーソンが名乗りでてくれれば、本格的な支援を考えていきたいと思っています。




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2015年06月21日

AEDの電源を入れるタイミング、勘違いしていませんか?

「いざという時にはAED!」という意識が根付いてきたのはうれしいことですが、不正確な理解が広まっているのが気になるところです。

特に、AEDを装着するタイミングは、驚くほど誤解されています。

AEDは医療機器ですから、使用条件(適応)がきっちりと定められています。

1.反応なし
2.呼吸なし

上記の条件を満たした場合、つまり心停止を疑う場合にはじめて使用する道具です。

「大丈夫ですか?」と呼びかけて反応確認をした後、「あなたAED持ってきて!」となりますが、すぐにAEDが届いたとしても、呼吸確認をするまでは、AEDは装着しない、ものなのです。

もう一度いいます。「AEDは心停止が強く疑われる人」に使用するものであって、具合の悪い人に念のため装着するものではありません。

意識・反応がない人がいたら、胸から腹にかけての動きを目で見て、「正常な息をしている」と10秒以内に確信が持てなければ、胸骨圧迫を開始しますし、AEDがすでに届いていれば、この時点でAEDの電源を入れて装着します。

呼吸をしていない!(もしくは普通じゃないヘンな呼吸をしている)

この確認を守らないと、酔っぱらいや失神発作で倒れた人が、みんな服を切られて、公衆の面前で裸にされることになってしまいます。

意識がなければAED手配と119番通報するのは正解ですが、AEDが手元に届いても、明らかに呼吸がある場合や、朦朧としていてでも意識がある場合はAEDを装着する必要はないということも知っておいてください。

また指導員は、このAED使用の原則についてきちんと知っておく必要があります。

普及促進という点ではまどろっこしく感じる部分もあるかもしれませんが、胸骨圧迫と違って除細動は紛れもない医療行為であるという認識を、指導員は忘れないようにしたいものです。



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2015年05月23日

ACLSプロバイダーコース事前学習のヒント

最近、ACLSプロバイダーコースに関する質問が多いので、一度まとめておこうと思います。

ACLSを勉強しよう、ACLSプロバイダーコースを受講しようと思ったら、まずはACLSプロバイダーマニュアルを購入しましょう。

そこから始まります。

ACLSプロバイダーマニュアル-AHAガイドライン2010準拠


必ずAHAガイドライン2010準拠という版を買ってください。古いガイドライン2005版のテキストを持ってくる方がたまにいますが、ダメです。

ガイドラインを経るごとだんだん薄くなっている本ですが、そこそこボリュームがあります。

全体をパラパラとみて興味があるところを拾い読みしてもいいかと思いますが、お勧めしないのは1ページ目から丹念に読んでいくというやり方。

時間があるならいいのですが、効率よく読むならプレテストを活用しましょう。

AHAの公式のACLS学習用専用ホームページがあります。ログインすると、日本語サイトに切り替わり、事前学習のためのプレテストがPDFでダウンロードできます。(英語サイトではe-Learningで提供されるものですが、日本語ではPDFで提供されています)

AHA公式ACLSプロバイダーコース受講者事前学習(自己勉強)支援ページ


まずはこのプレテストを解きながら、関連するページを拾い読みしていくと、まんべんなく効率よく事前学習できると思います。

なお、ACLSプロバイダーコース受講条件として、このプレテストを修了していることが求められていますので、米国ではe-Learingのスコアシートを、日本ではPDFをプリントアウトして、解答したものを受講時に持参することになっています。

URLとパスワードは、ACLSプロバイダーマニュアルの最初のページを開いたところ(p.ii)の下の囲みに書いてあります。


さて、ACLSプロバイダーコースは、その名の通り、Advancedな救命スキルを学ぶコースです。

インストラクショナル・デザイン的な教材設計としても、下記の点は習得済み/知っているものとして、コース設計がされています。

・ヘルスケアプロバイダーレベルの成人のBLS
・モニター心電図
・蘇生に使う薬剤の薬理

BLSはいいとして、心電図と薬理について、これだけは、という点を列記しておきます。

モニター心電図:
・心室細動(VF)
・無脈性心室頻拍(Pulseless VT)
・無脈性電気活動(PEA)
・心静止(Asystole)
・頻脈系(心房細動、発作性上室性頻拍)
・徐脈系(1度房室ブロック、2度房室ブロック:ウェンケバッハとモービッツII型、3度房室ブロック)

