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2015年10月18日

AHAガイドライン2015、BLS-HCP成人心停止アルゴリズム解説

AHAガイドライン2015のBLS-HCPアルゴリズム


AHAガイドライン2015の成人BLSアルゴリズムについて解説します。

アルゴリズム図をみていただくとわかるとおり、表面上目立った大きな変更はありません。 (この図はcirculation誌の図表を元にBLS横浜が独自に作成したものです。AHAのG2015ハイライトの暫定日本語訳のものとは表現が異なっています。ご注意ください)

AHAは今回のガイドライン改訂を、新ガイドラインを発表したというよりは、updateという表現をしています。前回のG2010で概ねガイドラインは完成したものとして考え、そこに修正や追加を加えたような感じで捉えたらいいでしょうか。抜本的な見直しではない、ということです。

さて、それでは成人の心停止BLSアルゴリズムを順番に見ていきましょう。


1.安全確認


まずは周囲の安全確認という基本事項があえて明記されるようになりました。これまでヘルスケアプロバイダー向け勧告では不思議と周囲の安全確認ということがアルゴリズムにもコースにもほとんど含まれていませんでした。

一方、ハートセイバーCPR AEDコースでは実技試験のチェック項目にも入っているくらいの大事なポイントだったのですが、あまりに当たり前すぎて省略されていたのかもしれません。今回は、救命の連鎖が病院外と病院内という分け方をされたこととも関係しているものと思われますが、とにかく「周囲の安全ヨシ!」が医療者向けプログラムでも再確認されました。

2.反応確認


2番目のボックスは「大丈夫ですか?」という反応確認です。G2010版では反応確認と併せて呼吸確認をほぼ同時に行うということになっていましたが、今回、扱いが変わりました。

傷病者に反応がないことを確認したら、その時点で「誰か来てください!」と叫ぶことになりました。G2005に戻った感じですね。人が来れば、その人に119番とAEDを頼めばいいですが、誰も来なければ携帯電話等で通報をし、誰かにAED手配を頼むか、自分で取りに行くことになっています。

ガイドライン本文を読むと市民救助者は上記の通りですが、ヘルスケアプロバイダーに関しては少し違うようで、

Healthcare providers should call for nearby help upon finding the victim unresponsive, but it would be practical for a healthcare provider to continue to assess for breathing and pulse simultaneously before fully activating the emergency response system.

と書かれています。「誰か来てください!」と叫ぶまでは市民と同じでいいとして、その後、通報を完了するまでに呼吸と脈拍を評価することが実践的であろう、という扱いになっています。

つまり、結局のところヘルスケアプロバイダーが「誰か!」と叫ぶ以上の通報努力をどのタイミングでするのかが明確ではありません。新しいBLSヘルスケアプロバイダーコースのうえで、どう規定されるのか、またスキルチェックシートでなにが求められるのかが気になるところです。

いずれにしても通報に関しては、これまでは、固定電話が前提で考えられていましたので、その場を離れて電話機まで走ることが想定されていましたが、今回から、携帯電話や無線機、SNSなど、現場にいる状態で、その場から携帯端末で通報を行うスタイルが明確に打ち出されています。

さらにいうと、スマートフォンなどで標準的に使えるスピーカー通話(ハンズフリー通話)のことも念頭に置かれています。つまり、反応がないと判断した時点で、周囲に誰もいなければ、スピーカー通話で119をプッシュし、呼吸確認と脈拍確認を行いつつ、指令員に通報、さらには消防指令と話をしながらもCPRを続けるということが想定されています。

3.呼吸と脈拍を同時に確認する


3つ目のボックスは呼吸と脈拍の評価です。前回のG2010では、反応と呼吸をほぼ同時に見ろと言っていましたが、今回は、1:反応確認、2:呼吸と脈(同時)となり、少し整理された感じです。

前回ガイドラインの反応と呼吸を同時に見ることは現実的に不可能でした。AHAも「ほぼ同時に」という表現を使っており、それでいて、呼吸確認に要する時間を明確に規定していなかったため、やり方には諸説あり、不明確なまま5年が過ぎました。

その点、今回の「呼吸と脈拍」の同時確認はすっきりしています。JRCガイドラインと違って、AHAでは、呼吸確認に頭部後屈あご先挙上法での気道確保を求めていませんから、呼吸確認は胸から腹にかけての動きを「見る」だけでOK。その間に自分の指を傷病者の頸動脈に当てておけば、10秒以内で呼吸と脈拍を同時に無理なく見ることができます。


もし、ボックス2の時点で、携帯端末を持っていないなどの理由で、通報を後回しにした場合でも、CPR開始の手前の時点では、その場を離れて公衆電話に走るなど、救急対応システムの発動(ならびにAED手配)を行う必要があります。

4.CPR開始


3つ目のボックスまでで、「反応なし、呼吸なしor死戦期呼吸、脈なし」であれば、胸骨圧迫から30:2でCPRを開始するというのはこれまでと変わりません。

ただし、質の高いCPRの指標が若干変更されました。

アルゴリズム図には記載されていませんが、変更は下記のとおりです。

 胸骨圧迫
  ・強く・・・少なくとも5cm。ただし6cmを越えないこと
  ・速く・・・100〜120回/分
 
リコイルや圧迫中断を最小限に、人工呼吸に関しては過換気を避けるというのは変わりありません。

この点は、2013年のサイエンスアップデートですでに示されていた点でなにも目新しい話ではありません。G2010でヨーロッパのガイドラインでは、すでに6センチや120回という上限を示していましたが、これが踏襲された形です。