薬剤:
・アドレナリン(血管収縮薬)
・アミオダロン(抗不整脈薬)
・アトロピン
・アデノシン

心電図はパターン認識でも構わないと思います。心電図の本を1ページから読んでいくような学習は勧めません。見分けられることがまず大事。また、これらの波形がどのアルゴリズムと関連しているのかイメージしておくといいと思います。

薬剤は、どの場面で使う薬なのか、用量・用法は? という点は少なくとも押さえておきたいところです。

その他、アルゴリズム図を眺めて、どんな判断・展開を行うのかをイメージしておいてください。最後のメガコードテストと呼ばれる実技試験の評価表が153ページから載っています。

このチェックリスト(どれかひとつ)のすべての項目にチェックがつくと、実技試験合格となります。

どんな流れで、展開されて、なにが求められているのか、アルゴリズム図と照らし合わせながら把握しておくことをお勧めします。

なお、テキストに付属するアルゴリズムのカードは、メガコード試験中も見ることができますので、アルゴリズムを暗記する必要はありません。(当日はお忘れなく!)


ACLSプロバイダーコースには、脳卒中と急性冠症候群も含まれていますが、これらは実技試験としては問われません。とりあえず、後回しでもいいですが、テキストを一読はしておいてほしいと思います。米国と日本の違いという点でわかりにくい部分もあるかと思いますが、そこはコース中にご質問いただければ。

その他、把握しておいてほしい点は、

・無脈性電気活動(PEA)とはなにか? このタイプの心停止から救命するためにはどうしたらいいか?
・ROSCとはなにか? ROSC後のケアの目的は?
・同期電気ショックと除細動の違いはなにか? なぜ違うのか?
・経皮ペーシングとはなにか?
・波形表示呼気CO2モニターでわかること

といったあたりです。

こうしたことをきちんと把握しておいていただけると、短い講習時間の中で最大限の学習効果が得られると思います。


その他、副読本としてお勧めなのは、
改訂版ALS:写真と動画でわかる二次救命処置(DVD付き)

です。

写真と動画でわかる二次救命処置ALS


日本人が日本人のために書いていますので、具体的でわかりやすいです。

単に、二次救命処置を勉強したいだけだったら、AHAのテキストよりこちらのほうがお勧めです。(ただし、AHA-ACLSプロバイダーコース受講にはAHA公式テキストが必須です)



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2015年05月06日

救命講習後、職場に戻ったらすぐチェック!

保育園や幼稚園、介護職員向けの心肺蘇生法講習をした際に、講習の最後に配っているメッセージです。


救命講習受講後に職場でチェックしたいポイント


短い救命講習の中ではCPRという技術を身に付けるのが精一杯。

しかし、実際の救急事案では、CPR着手に辿り着くまでのノンテクニカルな部分が重要です。

学んだ「技術」を使える「パフォーマンス」に昇華するためのヒント。

救命を個人スキルから、施設全体のシステムの問題として考えをシフトしないと救命の連鎖はつながりません。

インストラクターの皆さんも、よければ参考にしてください。

本当は受講者全員で事例を共有してディスカッションができるといいのですが、なかなか時間が取れないのが現状。

よろしければ、このようなメッセージを最後に配ることをおすすめします。

この文面をまるごと使って頂いても構いませんし、アレンジしてもらっても構いません。ご自由にお使いください。

A4用紙に印刷できるPDFデータも公開します。

「職場のシステムとして考える救命処置」 PDF 312KB】




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2015年04月28日

PEARS受講前に知っておいてほしいこと 〜酸素の流れを考えると人の生死が見えてくる

酸素を細胞に送り続けること。

これが人が生きている根源的なしくみです。細胞に酸素が届かなくなると、人は死にます。死因はいろいろあっても、「酸素化と灌流」が原点。よく覚えておいてください。

大気に21%含まれる酸素が、体内の細胞までどういう経路で届くでしょうか? その経路が阻害される事態が生命危機であり、心停止に次いで急を要する緊急事態です。

1.呼吸障害(4種類)
酸素が細胞まで届くための入口は口と鼻。そこから喉を通って肺に届きます。

この過程で、もし喉に食べ物が詰まっていたら? 火事で熱風を吸い込んだり、アレルギー反応で喉の粘膜が腫れて空気の通り道がふさがってしまったら?

これが上気道閉塞です。呼吸障害で最も怖い事態。喉の奥から気管分岐部までの上気道は一本しかありませんから、これが詰まったらアウトです。

救急で気道 Airwayを真っ先に評価するのはこういう理由からです。酸素が体内に取り込まれるゲートが上気道なのです。これが破綻していたら、その先も機能しません。

無事に上気道を通過した酸素は、気管支を通って肺胞に届きます。しかし気管支に痰が詰まっていたり、喘息のように細く狭窄した状態だと酸素の流れが滞ります。これが下気道閉塞です。

肺胞に酸素が届いても、肺炎などで肺胞が炎症を起こしていて酸素を血液に溶け込ませる機能が障害されている場合、酸素の流れが滞ります。これが肺組織病変。

このように酸素が血液に溶け込むまでの過程に問題がある場合を、呼吸障害と呼んでいます。

上気道、下気道、肺組織病変。酸素の流れを考えると、簡単ですね。

呼吸障害にはもう一つ、呼吸調整機能障害というタイプがあります。これは呼吸筋を支配してる中枢神経の障害です。頭部外傷や薬物過量などで、呼吸抑制が起きたり、呼吸のリズムが狂った場合がこれに含まれます。


2.循環障害(2種類)
肺胞から血液に溶け込んだ酸素は、血流に乗って細胞へ運ばれて行きます。

この過程に問題があるのが循環障害で、ショックと呼ばれます。

出血や脱水などで、血液の量が少なくなっていたら必要な酸素運搬が十分に行えません。これが循環血液量減少性ショックです。人の死因としては最も多い、見逃してはいけない生命危機状況です。

血液の絶対量は問題なくても、血管が病的に拡張することで血圧が下がり、さらに血管の網目が広がって水成分が組織の隙間に漏れでてしまうことで、酸素運搬能力が下がる場合もあります。これが血液分布異常性ショックです。

血管が拡張してしまう原因は、病原菌が出す毒素による炎症反応(敗血症)や、アレルギー反応による全身性の炎症反応(アナフィラキシー)がよく知られています。


このように人が命を落とす原因を酸素の流れがどこで阻害されるか、で考えるとわかりやすいです。

原因がわかれば、その対応策見えてきます。

そこをパターン化して、認識できるようにして、対応策を考えるのがPEARSプロバイダーコースです。




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2015年03月27日

蘇生ガイドライン2015、AHAコース教材リリース時期が発表されました

今年は蘇生ガイドライン改訂の年です。

BLSやACLSなどのAHA ECCコースの内容も一新されますが、教材リリースのスケジュールが先ほど発表になりました。

例年だと、2016年6月にヘルスケアプロバイダーコース英語版が出るのが常でしたが、今回は1月か2月とのこと。全般的に前倒しの感じなんですね。


もっとも、AHAのこうしたスケジュールはしばしば大幅に遅れますし、中には変更されてリリースされないものもあったりするので、全面的には信用できませんが、意気込みは感じられます。

ただし、これは英語版教材のリリース予定。日本語版は概ね1年遅れくらいですが、PEARSや、ハートセイバー小児ファーストエイドなどのように、そもそも日本語化されるのかどうかはっきりしないものもありますので、注意が必要です。




Preliminary Release Dates for 2015-16 AHA Guidelines Tools & Products:

2015
October 15, 2015

ILCOR Consensus on Science
2015 AHA Guidelines for CPR and ECC
AHA/Red Cross Guidelines for First Aid

November/December
2015 Guidelines Highlights (PDF and eBook)
2015 Guidelines Highlights Translations (17 languages)
Handbook for ECC for Healthcare Providers (PDF and eBook)
Science In-Service
Instructor Update Conference at ReSS/SS (November 6, 2015)

2016
January/February

Basic Life Support (BLS) Blended Learning
BLS Resuscitation Quality Improvement (RQIトレードマーク(TM)) (Module 2) March/April
BLS Classroom
Heartsaverレジスタードマーク First Aid CPR AED Blended Learning
Heartsaverレジスタードマーク First Aid CPR AED Classroom
Heartsaverレジスタードマーク Pediatric First Aid CPR AED Blended Learning
Heartsaverレジスタードマーク Automated Training Solution (ATS)
Advanced Cardiovascular Life Support (ACLS) Classroom
HeartCodeレジスタードマーク ACLS
CPR Anytimeレジスタードマーク Adult/Child
Infant CPR Anytimeレジスタードマーク
CPR in Schools Training Kitトレードマーク(TM)

May/June
Resuscitation Quality Improvement (RQIトレードマーク(TM))
Heartsaverレジスタードマーク Pediatric First Aid CPR AED
Heartsaverレジスタードマーク Bloodborne Pathogens
Family & Friendsレジスタードマーク CPR

July/August
Pediatric Advanced Life Support (PALS) Classroom
HeartCodeレジスタードマーク PALS
Pediatric Emergency Assessment, Recognition and Stabilization (PEARSレジスタードマーク)






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2015年03月22日

同じ「徐脈」でもACLSとPEARSでは大違い

PEARSプロバイダーコースばかりやっていて、たまにACLSコースをやってみると、いろいろと違和感を感じるものですね。

ACLSでは、徐脈と頻脈のケースで非心停止を扱いますが、PEARSにおける頻脈や徐脈とは基本的に別物です。

ACLSプロバイダーマニュアル107ページに明記されていますが、ここでいう徐脈は「徐脈性不整脈」ということで、あくまでも「不整脈」のみを扱うのがACLSの特徴です。

基本は房室ブロックによる徐脈を前提にしていますから、介入としてはアトロピン投与や経皮ペーシングです。

それに対して、PEARSで出てくる徐脈は、低酸素による生理的なもの、つまり洞性徐脈ですから、徐脈に対する介入は酸素投与と人工呼吸になります。

同じ徐脈でも、意味をよく考えないと受講者は混乱するかもしれないなと思いました。

ACLSでも、呼吸停止ケースやPEAの部分では「洞性徐脈」についてもわずかに触れられているのですが、あまり印象に残る部分ではないでしょうね。

大人と子どもの違いといえば、それまでなんですが、ACLSプロバイダーマニュアルの26ページや30ページあたりに書かれているような迅速対応チーム(Rapid Response Team)に必要なスキルという点で考えると、ACLSはミスリードをするような印象も否めません。

AHAのACLSは、その名の通り、cardiac(心臓)のライフサポートです。

汎用性のあるアドバンスド・ライフサポートではないという点に注意する必要があります。

つまり、急変対応研修として考えた場合は、癖があるというか、やや偏った内容なのがAHA-ACLSといえます。


ACLSが不要と言っているのではありません。ACLSではカバーできない部分が大きいという認識が重要なのではないかー。

患者安全研修について考えたとき、私たちは急変対応を根本から考え直す必要があるのではないかと思います。



ちなみに、洞性徐脈も不整脈による徐脈もどちらもしっかりカバーしている唯一のプログラムがPALS。小児に特化したコースと思われがちですか、ゼネラルな急変を考えた時にそこから学べるものは、なにものにも代えがたいと思っています。