また圧迫の手の位置「胸骨の下半分」という部分も変更ありません。

5.AED


AEDのアルゴリズムについては、なにも変更はありません。



非心停止対応について


3つ目のボックスから左右に別れるところが、今回のガイドライン改訂の要所かなと思います。つまり、反応がないものの、呼吸と脈があった場合(左)、反応と呼吸がなく、脈があった場合(右)です。

これらは、心停止ではありません。

BLSでは心停止ありきで心臓が停まっていることしか考えていないものなのですが、その中でも今回は、心臓が止まっていないケースを2パターンにわたってきちんと考慮している点が、非常に現実的になったように感じています。

特に左の流れ、これが、PEARSファーストエイドの入り口となります。今回のガイドライン改訂で病院内心停止を病院外心停止とは区別する概念が明確化されましたが、院内心停止の多くは心室細動による心臓突然死ではないということが言われています。

予兆のある防ぎ得た死が病院内心停止の特徴。ですから心臓が止まる前に介入しなければならないのです。そういった概念がきちんとBLSにも反映されてきたのは今回のガイドライン改訂の包括的な意味なのかなと思います。

●反応なし+呼吸あり+脈あり


簡単に言えば意識障害の状態です。これまでのヘルスケアプロバイダー向けアルゴリズムには含まれていなかった部分になります。

人の生命を司る、呼吸、循環、神経系のうち、とりあえず呼吸と循環には問題がない。ですから、とりあえずBLSは必要ではない。つまり、1分1秒を争うような緊急事態ではないということです。ですから、救急隊や医師などの専門家に委ねるまでは経過観察を行えばよいということになります。

この場合、原因検索とか全身評価とか難しい話になりがちですが、原点はもっとシンプルです。

BLSプロバイダーとしては、CPRという最後の砦ともいうべき武器を持っています。いまその武器を行使しないのはなぜかというと、意識障害はあるものの、自発呼吸があり、心臓も循環を保てているからです。

そう考えると自ずと何を観察すればいいのかは見えてきます。つまり、呼吸の観察を続けていること、が最優先です。息をしている限り、心臓も動いているからです。もちろん、脈拍をチェックし続けても構いませんが、ABCという人が生きるしくみを考えたら、なにはさておき呼吸確認が大切です。

●反応なし+呼吸なし+脈あり


いわゆる呼吸停止ケースです。対応としては、補助呼吸 Rescue Breathing ということで、ガイドライン2005時代から変わっていません。心臓が動いているから胸骨圧迫は不要。しかし自発呼吸がないから呼吸のみを補助すればいい。具体的には5−6秒に1回の人工呼吸を行います。

呼吸停止ケースで発見できた場合は、いわゆる呼吸原性心停止を早期に発見できたものと考えて下さい。徐脈になっているケースが多いかと思います。

人工呼吸で心筋細胞に酸素が供給されれば、心拍数は戻り、血圧上昇を伴えばやがては自発呼吸の再開し、意識を取り戻す可能性もあります。

しかし、酸素化がうまく行われないと、心拍数は下がっていく可能性もあります。ですから2分毎に脈拍をチェックし、もし10秒以内に確実に脈が触れると確信できる状況でなくなっていたら、循環補助つまり胸骨圧迫も行い、30:2のサイクルで続けます。そしてAEDがあれば装着し、解析結果に委ねます。

ここまでは普通に呼吸停止対応でなにも変わったところはありません。

しかし、G2015で出てきたのがボックスの最後に書かれているナロキソン投与という話です。

これは昨日のブログですでに解説していますので、割愛しますが、米国では呼吸停止ケースというと麻薬(オピオイド)中毒が多いということのようですね。そのため、オピオイド中毒が疑われるケースでは、準備できれば拮抗薬であるナロキソンを自動注射器で注射するということがBLSプロバイダーや市民救助者の処置の中に含まれるようになりました。




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2015年10月17日

BLS2015 オピオイド呼吸停止とナロキソン注射

AHAガイドライン2015アップデートにより、BLSの範疇にナロキソン注射というのが新たに登場しました。結論から言えば、日本では無視していいものですので、一般の方は気にしなくていいです。

ただし、AHA版のBLSアルゴリズムの中では言及されているものなので、AHA-BLS教育に携わる人は知っておいたほうがいいでしょう。

これはオピオイド過量摂取、つまり麻薬中毒に関連した話になります。

麻薬を過剰摂取すると、呼吸抑制が起こります。簡単にいうと呼吸が止まります。

この初期状態で傷病者として発見された場合、「意識なし、呼吸なし、脈あり」という状態で認識されます。

BLSアルゴリズムに従えば、この場合は5−6秒に1回の補助呼吸(人工呼吸)をして、2分毎に脈拍チェックをして、救急隊を待つということはG2010のときと変わりありません。

しかし、傷病者が麻薬の常習者だったり、薬物摂取をうかがわせるような状況だった場合、緊急通報とAED手配の他、オピオイドの拮抗薬であるナロキソン自己注射器があれば持ってくるように周りに依頼することが追加されました。そしてAEDの場合と同様、可能になり次第、ナロキソン0.4mgを筋肉注射するということが、BLSアルゴリズムの延長として提示されています。

注射というからには二次救命処置の範疇と考えられますが、AHAガイドラインでは、これはヘルスケアプロバイダーだけではなく、市民救助者にも求めるBLSの範疇というのですから驚きです。

米国では2014年に市民救助者向けのナロキソン自己注射器が米国食品医薬品局(Food and Drug Administration : FDA)により承認されているそうです。

それだけ米国では薬物中毒が日常的だということなんでしょうね。

感染管理で有名なCDC(Centers for Disease Control)でも「市民救助者向けナロキソンプログラムが成功していることを強調している」とのこと。


米国に習い、日本のファーストエイド領域でもエピペンが入ってきました。そこに加えてナロキソン自己注射器も、ということになるのか、というとそういうことはなさそうです。

オピオイド中毒に関しては、ガイドラインの原本ともいうべき国際コンセンサスCoSTR 2015では、ナロキソン投与の効果を認めつつも、少なくともBLS範疇に組み入れることは推奨していません。

当然、日本のガイドラインも同じスタンスです。

このナロキソンの市民による注射は、米国が自国事情に合わせて独自に組み入れたものですので、その米国基準の講習プログラムを日本で展開する際には注意が必要な部分となります。

これまで医療者向けBLS部分では日米で大きな差異はありませんでしたが、今回、各国の独自性が色濃く出てきた印象です。




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2015年10月16日

ガイドライン改訂、ファーストインプレッション

10月15日にAHA版とERC版ガイドライン2015、16日にはJRC版ガイドライン2015が発表になりました。

現在、日本語情報としては、AHA版ガイドラインとJRC版ガイドラインが流れていますが、市民向け救命講習に関わる人は、まずはJRC版ガイドラインをまず読むべきだと思います。

そして医療従事者向け救命処置講習(BLSやACLS)に携わる人は、バックグラウンドにもよりますが、AHAガイドラインを先にチェックしたほうがいいかもしれません。

その他、市民向け救命講習指導員の中でも、とりわけ小児の蘇生に関わる方は、AHAガイドラインにも目を通しておくと良いかと思います。

というのは、やはり今回のガイドライン改訂でも日本版では小児の特異性には目をつむる形で編集されており、これまで以上に成人と小児の差がないような形になっているからです。

それに対して、米国のAHAガイドラインの中では、小児の蘇生アルゴリズムが一人法と二人法に別れるなど、さらに子どもの心停止の特性が強調されています。

人工呼吸の必要性に関しても、

"Strongly reaffirming that compressions and ventilation are needed for pediatric BLS"

と、AHAガイドライン2015アップデート公式ホームページのPBLS解説ページのキーポイントでも示されているくらいです。

このあたりはまたいつかきちんと解説記事を書こうと思っています。



さて、成人に関してですが、AHAガイドライン2015のヘルスケアプロバイダー向けBLS手順で変わった点といえば、表面的な部分では、通報のタイミングが反応確認の後になりました。これはG2005時代に戻ったとも言えますが、その背景には携帯電話の普及が関係しているようです。

そして呼吸確認と脈拍確認を同時に行うことに。これはJRCガイドラインとおなじになったようにも見えますが、JRCガイドラインと違う部分は、頭部後屈顎先挙上で気道確保をした上で呼吸と脈拍を確認するのではないという点です。

つまり、呼吸は目で見て確認すればよく、指は頸動脈へ。側方アプローチで誰にでも無理なく行えます。

成人のBLSについても後日、きちんと解説記事を書く予定です。





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2015年10月15日

AHAガイドライン2015が発表されました!

本日、10月15日 日本時間14時に、AHAガイドライン2015が発表されました。

発表された蘇生ガイドラインそのものは英語ですが、ダイジェスト版は早くも日本語化されており、AHAの公式Webから無料でダウンロードできます。ただ、サイト自体が英語なので、日本人にはリンクが探しにくいかと思いますので、直リンクを貼っておきます。


こちらをご覧いただくと、BLS、ACLS、PALS、蘇生後ケア、ファーストエイドと、AHAガイドライン2015全般の変更点と概要を俯瞰いただけると思います。


AHAのガイドライン改訂に関する公式ホームページは下記のとおりです。

https://eccguidelines.heart.org/index.php/circulation/cpr-ecc-guidelines-2/

こちらで、AHAガイドライン改訂に関する解説(英語)がご覧いただけます。


AHAガイドライン本文はAmerican Heart Association学会誌であるCirculation誌に掲載されますが、Web上で無料配信されています。

下記ページから、章ごとにPDFでダウンロードできます。

http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2.toc

これらはいずれも英語で、来年初めまでには日本語の書籍としても出版されますが、無料配信されるのは英語のみかと思います。








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2015年09月11日

パドルよりパッドショックが推奨される理由

G2010では、除細動の電気ショックの直前の充電時間中も胸骨圧迫を継続することが推奨されています。これにより、優位に除細動の効果が高まることが明らかになったからです。

ところが、手動式除細動器のパドルを胸郭に押し当てて充電している間、胸骨圧迫を続けることは非現実的です。

しかしパッドにすればそれは可能です。
パッドというのはAEDと同じ、アレです。

充電やショック(放電)のボタン操作は除細動器本体で行いますから、胸骨圧迫の振動で誤ってボタンを押してしまうというようなリスクもありません。

つまり、胸骨圧迫の中断を最小限にしてすぐにショックをできるという点で、「迅速な除細動」が可能ということがパッドショックの最大のメリットです。


さらにいうと、技術のムラがなく誰でも安定した除細動を行えるというのもパッドショックの利点といえます。パドルを使う場合、約10キロほどの力で強く均一に胸骨に押し付ける必要がありますが、これがなかなか難しい。技術によってうまい下手がでてきます。