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2015年02月14日

PEARSプロバイダーコースのシミュレーション

PEARSのシミュレーションの良いところは、ACLSやPALSと違って、「ゴール設定がされていない」ところにあります。

ACLSやPALSプロバイダーコースでは、看護師やコメディカルであっても 医師としてのリーダー役割 が求められます。実技試験に合格するためには、医師の視点で考え、診断し、治療の指示を出すことが求められています。

医師以外の受講者にとっては、実臨床ではありえない無理や状況を強いられると言えます。

これがプレッシャーとなり、やもすると実技試験に合格することが第一義にすり替わり、なんでACLSやPALSを学ぼうと思ったのか、というもともとの本筋を見失いがちです。この学習が看護師や技師といった自分の臨床にどう役立つのかという肝心な部分が見えづらくなってしまうのです。

もともとは日本では医師以外が、ACLSやPALSコースを受講するのは、不自然なことです。(その職務内容からして)

看護師やコメディカルが、二次救命処置領域のことを学ぶ必要性や妥当性がないわけではありません。しかし、日本の事情に合わせた医師以外の二次救命処置プログラムがないから、仕方ない。そんな土壌の中で、看護師や救急救命士がAHAのACLS/PALSを受講することが一般化してきてしまった経緯があります。


そんな不自然さが当たり前になってきたところに登場したのがPEARSでした。

看護師やコメディカルにとって「不自然さと無理がない」というのがPEARSコースでのシミュレーションの最大の特徴だと考えます。


AHA-PEARSプロバイダーコースのシミュレーションat BLSくまもと
PEARSのシミュレーション風景 at BLSくまもと



ACLSやPALSと違って、PEARSには実技試験(メガコード)のゴール設定を示すチェックリストはありません。そもそも実技パフォーマンスは求められていないのです。

そして、リーダー役は受講者ではなく、インストラクターが行うことになっているのも大きな特徴です。ですから、インストラクターが演じる医師(リーダー)役その設定次第でいくらでも難易度を調整できます。

リーダー(医師)が急変現場に臨席して、的確な指示を出すというのがデフォルトかもしれませんが、電話連絡だったらどうするか? 不慣れな新人研修医だったら? 間違った指示がでたら? 包括指示で動くように、という指示だったら? など、受講者の職場環境や立場に合わせて、アレンジすることが可能です。

このあたりはAHA講習には珍しい寛容さといえます。

インストラクターマニュアルできっちりと規定されていないゆえに、マニュアル至上主義で育ってきたインストラクターには逆に難しいと感じる部分かもしれません。

しかし、これを私達はPEARSコースの画期的な部分と捉えています。

基礎となる「お作法」を身につけさせるのが、AHA講習のゴール設定ですが、それ以上の部分を公式講習の中で扱えるからです。

PEARSは筆記試験としては、判定と医学的な介入が求められていますが、実技のパフォーマンスでは規定されていません。ですから、例えば保育園ナースやツアーナースなど、酸素も点滴もない環境で働く人には、通報・報告というアクションを介入の主たるゴールに据えてシミュレーションを行っています。

実際、PEARS Provider Manual(英語版)の20ページに書かれているように、介入(Intervene)の第一義は、

Getting help by activating a medical emergency or rapid response team.

であり、つまり応援要請です。

そして、本文中でも、The best action may be to get help.と書かれており、ファーストエイドと同じで、いかに的確に救命の連鎖をスタートさせるかというところが最大の救命行動です。

ここに着目すると、輸液や酸素投与以前に、119番通報や、主治医・嘱託医などに報告する方法を訓練するという内容もPEARSには含まれてくることになります。

近年、医療機関でもSBARという報告ツールの必要性が話題になりますが、これもまさにPEARSと親和性の高い内容といえます。




このような受講者に合わせたアレンジをすること、どんな人にとっても、現場で使える技術を学べる講習となるのがPEARSの面白いところです。

ACLSなどは、職種によっては決定的に、使えません。

しかし、PEARSは運営の仕方次第で、どんな立場の人にもそのベネフィットがある、そう考えています。


私たち(BLS横浜ならびにBLSくまもと)が、PEARSのシミュレーションにこだわっているのはこうした理由からです。

受講者それぞれがPEARSのスキルを活かせるような支援がしたい。

ですから、受講人数を4名ないしは6名と少人数にしぼって、省略しても構わないことになっているシミュレーションを取り入れているわけです。




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2015年02月04日

ファーストエイド講習で学ぶこと|【知識ではなく考え方】

先日開催した、ハートセイバー・ファーストエイドコースにご参加頂いた方から感想のメールを頂きました。ご本人様の了承を頂き、一部をご紹介させていただきます。

今までは、講習の中でもおっしゃっていたように、傷病名ありきの対応で学んでいたので、実際現場では応用がきかないなと感じていました。今回の講習で、シュミレーションから知識と行動がともなわずこんなにも何もできなくなるのかと自分の状況を実感することができましたし、また、何を優先にして考え対応していけばいいのかを、繰り返し伝えてくださったので、そのことが感覚としてわかったのがものすごくよかったです。


ファーストエイド(応急処置)講習は、とかく病名やケガの羅列になってしまい、雑多な知識の押し付けで終わってしまいがちです。

そんな情報の海の中に一本筋を通すのが大切かなと思ってコース進行しています。

枝葉に目を向けると難しい印象のファーストエイドですが、幹に着目すれば、意外とシンプル。どんなケガや病気であれ、それが原因で命を落とすとしたら、原因はなにか? 人が生きる仕組みの破綻という視点や、酸素の流れで考えていくとわかりやすいです。

ファーストエイドは病名当てクイズではありません。幅広い知識がなくても、エッセンスさえ抑えておけばどんな場面でも、考え、行動できるようになります。

そこに気づき、納得し、考える姿勢を学べるのがシミュレーションという経験型の学習です。

ファーストエイド講習では、知識ではなくそんな「考え方」を、なるほどと思って体感してもらうことが最大の目的かなと思っています。





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2015年01月27日

窒息の救急対応、ホントにできますか? シミュレーション訓練の意義

窒息解除法といえば、救命講習の中でも定番で、度重なるガイドライン改訂でもほとんど変わらない古典的な技術です。

一般の救命講習でも、ほぼ必ず扱っている内容なので、なにをいまさらと、感じる方もいるかもしれません。(特に指導員は)

しかし、訓練方法を変えて、シミュレーションベースでやってみると、様相は一変します。


誰もできないのです。


日頃救命法の指導員をしているような人でも、セオリー通りに動ける人は、ほとんどいません。


こうした現状を見ると、しばしばニュース報道でも見るような、現実の気道異物窒息事故で適切に行動できなかったのは仕方ないことなのかなという気にもなります。



ということで、BLS講習や救命講習を手がけている方は、ぜひ窒息解除法のシミュレーションを講習の中に含めることをお勧めしたいです。

特別な道具は必要ありませんし、時間もほとんどかかりませんから。



私達がやっている窒息解除のシミュレーションのポイントは、

1.テーブルの前に椅子に座った状態
2.苦しがる演技(できれば派手目に)

です。

演技の迫真さ(?)が大切ですので、傷病者役はデモンストレーション的にインストラクターがやっています。


受講者の中で誰か一人救助者役をやってもらいます。

腹部突き上げや背部叩打は"振り"だけで、力を入れないようにお願いしておきます。しかし、それ以外のことは本気でやってほしいことも。

その他の受講者はその場に居合わせた通りすがりの人ということにしておいて、なにか頼まれたら、嫌でなければ協力してもらうことにします。(拒否するというハプニングのシミュレーション的にはアリです)

そんなブリーフィングをしてから、職場の食堂などで食事中に喉にものを詰まらせたという設定で、インストラクターが気道完全閉塞の演技をはじめます。

そこで救助者は教わったとおり、腹部突き上げ法(ハイムリック法)や背部叩打法をしようとしますが、問題となるのは傷病者の姿勢です。

椅子に座った状態でどうやって、腹部突き上げ法や背部叩打法を実施するか?