その点、パッドはしっかりと貼り付ければいいだけですから、質が均一です。


ただ、パッドは消耗品で1枚1万円弱。コストが問題であまり積極的には使われていません。また迅速な除細動ができると言っても、慣れた人にとっては、パドルの方がサッと使えますので、初回のショックに関してはパッドより早いかも。

ただ、いちおうAHA公式にはパッドショックが推奨されているということは、ACLSプロバイダーコースを受講する方は知っておいてください。



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2015年09月10日

AEDトレーニングに適した練習機とは…

AED講習でAEDの「使い方を覚えさせる」ような教え方をしてはいけません。

AED操作で教えるべき唯一の動作は電源スイッチを入れること、ただそれだけです。

現在日本で認可されているAEDのほとんどは、蓋を開ければ自動でスイッチが入るタイプですから、もはや「技術」としてAEDを教える内容はなくなったといってもいいかもしれません。

AEDは機械の設計として、「音声指示に従って操作する」ことを前提として作られた機械です。つまり、訓練を受けていない人が使う道具である、という基本を思い出しましょう。

AED講習で教えるべきなのは、パッドの貼り方などではなく、「音声指示に従う」という「態度」なのですが、このことはあまり理解されていません。

施設職員向け研修などでは、施設に配備されたAEDの操作を「覚える」ような講習展開もありと思いますが、不特定多数向けの一般講習で、あるメーカーの特定機種の使い方を覚えさせても、受講者が遭遇するのが同じ機種とは限りません。

以前は「AEDは機種が違っても操作は大きくは変わりません」という点を強調していましたが、いろんなメーカーの様々な機種が認可されてきた今、直感的に使えるAEDだけではなくなってきていますので、分かった気になってAEDの指示を聞かずに操作することは危険です。

そこで大事なのは、音声指示を先回りしてでも早期除細動を目指すような指導ではなく、機種固有の音声メッセージをよく聞いて従う、という態度を醸成することです。原則論に立ち返るべき、とでもいいましょうか。


そう考えた時に、一般向けのAED訓練に使うAEDトレーナーの機種選定では、実機が存在するかどうかという点は重要な問題ではありません。

むしろ実機の存在しない練習用オンリーの機種の方がトレーニングには適しているといえるかもしれません。



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2015年09月03日

ハートセイバー・ファーストエイドCPR AEDフルコース告知

AHA(アメリカ心臓協会)認定 ハートセイバーファーストエイド/CPR/AEDコース開催のお知らせ

本講習は米国労働安全衛生局 (Occupational Safety and Health Administration
=OSHA)の定める米国連邦法による法定講習内容を含み、修了者には国際規格のAHA資格証が発行され、海外で活動する方、外資系企業に勤務する方等に推奨されます。 日本国内では、厚生労働省が定める「業 務の内容や活動領域の性格から一定頻度心停止者に対し応急の対応を行うことがあらかじめ想定される者(一定頻度者)」向けのAED講習に該当し、介護・福祉職、旅行添乗員、サービス業、ホテル・宿泊施設従業員、スポーツトレーナー、警察官、警備員等が対象のコースとなります。

1.日時
2015年9月13日(日) 08:30〜18:30

2.開催場所
東京都内 中央区日本橋

3.講師
山寺 圭(AHA/MTN BLS HCP トレーニングセンターファカルティ)

4.講義内容
ファーストエイド編

第1部 応急手当(ファーストエイド)の基礎

救護者のするべきこと
手の洗浄/血液・体液感染防護措置/感染防護手袋の脱着
成人・小児の救命の連鎖/緊急通報要領/傷病者の問題の発見

第2部: 急病への対応

吸入障害/異物による窒息
重篤なアレルギー症状/エピネフリン(アドレナリン)注射器の使用手順
心臓発作
失神
糖尿病と低血糖発作
脳梗塞
けいれん発作
ショック

第3部: 傷の手当て

止血法(大・小出血/止血帯/内出血/鼻血/口内出血等)
 ※軍用止血帯・止血剤に関する解説含む
歯/眼の受傷
刺創/身体部位の切断
頭部/頚椎/脊椎の受傷
骨折と捻挫/副木
火傷(軽微/重篤なもの)/感電による受傷

第4部: 環境による緊急事態

動物/蛇/昆虫等による咬傷
熱障害(熱痙攣/熱疲労/熱射病)
低温障害(凍傷/低体温症)
毒劇物による受傷/中毒/除染


AED/CPR編
第1部: ポケットマスクを使用した成人/小児のCPRと窒息の解除
第2部: 成人/小児へのAED使用手順
第3部: ポケットマスクを使用した乳児へのCPRと窒息の解除
※ご自身のポケットマスク/バルブをお持ちの方はご持参下さい(消毒済みのポケットマスク/バルブはこちらで用意しております)。 ファーストエイド編、CPR/AED編共に実技評価試験が あり、修了者には2年間有効なコース修了カードが発行されます。

5.受講費用・受付等

受講費用¥14000-(カード申請手数料込み)は、当日現金にてお支払い下さい。 また、領収書の必要な方は、宛先を含め予めお知らせ下さい。 なお、本講習

の受講定員は4名迄となります。 9月5日(土)迄、下記迄お早めに連絡願います。

山寺 圭

keimoo★sepia.ocn.ne.jp
(★を@に変換してください)



6.備考

受講に際し、事前にテキストを購入・予習願います。
使用テキストは AHA Heartsaver First Aid With CPR and AED【日本語版】2,808円又は英語版 2,160円を各自書店又はネット通販等でお求め下さい。
購入先参照:http://eccjapan.heart.org/course/purchase.html

当日は実技で身体を動かしますので、動き易い服装(ズボン等で露出の少ないもの)でお越し下さい。





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2015年09月01日

ポケットマスク(ブラック)限定入荷

成人用ポケットマスクが20個限定で入荷しました。

JSISH-ITC特別仕様ポケットマスク(ブラック)


JSISH-ITCオリジナルのブラック仕様。

ケース全体が黒のものは市販品にはありませんので、ちょっと珍しいかもしれません。

BLS横浜の講習に参加する方で、ご希望の方に講習会場で2,200円でお分けします。


BLS横浜で開催している BLSヘルスケアプロバイダーコースハートセイバーCPR AEDコース では、洗浄・消毒済みのポケットマスク(無料)を貸し出ししていますが、個人専用の新品をご希望の方は講習前日までにメールにて希望をお知らせ下さい。

当日、代金と引き換えにお渡しします。


基本的には、ポケットマスクの練習を含む講習会参加者の方を想定していますが、それ以外のワークショップ参加者でも、希望があれば応じます。

ただし20個限定なので、在庫切れの場合はご容赦ください。


練習に使うときはフィルターを外す!


なお、ポケットマスクを練習で使用する際は、白いフィルターを外しておくことをおすすめします。

ポケットマスクのマウスピースとフィルター

↑ポケットマスクの白いフィルターは練習時は外しましょう



これは傷病者が嘔吐した場合のためのものですが、練習で呼気を通すと湿気ってカビの原因になりますし、洗浄を繰り返すと目が詰まる原因になります。

傷病者相手に実戦で使った場合は、使い捨てにして、交換するように設計されています。(フィルターの交換パーツが売られています)





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2015年07月08日

最大の学びは教えること〜拡がりに期待をしつつ

この週末、一般社団法人AED-PROMOTE(スポーツシーンにおける突然死撲滅プロジェクト)さんとの共同企画で「スポーツ現場における救命法講習会」を開催してきました。

マリノスタウンでの傷病者対応コースforバイスタンダーズ


心臓への負荷がかかるスポーツの世界では心臓突然死は珍しい話ではありません。

そのためスポーツトレーナーは一般的な救命法を心得ていますし、サッカーや野球など、ファンイベントとして、PUSH講習やAED講習が開催されたというニュースも最近よく聞きます。

そんな救命法に対して意識が高いと思われるスポーツ関係者のために、さらに一歩先を学ぶ機会を、ということで私どもが相談を受けて実現したのが今回の「スポーツ現場における救命法講習会」でした。

BLS横浜オリジナル講習の「傷病者対応コース for バイスタンダーズ」をベースにして、スポーツ現場、特に今回は観戦中の観客に起こりそうな緊急事態を想定したシナリオで進めてみました。

胸骨圧迫のみの心肺蘇生法の練習から始めて、その後、「呼吸があったらどうするか?」「意識があったらどうするか?」というファーストエイド領域まで徐々に守備範囲を広げていく4時間の経験型学習プログラムです。

現実問題として、心停止という最悪の事態にいきなり直面するよりも、具合が悪くてうずくまっている人を見つけたとか、そういう比較的軽微なトラブルに遭遇するほうが多いのが現状かと思います。

最後の手段として心肺蘇生法は心得ておくべきですが、「ふだん使い」できる救急対応能力としては、体調不良を含め、困っていそうな人に声を掛けて、問題解決に向けたサポートをしたり、然るべき人に引き継ぐということのほうが現実的です。

言葉にすると簡単ですが、私たちにとっては見ず知らずの人に声を掛けて、訴えを聞くだけでもなかなか大変なこと。

そのあたりをシミュレーションを通して訓練するのが傷病者対応コースの基本コンセプトです。


今回は、午前と午後で2回の講習を開催して、延べ22名の方にご参加いただきました。

この企画の特徴は、午前中に受講した人が、午後にはアシスタント・インストラクターとして指導側で参加するということ。

よく言われることですが、最大の学びは教えること、です。

救急法という医学的とも思われる内容だけに、いきなり人に指導するというのは心理的にも抵抗が大きいかなと思う部分もありましたが、やってみたら、午前中の参加者の方たちも積極的に受講者に声をかけて、自分たちが学んだことを活き活きと伝える姿が多く見られました。

なにより楽しそうに受講者の方たちと話をしていて、自分たちが学んで、「へぇ!?」と思ったこと、「なるほど!」と思った体験を参加者にも感じてほしいという思いに駆られていたのかなと思いました。

救急法というコンテンツを伝える、というよりは、シミュレーション体験から学び取ることの楽しさや充実感をシェアするという学びのサポーターとしての楽しさ、のようなものがあったのかもしれません。