そこでとまどう方が多いです。

教わったはずの立位の姿勢でないために、どうしたらいいかわからなくなってしまうのです。


助け舟を出す場合は、窒息介助の手順を思い出してもらいます。

いきなり背中を叩いたり、お腹を押したりはしないですよね?

まずは状況評価と救助の宣言。

「詰まったんですか? 今から助けますね」という事になってましたよね?

この時に、座ったままで背部叩打や腹部突き上げ法がしにくいようであれば、立ちあがってほしいという旨を伝えればいいわけですね。

もしくは自分が膝をついて傷病者の腹部圧迫を行うというのも手です。

肘掛けがある椅子の場合や、老人ホームの設定で車いすの場合は、自分で立ってもらうのも困難で、座位での腹部突き上げも難しければ、座ったまま出来る方法として、背部叩打法ということになるでしょう。


つまり、チョーキングチャーリー(窒息介助練習専用マネキン)相手に腹部突き上げや背部叩打の技術(テクニカル・スキル)を練習しても、問題となるのはその手前のノン・テクニカルな部分が重要な鍵だということです。




シミュレーションの中では、背部叩打や腹部突き上げ法だけでは終わらせません。ファーストエイドの基本は常に最悪の状態を想定すること。つまり、そのまま意識を失う演技を続けます。

意識を失うタイミングは、現実の時間で言うと1分〜2分の間くらいです。

窒息解除法は意識(反応)がある場合とない場合でやり方が違ってきます。そこをきちんと認識して対応できるか、というのも、このシミュレーションのポイントです。

市民向け講習の中には、意識消失した場合の対応をきちんと教えていない講習もあるようですが、反応がなくなった場合は、床に寝かせて胸骨圧迫からCPRを開始するのが国際コンセンサス。

それがわかっていても問題となるのは、どうやって椅子から床に下ろすのかという点です。

ここで固まっていたり、試行錯誤しているうちに平気で数分が経過してしまいます。

人が息を止められるのは何秒か? そんなことを考えるとこの時間の遅れの重大さがよくわかると思います。

シミュレーションで学んでほしいのは、窒息介助は時間との戦いであるという点です。

この点と合わせて通報をどのタイミングで誰が行うかというのも問題です。

このあたりを受講者全員でディスカッションして、考えられるといいですね、


やっていることはあくまでもシミュレーションであって、リアルな現場ではありません。

シミュレーションゆえにどこまで本気になっていいかわからないからこそ、うまく行かなかったという部分もあるとは思います。

しかし心肺蘇生法の国際コンセンサスCoSTR2010のEIT(教育、実行性、チーム)の章でも明記されているように、いざCPRができなかった最大の要因は「パニックになった」という点です。

あたまが真っ白になる。それはリアルな現実でも起きることです。

知っているはずの技術がいざというときに使えないという現実をシミュレーションで知ることで、本当に動けるためには何が必要なのかが見えてくるはずです。

窒息解除もCPRとおなじで、決して難しい技術ではありません。

しかし、それはお作法をこなすだけの講習では使えるレベルでは身につかないという現実を直視すべきです。

ほんのすこしだけ踏み込んで、5分程度でできるシミュレーションを取り入れることで、受講者意識は劇的に変わるはずです。

せっかくの学びの時間をムダにしないために、、、、

ぜひ、指導法を検討してみてください。




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2015年01月25日

脈拍触知からわかること 〜血圧とショックの関係性

血圧に関係する血管壁の弾力は、拡張期血圧に特に影響を与えます。

循環血液量減少性ショック等の場合は、血圧を維持するために末梢血管が締まります。その結果、拡張期血圧が上がるため、収縮期血圧との差が小さくなるため、脈拍の触れは弱く感じられます。

それに対して、血液分布異常性ショックは、血管が拡張する病態ですから、拡張期血圧が下がります。そのため収縮期血圧が低い状態であったとしても脈圧が大きくなるため、脈拍触知では、しっかりはっきりと強く振れるように感じる場合があります。

これを反跳脈と言っています。

ショックというと、脈拍が弱く感じられるとは限らない、ということです。





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