今後、このような機会を継続して提供し、学びの輪が広がることに期待しています。

今回は、横浜が誇るプロサッカーチーム「横浜マリノス」さんの協力で、練習場のあるマリノスタウンを会場として提供していただきました。

そのため、今回の参加者はサッカーファンの方が多かったようですが、ノルディックウォーキングのインストラクターさんなども参加されており、今後はもっと広くスポーツ関係者の方の参加を期待しているイベントです。

今後、AED-PROMOTEさんの方で、さらに横浜市内のスポーツ関連団体やプロスポーツチームに声をかけていくということですので、今後の拡がり、そして次回の開催はどのスポーツ関連施設になるのか、楽しみです。

次回開催は現時点、未定ですが、「スポーツシーンにおける突然死撲滅プロジェクト」のFacebookページなどで公示が出されましたら、またこちらでもご案内していきたいと思っています。


一般社団法人AED-PROMOTE
 http://www.aed-promote.link/

スポーツシーンにおける突然死撲滅プロジェクト
 https://www.facebook.com/aedpromote





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2015年07月02日

私たちが開催する講習の特色

AHA講習を展開する組織として、私たちの特徴について説明したいと思います。


日本には現在9つのAHA ECC提携団体があり、下の図に示すような法人(学会やNPO、企業、任意団体など)が、AHAと契約を結ぶことで、国際トレーニングセンターとして認証されて、それぞれ独立した立場でAHA公認講習を開催しています。

日本のAHA講習開催団体の関係図


同じAHA講習を開催していても、このような組織建てになっているため、トレーニングセンター同士の横のつながりはなく、日本国内で一元管理されているわけではない、という点はあまり知られていません。

そのため、同じAHA講習を開催している団体(トレーニングセンター)でも、目指すところやその対象、雰囲気や考え方など、母体組織によって、特色の違いが見られます。


私たちは、現在は主に日本医療教授システム学会AHA国際トレーニングセンター(JSISH-ITC)の一員として活動しています。教授システム学ということで、教育工学(インストラクショナル・デザイン)を研究する学術団体の下にいますので、AHA講習プログラムに対しても、常に教育という視点から捉えているのが私たちの特色です。

どのように指導したら効果的か、またシミュレーション教育と実臨床の間の溝を埋めるにはどうしたらいいか、など、教え方(逆説的に、学び方といった方が適切かもしれません)という視点でAHA講習を考えています。

つまり、BLSやACLS、またはPEARSといった講習プログラムが先にあるのではなく、適切な心肺蘇生法ができる、二次救命処置でチームワークを発揮する、心停止につながる危険な兆候に気づき介入できるといったゴールに到達するための手段の一部としてAHA ECCプログラムを活用している、と言っていいかもしれません。

教育デザイン的に考えたときに、AHA講習は現場でのパフォーマンスまではカバーしていないことは明白ですから、AHA講習で基礎スキルを身につけた後、どう現場で使えるパフォーマンスに持ち上げていくかという、先を常に考えています。

このあたりが、数あるAHA講習開催団体の中でも受講者の皆様から高く評価を頂いている部分なのかもしれません。





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2015年06月29日

沖縄初のPEARSプロバイダーコース開催報告

沖縄県下で初めての開催となるAHA-PEARSプロバイダーコースが終了しました。

沖縄県那覇市で初開催のAHA-PEARS(ペアーズ)プロバイダーコースbyBLS沖縄


那覇で精力的に活動しているAHA活動拠点BLS沖縄さんとのコラボで実現した初の企画でした。

2008年にAHAが開発して以来、英語教材しかないにも関わらず、じわじわと日本でも認知されてきた看護師向け急変対応プログラム。

沖縄では開催実績がなかっただけにどれだけ申し込みがあるか手探りではありましたが、土日で立て続けに2回開催したコースは満員御礼、キャンセル待ちが出るほどの盛況に終わりました。

PEARSで学ぶのは『救命の基本原理』

PEARSは小児急変対応コースですが、その活用範囲は小児を専門に扱う医療者だけではありません。

今回の沖縄PEARSでは、小児の認定を持つ看護師さんの参加もありましたが、救急救命士さん、歯科衛生士さん、民間の救命法指導員さんなど、救命の基本原理を学びたい!、という人たちが幅広く集まった印象です。

最近はとかくインスタント化される救命講習、普及のためにはそれは必要なことですが、きちんと理屈を理解した上で実施すべき人たちが「しっかり学べる」教育がなくなってきているのが現状です。

そんななか、丸暗記で条件反射で動ければいい、というレベルを卒業した人たちにぴったりだったのがPEARSプロバイダーコースだったんじゃないかなと思います。

シミュレーションは外せない

特にBLS沖縄ならびにBLS横浜が提供するPEARSでは、シミュレーション・トレーニングを重視しています。

最近、座学のレクチャーとディスカッションだけで終わらせるPEARSも普及してきていますが、今回の沖縄PEARSを受講してくださった方たちも、異口同音でシミュレーションがあってよかったという点では異口同音でした。

頭でわかるのと、実際にできる、はまったく別物です。

シミュレーションを省略しないフルサイズのPEARSでは、体系的アプローチを事前学習で知識として知り、次に映像を使ったディスカッションで具体的な使い方を学び、最後にシミュレーションの中で行動・言葉に出して実践して、使い方を身につけるという3段階で進めます。

PEARSはBLSとは違って、体育会系的に体を動かせればいいというのとは根本的に違いますので、理解し、実践できるようになるためには、それ相応の訓練方法が必要なのです。


ラピッド・レスポンス・チームの教育としても有用なPEARS

PEARSでは、心停止後の対応も扱いますが、どちらかというとおまけみたいなもので、PEARSが目指すメインは心停止になる手前の段階で気づいて心停止を予防することにあります。

というのは小児が心停止にまで陥ると救命の可能性がほとんどない、ということのほか、心臓突然死が多くはない小児では心停止は防げるというのが根底にあります。

これに対して成人傷病者は突然に心室細動を起こして心肺停止に陥るというイメージが流布していますが、実はそうではないという点が近年強調されてきています。

特に病院内心停止は、成人であってもそれは偶発的なものではなく、予兆があるとはよく言われています。

そこに着目すれば、PEARSの心停止予防の観点と介入はほぼそのまま成人傷病者にも使えるといえます。

例えば、Rapid Response Team/systemという言葉を聞いたことがあるでしょうか?

RRTとRRSと略されたり、迅速対応チームと日本語で呼ばれることもあります。

これは心停止の時に病院内の医療者が招集されるコードブルーやドクターブルーなどの「コードチーム」に対して、なんだか様子がおかしい、という段階で呼ばれる急変対応というか急変アセスメントチームのこと。

米国やオーストラリアで制度化されて成功を収めて、日本でも導入が検討されている段階なのですが、これらのRRTの概念は、心停止は突然ではないから、それを防ぐためのアセスメント+初期対応の教育が必要であるという文化的な転換を示しています。

このRRT教育に該当するのが、PEARSプロバイダーコースなのです。

他にもFCCSやAMLSなど、他団体に着目すれば心停止以前のアセスメントと安定化をカバーしたプログラムはいくつかはありますが、アメリカ心臓協会AHAのプログラムの中ではPEARSだけがこれに相当します。

残念なのはPediatric、つまり小児という枕詞がついてしまっている点です。

再三述べているのように、PEARSは小児に限らずすべての院内急変に対応できる考え方、安定化介入をカバーしています。

病院勤務の看護師が学ぶべき急変対応としては、BLSとPEARSだと言い切ってしまっていいと思います。

ACLSも大切ですが、ベッドサイドにいる看護師が自分の責任下でできること、効果が絶大であるという点では、ACLSよりは先にPEARSを知っている必要があるでしょう。


沖縄でのPEARS普及の今後に期待

さて、沖縄で初開催のPEARSの話に戻りますが、沖縄の方たちにとってもPEARSは斬新な内容だったようで、コース終了後、夜遅かったにも関わらず、なかなか人がはけず、受講者同士での情報交換やインストラクターへの質問や相談で盛り上がっていたのが印象的でした。

新しく学んだ概念をどうやって自分のフィールドに活かしていくのか、そんな議論が続いていました。

インストラクターになりたい!

そんな声も少なからずありました。

陸続きの内地と違って、県外に学びに行くというのが容易ではない沖縄で、自分たちでPEARSコースを開催できることの意義は他県に比べて高いのかもしれません。


BLS横浜としては、沖縄でPEARSを定期開催できるような具体的なビジョンが立つのであれば、インストラクター育成やコース運営に関して最大限にお手伝いしていきたいと思っています。

BLSインストラクターに比べると、やや難易度が高く、医学的な知識も求められるPEARSですが、仮称「PEARS沖縄トレーニングサイト」のサイト長を担ってくれるようなキーパーソンが名乗りでてくれれば、本格的な支援を考えていきたいと思っています。




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2015年06月21日

AED装着のタイミング、勘違いしていませんか?

「いざという時にはAED!」という意識が根付いてきたのはうれしいことですが、不正確な理解が広まっているのが気になるところです。

特に、AEDを装着するタイミングは、驚くほど誤解されています。

AEDは医療機器ですから、使用条件(適応)がきっちりと定められています。

1.反応なし
2.呼吸なし

上記の条件を満たした場合、つまり心停止を疑う場合にはじめて使用する道具です。

「大丈夫ですか?」と呼びかけて反応確認をした後、「あなたAED持ってきて!」となりますが、すぐにAEDが届いたとしても、呼吸確認をするまでは、AEDは装着しない、ものなのです。

もう一度いいます。「AEDは心停止が強く疑われる人」に使用するものであって、具合の悪い人に念のため装着するものではありません。

意識・反応がない人がいたら、胸から腹にかけての動きを目で見て、「正常な息をしている」と10秒以内に確信が持てなければ、胸骨圧迫を開始しますし、AEDがすでに届いていれば、この時点でAEDの電源を入れて装着します。

呼吸をしていない!(もしくは普通じゃないヘンな呼吸をしている)

この確認を守らないと、酔っぱらいや失神発作で倒れた人が、みんな服を切られて、公衆の面前で裸にされることになってしまいます。

意識がなければAED手配と119番通報するのは正解ですが、AEDが手元に届いても、明らかに呼吸がある場合や、朦朧としていてでも意識がある場合はAEDを装着する必要はないということも知っておいてください。

また指導員は、このAED使用の原則についてきちんと知っておく必要があります。

普及促進という点ではまどろっこしく感じる部分もあるかもしれませんが、胸骨圧迫と違って除細動は紛れもない医療行為であるという認識を、指導員は忘れないようにしたいものです。



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2015年05月23日

ACLSコース事前学習のヒント G2015

※本稿はもともとはガイドライン2010版を前提とした記事でしたが、2017年7月現在も参照が多いため、内容を最新のG2015準拠講習に合わせてリライトしました。(2017年7月25日)


最近、ACLSプロバイダーコースに関する質問が多いので、一度まとめておこうと思います。

ACLSを勉強しよう、ACLSプロバイダーコースを受講しようと思ったら、まずは ACLSプロバイダーマニュアル を購入しましょう。

そこから始まります。

AHA-ACLSプロバイダーマニュアルG2015準拠日本語版


必ずAHAガイドライン2015準拠という版を買ってください。古いガイドライン2010版のテキストを持ってくる方がたまにいますが、ダメです。

ガイドラインを経るごとだんだん薄くなっている本ですが、そこそこボリュームがあります。

全体をパラパラとみて興味があるところを拾い読みしてもいいかと思いますが、お勧めしないのは1ページ目から丹念に読んでいくというやり方。

時間があるならいいのですが、効率よく読むならプレテストを活用しましょう。

AHAの公式のACLS学習用専用ホームページがあります。

テキストを開いて、中表紙の裏側(iiページ)の下に、受講者用ウェブサイトにアクセスするための URL と、アクセスコードが記されています。

ACLS受講者用ウェブサイトの入口

ログインすると、日本語サイトに切り替わり、ページ上方にある「開始する」という赤いアイコンをクリックすると事前学習のためのプレテストがe-Learningで行えます。(G2010版までは日本語PDFで提供されていましたが、G2015からは英語版同様、オンライン化されました)

ACLSプロバイダーコース受講前の自己学習サイト


まずはこのプレテストを解きながら、関連するページを拾い読みしていくと、まんべんなく効率よく事前学習できると思います。

なお、ACLSプロバイダーコース受講条件として、このプレテストを70%以上のスコアで修了していることが求められています。e-Learing終了後のスコアシートを印刷して、受講時に持参することになっています。

このプレテストは何度でもできますから、最新の高得点が取れたものを印刷して持っていけばOKです。



さて、ACLSプロバイダーコースは、その名の通り、Advancedな救命スキルを学ぶコースです。

インストラクショナル・デザイン的な教材設計としても、下記の点は習得済み/知っているものとして、コース設計がされています。

・ヘルスケアプロバイダーレベルの成人のBLS
・モニター心電図
・蘇生に使う薬剤の薬理

BLSはいいとして、心電図と薬理について、これだけは、という点を列記しておきます。

モニター心電図:
・心室細動(VF)
・無脈性心室頻拍(Pulseless VT)
・無脈性電気活動(PEA)
・心静止(Asystole)
・頻脈系(心室頻拍、発作性上室性頻拍)
・徐脈系(1度房室ブロック、2度房室ブロック:ウェンケバッハとモービッツII型、3度房室ブロック)

薬剤:
・アドレナリン(血管収縮薬)
・アミオダロン(抗不整脈薬)
・アトロピン
・アデノシン

心電図はパターン認識でも構わないと思います。心電図の本を1ページから読んでいくような学習は勧めません。見分けられることがまず大事。また、これらの波形がどのアルゴリズムと関連しているのかイメージしておくといいと思います。

薬剤は、どの場面で使う薬なのか、用量・用法は? という点は少なくとも押さえておきたいところです。

その他、アルゴリズム図を眺めて、どんな判断・展開を行うのかをイメージしておいてください。最後のメガコードテストと呼ばれる実技試験の評価表が158ページから載っています。

このチェックリスト(どれかひとつ)のすべての項目にチェックがつくと、実技試験合格となります。

どんな流れで、展開されて、なにが求められているのか、アルゴリズム図と照らし合わせながら把握しておくことをお勧めします。

なお、テキストに付属するアルゴリズムのカードは、メガコード試験中も見ることができますので、アルゴリズムを暗記する必要はありません。(当日はお忘れなく!)


ACLSプロバイダーコースには、脳卒中と急性冠症候群も含まれていますが、これらは実技試験としては問われません。とりあえず、後回しでもいいですが、テキストを一読はしておいてほしいと思います。米国と日本の違いという点でわかりにくい部分もあるかと思いますが、そこはコース中にご質問いただければ。

その他、把握しておいてほしい点は、

・無脈性電気活動(PEA)とはなにか? このタイプの心停止から救命するためにはどうしたらいいか?
・同期電気ショックと除細動の違いはなにか? なぜ違うのか?
・経皮ペーシングとはなにか?
・波形表示呼気CO2モニターでわかること
・ROSCとはなにか? ROSC後のケアの目的は? TTMとは?
・RRTとMETとはなにか? その目的は?

といったあたりです。

こうしたことをきちんと把握しておいていただけると、短い講習時間の中で最大限の学習効果が得られると思います。


その他、副読本としてお勧めなのは、
改訂第3版ALS:写真と動画でわかるニ次救命処置
です。

改訂第3版ALS:写真と動画でわかるニ次救命処置


日本人が日本人のために書いていますので、具体的でわかりやすいです。

単に、二次救命処置を勉強したいだけだったら、AHAのテキストよりこちらのほうがお勧めです。(ただし、AHA-ACLSプロバイダーコース受講にはAHA公式テキストが必須です)



posted by BLS横浜 at 11:37 | TrackBack(0) | ACLS(二次救命処置) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする